第32回 社会福祉士国家試験 過去問と解答(2020年2月2日実施)

第32回 社会福祉士国家試験 過去問と解答(2020年2月2日実施)

第32回 社会福祉士国家試験(2020年2月2日実施)の過去問題と解答をご紹介します。

過去問:第32回 社会福祉士国家試験 解答(2020年2月実施)

人体の構造と機能及び疾病

問1 問2 問3 問4
1 5 3 5
問5 問6 問7
1 2,4 3

心理学理論と心理的支援

問8 問9 問10 問11
1 2 3 1
問12 問13 問14
5 2 4

社会理論と社会システム

問15 問16 問17 問18
2 5 1 3
問19 問20 問21
5 3 4

現代社会と福祉

問22 問23 問24 問25
5 3 2 5
問26 問27 問28 問29
1 2 4 4
問30 問31
2,3 1

地域福祉の理論と方法

問32 問33 問34 問35
4 3 2 1
問36 問37 問38 問39
5 5 3 2
問40 問41
1,4 2

福祉行財政と福祉計画

問42 問43 問44 問45
5 1 4 5
問46 問47 問48
2 3 4

社会保障

問49 問50 問51 問52
5 3 4 1
問53 問54 問55
3 2 2,3

障害者に対する支援と障害者自立支援制度

問56 問57 問58 問59
4 5 1,3 1
問60 問61 問62
3 5 2

低所得者に対する支援と生活保護制度

問63 問64 問65 問66
5 2 3 4
問67 問68 問69
2 4 1

保健医療サービス

問70 問71 問72 問73
1 1 2 5
問74 問75 問76
4 4 1,3

権利擁護と成年後見制度

問77 問78 問79 問80
5 1 3 2
問81 問82 問83
4 3 4

社会調査の基礎

問84 問85 問86 問87
1 2 5 4
問88 問89 問90
2,5 3 1,4

相談援助の基盤と専門職

問91 問92 問93 問94
5 2 3 3
問95 問96 問97
4 2 1,5

相談援助の理論と方法

問98 問99 問100 問101
1 4 3 4
問102 問103 問104 問105
3,5 5 4 1,4
問106 問107 問108 問109
2 2 3 5
問110 問111 問112 問113
2,4 1 1,3 4
問114 問115 問116 問117
5 1 3 5
問118
2,3

福祉サービスの組織と経営

問119 問120 問121 問122
5 1 5 1,4
問123 問124 問125
3 2 5

高齢者に対する支援と介護保険制度

問126 問127 問128 問129
2 2 1 1
問130 問131 問132 問133
5 3,5 4 2
問134 問135
1 3

児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度

問136 問137 問138 問139
4 1 2 2
問140 問141 問142
3 4,5 4

就労支援サービス

問143 問144 問145 問146
3 2 1 5

児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度

問147 問148 問149 問150
1 5 2 4
●第32回 社会福祉士国家試験の合格基準点(1問1点)
88点/150問

※解答内容は試験実施年度の合格発表後当時に、試験実施団体から公開された正答です。

第32回 社会福祉士国家試験 過去問題(2020年2月実施)

人体の構造と機能及び疾病

問題 1

人体の構造と機能に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 視覚は,後頭葉を中枢とする。

2 腸管は,口側より,空腸,回腸,十二指腸,大腸の順序である。

3 肺でガス交換された血液は,肺動脈で心臓へと運ばれる。

4 横隔膜は,消化管の蠕動(ぜんどう)に関わる。

5 副甲状腺ホルモンは,カリウム代謝をつかさどる。

問題 2

高齢者の脱水に関する次の記述のうち,適切なものを 1 つ選びなさい。

1 体全体の水分量は,若年者と変わらない。

2 喉の渇きを感じやすいため,脱水になりにくい。

3 1日の水分摂取量は,若年者より多い。

4 降圧利尿薬の服用は,脱水の原因にならない。

5 腎臓による水の再吸収能力が,低下している。

問題 3

消化器の構造と機能に関する次の記述のうち,適切なものを 1 つ選びなさい。

1 唾液には,消化酵素は含まれない。

2 胃粘膜からは,強アルカリ性の消化液が分泌される。

3 膵臓(すいぞう)には,内分泌腺と外分泌腺がある。

4 小腸は,水分を吸収しない。

5 胆汁は,胆のうで作られる。

問題 4

事例を読んで,国際生活機能分類(ICF)に基づいて分類する場合,正しいものを 1 つ選びなさい。

〔事例〕Aさん(50 歳,男性)は,脳出血により片麻痺を残したが,リハビリテーションによって杖(つえ)と下肢装具を用いた自立歩行を獲得し,復職を達成した。混雑時の通勤の負担と,思うようにならない気分の落ち込みから仕事を休みがちとなったが,職場より出勤時間の調整が図られ,仕事を再開するに至った。

1 片麻痺は,「活動」に分類される。

2 歩行は,「心身機能・身体構造」に分類される。

3 歩行に用いた杖と下肢装具は,「個人因子」に分類される。

4 気分の落ち込みは,「活動」に分類される。

5 出勤時間調整の職場の配慮は,「環境因子」に分類される。

問題 5

1978 年にWHOが採択したアルマ・アタ宣言に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 先進国と開発途上国間における人々の健康状態の不平等について言及している。

2 政府の責任についての言及はない。

3 自己決定権についての言及はない。

4 保健ニーズに対応する第一義的責任は,専門職個人にあると言及している。

5 地域,国家,その他の利用可能な資源の活用についての言及はない。

問題 6

次のうち,脳血管性認知症の特徴的な症状として,適切なものを 2 つ選びなさい。

1 パーキンソン症状

2 まだら認知症

3 幻視

4 感情失禁

5 常同行動

問題 7

近年のリハビリテーションに関する次の記述のうち,適切なものを 1 つ選びなさい。

1 がんは,リハビリテーションの対象とはならない。

2 内部障害は,リハビリテーションの対象とはならない。

3 脳卒中のリハビリテーションは,急性期,回復期,生活期(維持期)に分けられる。

4 リハビリテーションは,機能回復訓練に限定される。

5 リハビリテーションを担う職種には,言語聴覚士は含まれない。

心理学理論と心理的支援

問題 8

次のうち,馴化(じゅんか)による行動の記述として,適切なものを 1 つ選びなさい。

1 同じ大きな音が繰り返されるにつれて,驚愕(きょうがく)反応が小さくなった。

2 乳児に新しいおもちゃを見せたら,古いおもちゃよりも長く注視した。

3 まぶたにストローで空気を吹き付けると,思わずまばたきした。

4 食あたりした後に,その食べ物を見るだけで吐き気がするようになった。

5 うまくできたら褒めることで,ピアノの練習に取り組むようになった。

問題 9

パーソナリティの理論に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 クレッチマー(Kretschmer, E.)は,特性論に基づき,体格と気質の関係を示した。

2 ユング(Jung, C.)は,外向型と内向型の二つの類型を示した。

3 オールポート(Allport, G.)は,パーソナリティの特性を生物学的特性と個人的特性の二つに分けた。

4 キャッテル(Cattell, R.)は,パーソナリティをリビドーにより説明した。

5 因子モデル(ビッグファイブ)では,外向性,内向性,神経症傾向,開放性,協調性の 5 つの特性が示されている。

問題 10

愛着理論に関する次の記述のうち,適切なものを 1 つ選びなさい。

1 乳幼児期の愛着の形成により獲得される内的ワーキングモデルが,後の対人関係パターンに影響することは稀(まれ)である。

2 ストレンジ・シチュエーション法では,虐待など不適切な養育と関係のある愛着のタイプを見いだすことは難しい。

3 愛着のタイプに影響を及ぼす要因には,養育者の子どもに対する養育態度だけでなく,子ども自身の気質もある。

4 子どもの後追い行動は,愛着の形成を妨げる要因になる。

5 乳幼児期の子どもの愛着対象は,母親に限定されている。

問題 11

前期高齢者(65~74 歳)における認知機能や知的機能の一般的な特徴について,適切なものを 1 つ選びなさい。

1 作動記憶の機能は,加齢による影響が顕著にみられる。

2 エピソード記憶の機能は,加齢による影響がほとんどみられない。

3 意味記憶の機能は,加齢による影響が顕著にみられる。

4 流動性知能は,加齢による影響がほとんどみられない。

5 結晶性知能は,加齢による影響が顕著にみられる。

問題 12

ストレスに関する次の記述のうち,適切なものを 1 つ選びなさい。

1 コーピングとは,ストレスの原因となる出来事のことである。

2 日常の些細(ささい)ないらだちごとが積み重なっても,健康を損なうようなストレスは生じない。

3 ストレッサーを制御できるという信念は,ストレスの緩和にはつながらない。

4 アパシーとは,ストレス状態が続いても,それに対処できている状態のことである。

5 ハーディネスとは,ストレスに直面しても健康を損なうことが少ない性格特性である。

問題 13

ストレス反応の 1 つであるバーンアウトの症状に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 理解と発話の両面での失語症状が生じる。

2 人を人と思わなくなる気持ちが生じる。

3 近時記憶の著しい低下が生じる。

4 視覚的な幻覚が頻繁に生じる。

5 他者との関係を強めようとする傾向が生じる。

問題 14

心理療法に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 回想法は,高齢者の自動思考を修正することを目的としている。

2 応用行動分析は,個人の無意識に焦点を当てて介入を行っていく。

3 認知行動療法は,クライエントの人生を振り返ることでアイデンティティを再確認していく。

4 森田療法は,不安をあるがままに受け入れられるように支援していく。

5 ブリーフセラピーは,未来よりも過去に焦点を当てて介入を行っていく。

社会理論と社会システム

問題 15

次のうち,ウェーバー(Weber, M.)の合法的支配の説明として,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 伝統や慣習により正当化される支配

2 正当な手続により制定された法に従うことで成立する支配

3 支配者のリーダーシップや資質,魅力によって正当化される支配

4 絶対的な権力者が定めた法に基づいて行われる支配

5 少数の卓越した能力を持つ者たちによって行われる支配

問題 16

「平成 30 年労働力調査年報」(総務省)に示された,過去 5 年間の日本の失業等の動向に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 若年層の完全失業率は,上昇傾向にある。

2 「若年無業者」の若年人口に対する割合は, 5 %台で推移している。

3 自発的な離職者数は,増加している。

4 女性の完全失業率は,男性の完全失業率よりも一貫して高い。

5 男女共に完全失業率は,低下している。

(注)「若年無業者」とは,15~34 歳の非労働力人口のうち家事も通学もしていない者を指す。

問題 17

次のうち,コンパクトシティに関する記述として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 拡散した都市機能を集約させ,生活圏の再構築を図る都市

2 出身地域の異なる外国人住民の多様なコミュニティから形成される都市

3 文化や芸術,映像などの産業をまちづくりの中核に据える都市

4 先端技術産業を軸として,地方経済の発展を目指す都市

5 世界中の金融・情報関連産業が集積する都市

問題 18

次のうち,直系家族制についての記述として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 複数の子どもが,結婚後も親と同居することを原則とする。

2 夫婦の結婚とともに誕生し,一方の死亡によって家族が一代限りで消滅する。

3 跡継ぎとなる子どもの家族との同居を繰り返して,家族が世代的に再生産される。

4 離家した子どもの生殖家族が,親と頻繁な交際や相互援助を行う。

5 親の死亡をきっかけに,財産を均分相続して家族が分裂する。

問題 19

次のうち,パーソンズ(Parsons, T.)の社会的行為論として,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 コミュニケーション的行為論

2 交換理論

3 集合行動論

4 象徴的相互作用論

5 主意主義的行為理論

問題 20

次のうち,「囚人のジレンマ」に関する記述として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 合理的な仕組みに対して過剰な執着を持つ状況を指す。

2 一定期間,閉鎖的・画一的に管理された場所で生活する状況を指す。

3 協力し合うことが互いの利益になるにもかかわらず,非協力への個人的誘因が存在する状況を指す。

4 二つの矛盾した命令を受けているため,そのいずれも選択することができない状況を指す。

5 非協力的行動を行うと罰を受け,協力的行動を行うと報酬を得ることで,協力的行動が促される状況を指す。

問題 21

社会問題は,ある状態を解決されるべき問題とみなす人々のクレイム申立てとそれに対する反応を通じて作り出されるという捉え方がある。このことを示す用語として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 社会統制論

2 緊張理論

3 文化学習理論

4 構築主義

5 ラベリング論

現代社会と福祉

問題 22

社会福祉法の内容に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 福祉サービス利用援助事業は,第一種社会福祉事業である。

2 市町村は,地方社会福祉審議会を設置しなければならない。

3 市町村は,社会福祉事業等に従事する者の確保に関する基本指針を定めなければならない。

4 都道府県は,都道府県地域福祉支援計画を策定しなければならない。

5 共同募金は,都道府県を単位として毎年 1 回実施される。

問題 23

「ニッポン一億総活躍プラン」(2016 年(平成 28 年)6 月閣議決定)の内容に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 地域資源の活用や自然環境を活用した第 4 次産業革命を実現すべきとした。

2 一億総活躍社会を実現するのは,次世代の役割であるとした。

3 地方創生は,一億総活躍社会を実現する上で最も緊急度の高い取組の一つであるとした。

4 一億総活躍社会は,政府に頼らず社会の側の責任において実現すべきとした。

5 「成長」か「分配」かという論争に終止符を打ち,「成長」に重点を置いた施策を推進するとした。

問題 24

1950 年代から 1970 年代にかけての社会福祉の理論に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 木田徹郎は,社会事業を,資本主義の維持という側面から,賃金労働の再生産機構における「社会的問題」の緩和・解決の一形式と捉えた。

2 三浦文夫は,政策範疇(はんちゅう)としての社会福祉へのアプローチの方法として,ニード論や供給体制論を展開した。

3 岡村重夫は,生活権を起点に据えた実践論・運動論を組み入れた社会福祉学が総合的に体系化されなければならないと論じた。

4 孝橋正一は,社会福祉の固有の機能を,個人とそれを取り巻く環境との間の不均衡を調整し,環境への適応を促すことと論じた。

5 一番ヶ瀬康子は,政策論よりも援助技術論を重視すべきと論じた。

問題 25

「ベヴァリッジ報告」に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 福祉サービスの供給主体を多元化し,民間非営利団体を積極的に活用するように勧告した。

2 従来の社会民主主義とも新自由主義とも異なる「第三の道」路線を選択するように勧告した。

3 ソーシャルワーカーの養成・研修コースを開設して,専門性を高めるように勧告した。

4 衛生・安全,労働時間,賃金,教育で構成されるナショナル・ミニマムという考え方を示した。

5 社会保障計画は,社会保険,国民扶助,任意保険という三つの方法で構成されるという考え方を示した。

問題 26

1973 年(昭和 48 年)の「福祉元年」に実施した福祉政策に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 年金の給付水準を調整するために物価スライド制を導入した。

2 標準報酬の再評価を行い,厚生年金では「 9 万円年金」を実現した。

3 被用者保険における家族療養費制度を導入した。

4 老人医療費支給制度を実施して,60 歳以上の医療費を無料にした。

5 老人家庭奉仕員派遣事業が法制化された。

問題 27

「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」(2018 年(平成 30 年)12 月,外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議決定)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。

1 地域における外国人の活躍と共生社会の実現を図る地方公共団体の主体的で先導的な取組のために,社会福祉法人からの寄附金を募る。

2 災害時に避難所等にいる外国人被災者への情報伝達を支援する「災害時外国人支援情報コーディネーター」の養成研修を実施する。

3 外国人への行政・生活情報の提供において,個人情報保護の観点からソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の利用は極力避ける。

4 公営住宅法に基づき,外国人を含む住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録や住宅情報の提供,居住支援等を促進する。

5 外国人への情報提供及び相談を行う一元的な窓口として,厚生労働省の地方厚生局に「多文化共生総合相談ワンストップセンター(仮)」を設置する。

問題 28

国際連合が掲げている「持続可能な開発目標」(SDGs)に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 2000年に制定されたミレニアム開発目標(MDGs)の目標を破棄し,それに代わる目標を掲げている。

2 経済成長,社会的包摂,人口増加抑制策の調和が,持続可能な開発を達成するために求められている。

3 持続可能な開発の達成には,政府の手を借りることなく民間セクターによる行動が必要とされている。

4 貧困に終止符を打つとともに,気候変動や環境保護への取組も求めている。

5 目標実現に向けた進捗状況のフォローアップと審査の責任は国際連合にあるとし,独立した国際的専門機関を設置している。

(注)「持続可能な開発目標」(SDGs)とは,2015年の国際連合総会において採択された「持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」において掲げられた目標である。

問題 29

社会福祉法の改正(2016 年(平成 28 年))において明記された,社会福祉法人の「地域における公益的な取組」に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 重点目標として,孤立防止の見守り活動の実施が義務づけられている。

2 法人の理事会に,「地域における公益的な取組」を担当する理事を置くことが義務づけられている。

3 地域社会への貢献を,社会福祉法人の新たな役割として明確化した。

4 日常生活又は社会生活上の支援を必要とする者に対して,無料又は低額な料金で,福祉サービスを積極的に提供するよう努めなければならない。

5 行政が主体となって実施する事業を代替することも含まれている。

問題 30

文部科学省の「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本指針」(2017 年(平成 29 年))で示された不登校児童生徒への支援に関する次の記述のうち,適切なものを 2 つ選びなさい。

1 不登校児童生徒が学校へ登校するという結果を,第一の目標としている。

2 不登校児童生徒の意思を十分に尊重し,その状況によっては休養が必要な場合があることに留意する。

3 不登校児童生徒の実態に配慮した教育を実施する「特例校」の設置を促進している。

4 不登校児童生徒や保護者のプライバシーの保護に配慮して,学校や教育委員会による家庭訪問は控える。

5 「チーム学校」体制の整備を,スクールソーシャルワーカーのリーダーシップの下で推進する。

問題 31

社会保障審議会福祉部会に設置された福祉人材確保専門委員会の「ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について」(2018 年(平成 30 年))に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 社会福祉士には,地域課題の解決の拠点となる場づくり,ネットワーキングなどを通じて,地域住民の活動支援を行うことが求められている。

2 地域住民が主体的に地域課題を把握して解決を試みている場合は,社会福祉士はそれを見守ることに専念する。

3 地域課題の解決に必要な新たな社会資源の創出は,社会福祉士の専権的な職務である。

4 地域で表出されにくいニーズの発見は,民生委員に一任する。

5 社会福祉士は,地元の商店や営利企業との連携を控えることとされている。

地域福祉の理論と方法

問題 32

日本の地域福祉の歴史に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 隣保館は,日露戦争を契機として国による一元的な管理体制に移行した。

2 中央慈善協会は,全国の主要な都市で展開されていたセツルメント運動の組織化を図ることを目的として設立された。

3 共同募金会は,関東大震災によって被災した人々を援助するために,政府の呼び掛けによって設立された。

4 方面委員制度は,岡山県で発足した済世顧問制度を始まりとし,後に方面委員令により全国的な制度として普及した。

5 市町村社会福祉協議会は,戦後間もなく,社会福祉事業法の制定時に法制化された。

問題 33

地域福祉における住民の参加を促進する仕組みや制度に関する次の記述のうち,適切なものを 1 つ選びなさい。

1 1960年代に徳島県社会福祉協議会等に設置された善意銀行は,住民が支援を必要とする個人・団体に対して労力・技術・金品等を提供した場合に,銀行が費用を助成する仕組みである。

2 1970年代に開始された学童・生徒のボランティア活動普及事業は,学童・生徒のボランティア活動の促進を目的として,全国全ての公立小・中学校に助成を行う事業である。

3 1980年代以降,全国に広がった住民参加型在宅福祉サービスは,有償性・非営利性・会員制を主な特徴とし,地域で支援を必要とする人々に対して家事援助・外出支援等のサービスを提供する活動である。

4 1990年代に全国で実施されたふれあいのまちづくり事業は,障害者等の社会参加を保障することを目的として,市町村が公共施設などにおけるバリアフリー化を促進するための事業である。

5 2000年代に道路運送法の改正により法制化された福祉有償運送は,社会福祉施設が所有する福祉車両を要援護者等に有償で貸し出す仕組みである。

問題 34

事例を読んで,B福祉活動専門員がC民生委員に提案することとして,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

〔事例〕社会福祉協議会のB福祉活動専門員に,C民生委員から,担当地域で 80 代の父親と,ひきこもりがちと思われる 50 代の息子が暮らす世帯があるが,どのように関わってよいか分からないという相談があった。雨戸が閉まっていることが多く,息子は就労しているかどうか分からない状態であり,訪問した際には息子から,「困っていることはない」というドア越しの応対のみで,父親にも会うことができなかったという。

1 親子どちらも支援を求めていないため,C民生委員は世帯への関わりを控える。

2 世帯の状況を把握するために,C民生委員と一緒に自宅を訪問する。

3 C民生委員は父親の問題に焦点を当て,息子には関わらない。

4 C民生委員が中心となって,ひきこもりの人とその家族の集いの場を設ける。

5 複合的な課題を抱えた世帯の問題は,生活困窮者自立支援制度の自立相談支援事業の窓口に対応を任せる。

問題 35

ボランティア活動について各法律で規定されている事項に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 災害対策基本法では,ボランティアによる防災活動が災害時において果たす役割が重要であることから,国及び地方公共団体は,その自主性を尊重しつつ,ボランティアとの連携に努めなければならないとされている。

2 社会福祉法では,市町村社会福祉協議会が,ボランティアコーディネーターを配置しなければならないとされている。

3 学校教育法では,全ての小中学校でボランティア活動など社会奉仕体験活動を実施しなければならないとされている。

4 特定非営利活動促進法では,特定非営利活動法人の役員は,無償のボランティアでなければ就任できないとされている。

5 社会福祉法では,災害救助法が適用される災害が発生した場合,都道府県共同募金会は,当該都道府県の区域内に限って災害ボランティアセンターの経費に準備金を拠出しなければならないとされている。

問題 36

社会福祉法に規定されている地域福祉に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 地域住民等は,地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備に努めなければならない。

2 市町村は,市町村地域福祉計画を市町村社会福祉協議会が策定する地域福祉活動計画と一体的に策定しなければならない。

3 都道府県は,福祉サービスを必要とする地域住民の地域生活課題を把握し,支援関係機関と連携して解決を図るよう留意しなければならない。

4 社会福祉を目的とする事業を経営する者は,地域福祉の推進に係る取組を行う他の地域住民等に助言と指導を行わなければならない。

5 国及び地方公共団体は,地域福祉の推進のために必要な各般の措置を講ずるよう努めなければならない。

問題 37

市町村社会福祉協議会に関して,社会福祉法に規定されている次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 福祉サービスの苦情を解決するための運営適正化委員会を設置する。

2 生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)を配置し,制度では対応できないニーズに対応する。

3 役員の総数の 3 分の 1 を関係行政庁の職員で構成しなければならない。

4 第一種社会福祉事業の経営に関する指導及び助言を行う。

5 市町村の区域内における社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数が参加する。

問題 38

民生委員・児童委員についての法律上の規定に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 民生委員は,市町村内の小学校区ごとに 1 名配置する。

2 主任児童委員は,児童虐待の早期発見と介入のため児童相談所に配属される。

3 民生委員協議会は,民生委員の職務上必要があるときに関係各庁に意見することができる。

4 民生委員は,職務上知り得た特定の要援護者個人の情報を広く地域住民と共有してもよい。

5 民生委員は,その職務に関して市町村長の指揮監督を受ける。

問題 39

地域福祉推進のための財源に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 厚生労働省の「これからの地域福祉のあり方に関する研究会」報告書(2008 年(平成20 年))では,住民の地域福祉活動の資金は原則として公的財源によるとされている。

2 厚生労働省の「地域力強化検討会最終とりまとめ」(2017 年(平成 29 年))では,地域の課題を地域で解決していく財源として,クラウドファンディングやSIB(Social Impact Bond)等を取り入れていくことも有効であるとされている。

3 社会福祉法の改正(2016 年(平成 28 年))では,社会福祉法人は,収入の一定割合を地域における公益的な取組の実施に充てなければならないとされた。

4 「平成 29 年度特定非営利活動法人に関する実態調査」(内閣府)によれば,NPO法人の収入は,「会費」,「寄附金」が大半を占めている。

5 共同募金実績額の推移をみると,年間の募金総額(一般募金と歳末助けあい募金の合計)は,1995 年(平成 7 年)から 2017 年(平成 29 年)までの約 20 年間,一貫して増加している。

問題 40

社会福祉協議会が地域において行う福祉調査や分析活動に関する次の記述のうち,適切なものを 2 つ選びなさい。

1 災害時要援護者のニーズを視覚的に把握するために,デジタル地図の上に様々な情報を表示するGIS(地理情報システム)を用いた。

2 実際に虐待のおそれのある個別事例の検討会を,当該小地域における住民懇談会で実施した。

3 高齢者の訪問介護サービスに関するニーズの総量を具体的に推計するために,福祉総合相談窓口の担当者に聞き取り調査を行った。

4 障害のある当事者のニーズを把握するため,フォーカスグループインタビューを行った。

5 在宅で暮らす後期高齢者のニーズの全体像を把握するために,高齢者個人へのアンケート調査の回答フォームを社会福祉協議会のホームページ上に設置し,調査を実施した。

問題 41

事例を読んで,N市社会福祉協議会の福祉活動専門員(社会福祉士)が行ったアウトカム評価として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

〔事例〕N市では,近年ひきこもりに関する相談が増加する一方,具体的な支援活動が市内に不足していることが課題となっていた。そのため,ひきこもりの人やその家族に対する支援活動の拡大を目的として,N市社会福祉協議会が行政の補助金を得て,計 6 回の講義・見学等からなるひきこもりサポーターの養成研修を企画・実施することになった。初めての取組であることから,行政からプログラム評価の枠組みを用いて,研修のアウトカム評価を行うことが求められた。

1 ひきこもりに関する理解度を測る調査票を作成し,養成研修受講前の受講者の理解度を計測する。

2 養成研修終了後に,支援活動に取り組み始めた受講者の人数とその活動内容を把握する。

3 養成研修の実施回数及び内容が,当初企画したとおりに実施されているかを確認する。

4 養成研修終了後に,N市の市民を対象としたアンケート調査により,ひきこもりに関する市民の意識を把握する。

5 養成研修終了後に,N市内でひきこもり状態から就業に至った人数を把握し,就業による経済効果と補助金額との差を計測する。

福祉行財政と福祉計画

問題 42

地方公共団体に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 特別区を設置できるのは,都に限定されている。

2 都道府県が処理する社会福祉に関する事務は,機関委任事務である。

3 中核市の指定要件として,人口数は 50 万以上と定められている。

4 広域連合は,介護保険事業に関する事務を処理できないとされている。

5 政令指定都市は,婦人相談所を設置することができる。

問題 43

次の社会福祉施設等の費用のうち,法律上,国が 4 分の 3 を負担することになっているものとして,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 救護施設の入所措置に要する費用

2 養護老人ホームの入所措置に要する費用

3 婦人相談所の行う一時保護に要する費用

4 母子生活支援施設の母子保護の実施に要する費用

5 児童養護施設の入所措置に要する費用

問題 44

「平成 31 年版地方財政白書」(総務省)における民生費に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 地方公共団体の目的別歳出純計決算額のうち,民生費は教育費に次いで多い。

2 都道府県の目的別歳出では,生活保護費の割合が最も高い。

3 都道府県の性質別歳出では,扶助費の割合が最も高い。

4 市町村の目的別歳出では,児童福祉費の割合が最も高い。

5 市町村の性質別歳出では,人件費の割合が最も高い。

問題 45

次の計画のうち,定めたとき,又は変更したときに内閣総理大臣に提出しなければならないものを 1 つ選びなさい。

1 都道府県介護保険事業支援計画

2 都道府県における子どもの貧困対策についての計画

3 都道府県障害福祉計画

4 都道府県老人福祉計画

5 都道府県子ども・子育て支援事業支援計画

問題 46

次の各計画の策定を規定している法律に,計画の実績について評価を行うと明記されているものを 1 つ選びなさい。

1 市町村自殺対策計画

2 市町村介護保険事業計画

3 市町村障害者計画

4 市町村子ども・子育て支援事業計画

5 市町村老人福祉計画

問題 47

福祉計画に関して,1990 年(平成 2 年)の福祉関係八法改正より以前の記述として,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 「エンゼルプラン」が策定された。

2 障害福祉計画が障害者自立支援法に規定された。

3 社会福祉施設緊急整備 5 か年計画が策定された。

4 「新ゴールドプラン」が策定された。

5 地域福祉計画が社会福祉法に規定された。

(注1)「エンゼルプラン」とは,「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について」のことである。

(注2)「新ゴールドプラン」とは,「新・高齢者保健福祉推進十か年戦略」のことである。

問題 48

第 7 期介護保険事業計画(2018 年度(平成 30 年度)開始)に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 地域包括支援センターが,創設されることになった。

2 市町村が実施主体となる地域支援事業が開始された。

3 介護保険事業計画が,初めて地域包括ケア計画と位置づけられた。

4 「基本指針」において,医療法に規定される医療計画との整合性を確保することの重要性が明記された。

5 第7期の第一号被保険者の保険料が全市町村で引き上げられた。

(注)「基本指針」とは,「介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針」(平成 30 年 3 月 13 日厚生労働省告示第 57 号)のことを指す。

社会保障

問題 49

日本の社会保障制度の歴史的展開に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 1950年(昭和 25 年)の社会保障制度審議会の勧告では,日本の社会保障制度は租税を財源とする社会扶助制度を中心に充実すべきとされた。

2 1961年(昭和 36 年)に国民皆保険が実施され,全国民共通の医療保険制度への加入が義務づけられた。

3 1972年(昭和 47 年)に児童手当法が施行され,事前の保険料の拠出が受給要件とされた。

4 1983年(昭和 58 年)に老人保健制度が施行され,後期高齢者医療制度が導入された。

5 1995年(平成 7 年)の社会保障制度審議会の勧告で,介護サービスの供給制度の運用に要する財源は,公的介護保険を基盤にすべきと提言された。

問題 50

「平成 28 年度社会保障費用統計」(国立社会保障・人口問題研究所)に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 2016年度(平成 28 年度)の社会保障給付費は,150 兆円を超過した。

2 2016年度(平成 28 年度)の社会保障給付費を部門別(「医療」,「年金」,「福祉その他」)にみると,「福祉その他」の割合は 1 割に満たない。

3 2016年度(平成 28 年度)の社会保障給付費を機能別(「高齢」,「保健医療」,「家族」,「失業」など)にみると,「家族」の割合は 1 割に満たない。

4 2016年度(平成 28 年度)の社会保障財源における公費負担の割合は,社会保険料の割合よりも大きい。

5 2015年度(平成 27 年度)における社会支出の国際比較によれば,日本の社会支出の対国内総生産比は,フランスよりも高い。

問題 51

会社に勤めている人が仕事を休業した場合などの社会保障制度上の取扱いに関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 健康保険の被保険者が病気やケガのために会社を休んだときは,標準報酬月額の2 分の 1 に相当する額が傷病手当金として支給される。

2 厚生年金の被保険者に病気やケガが発生してから,その症状が固定することなく1 年を経過し,一定の障害の状態にある場合は,障害厚生年金を受給できる。

3 育児休業を取得する場合に支給される育児休業給付金は,子どもが 3 歳になるまでを限度とする。

4 労働者が業務災害による療養のため休業し,賃金を受けられない日が 4 日以上続く場合は,労働者災害補償保険による休業補償給付を受けられる。

5 育児休業期間中の厚生年金保険料は,被保険者分のみ免除される。

問題 52

遺族年金に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 死亡した被保険者の子が受給権を取得した遺族基礎年金は,生計を同じくするその子の父または母がある間は支給停止される。

2 死亡した被保険者の子が受給権を取得した遺族基礎年金は,その子が婚姻した場合でも引き続き受給できる。

3 遺族基礎年金は,死亡した被保険者の孫にも支給される。

4 受給権を取得した時に,30 歳未満で子のいない妻には,当該遺族厚生年金が10 年間支給される。

5 遺族厚生年金の額は,死亡した者の老齢基礎年金の額の 2 分の 1 である。

問題 53

医療保険制度に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 後期高齢者医療制度には,75 歳以上の全国民が加入する。

2 後期高齢者の医療費は,後期高齢者の保険料と公費で折半して負担する。

3 都道府県は,当該都道府県内の市町村とともに国民健康保険を行う。

4 健康保険組合の保険料は,都道府県ごとに一律となっている。

5 協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)の給付費に対し,国は補助を行っていない。

問題 54

事例を読んで,子育て支援などに関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

〔事例〕会社員のDさん(32 歳,男性)と自営業を営むEさん(30 歳,女性)の夫婦は,間 もなく第 1 子の出産予定日を迎えようとしている。Dさんは,厚生年金と健康保険の被保険者で,Eさんは国民年金と国民健康保険の被保険者である。

1 Eさんは,「産前産後期間」の間も国民年金の保険料を支払わなければならない。

2 Eさんが出産したときは,国民健康保険から出産育児一時金が支払われる。

3 Dさんが育児休業を取得する場合,健康保険から育児休業給付金が支給される。

4 Dさん夫妻の第 1 子の医療保険給付の一部負担は,義務教育就学前までは 3 割である。

5 Dさん夫妻の第 1 子が 3 歳に満たない期間については,月額 2 万円の児童手当が給付される。

(注)「産前産後期間」とは,出産予定日又は出産日が属する月の前月から 4 か月間を指す。

問題 55

事例を読んで,適切なものを 2 つ選びなさい。

〔事例〕Fさん(65 歳,女性)は,22 歳からアパレル関係の大企業で正社員として働き,厚生年金にも加入していた。その後会社員の夫と結婚し,35 歳の時に退職して専業主婦になった。48 歳の時に個人事業主として手芸店を開き,現在ではかなりの事業収入を得ている。

1 Fさんが大企業で働いて厚生年金に加入していた時には,給与の額にかかわらず毎月定額の保険料を支払っていた。

2 Fさんは通算して 10 年以上年金制度に加入しているので,老齢基礎年金を受給できる。

3 Fさんが専業主婦であった期間は,Fさん自身が国民年金の保険料を納付する必要はない。

4 Fさんは,事業収入に応じた年金保険料を支払わなければならない。

5 Fさんは 65 歳なので老齢厚生年金を受給できるが,事業収入が基準を超える場合は年金額が減額される。

障害者に対する支援と障害者自立支援制度

問題 56

「平成 28 年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」(厚生労働省)における障害児・者の実態に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 身体障害者手帳を所持している身体障害児( 0 ~17 歳)では,内部障害が最も多い。

2 「障害者手帳所持者等」(65 歳未満)で,「障害者総合支援法」に基づく福祉サービスを利用している者は半数を超えている。

3 「障害者手帳所持者等」(65 歳未満)で,「今後の暮らしの希望」をみると,「施設で暮らしたい」が最も多い。

4 「障害者手帳所持者等」(65 歳未満)で,「困った時の相談相手」をみると,家族が最も多い。

5 「障害者手帳所持者等」(65 歳未満)で,「外出の状況」をみると,「 1ヶ月に 1 ~ 2日程度」が最も多い。

(注1)「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

(注2)「障害者手帳所持者等」とは,障害者手帳所持者及び障害者手帳非所持でかつ「障害者総合支援法」に基づく自立支援給付等を受けている者のことである。

問題 57

障害者福祉制度の発展過程に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 1960年(昭和 35 年)に成立した精神薄弱者福祉法は,ノーマライゼーションを法の理念とし,脱施設化を推進した。

2 1981年(昭和 56 年)の国際障害者年で主題として掲げられたのは,合理的配慮であった。

3 1995年(平成 7 年)に精神保健法が精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に改正され,保護者制度が廃止された。

4 2013年(平成 25 年)に成立した「障害者差別解消法」では,障害者を医学モデルに基づいて定義している。

5 2018年(平成 30 年)に閣議決定された障害者基本計画(第 4 次)では,命の重さは障害によって変わることはないという価値観を社会全体で共有できる共生社会の実現に寄与することが期待されている。

(注)「障害者差別解消法」とは,「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」 のことである。

問題 58

事例を読んで,Gさんが利用できる「障害者総合支援法」に基づく障害福祉サービスとして,適切なものを 2 つ選びなさい。

〔事例〕Gさん(22 歳,男性)は 20 歳の時に脊髄損傷を患い,現在,電動車いすを使用しながら親元で暮らしている。これまで家族から介護を受けて生活をしてきたが,親元を離れ,日中は創作活動などを行いながら自立生活をしていきたいと希望している。一般就労はしておらず,障害支援区分は 5 で,電動車いすを使って移動が可能 だが,手足に麻痺(まひ)がある。「歩行」,「移乗」,「排尿」,「排便」のいずれも見守りや部分的又は全面的な支援を必要としている。

1 重度訪問介護

2 行動援護

3 生活介護

4 同行援護

5 就労定着支援

問題 59

「障害者総合支援法」に定められている市町村の役割などに関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 障害支援区分の認定のための調査を,指定一般相談支援事業者等に委託することができる。

2 障害支援区分の認定に関する審査判定業務を行わせるため,協議会を設置する。

3 市町村障害福祉計画を策定するよう努めなければならない。

4 指定障害福祉サービス事業者の指定を行う。

5 高次脳機能障害に対する支援普及事業などの特に専門性の高い相談支援事業を行う。

問題 60

発達障害者支援法の規定に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 市町村は,個々の発達障害者の特性に応じた適切な就労の機会の確保,就労定着のための支援に努めなければならない。

2 都道府県は,支援体制の課題を共有するとともに,関係者の連携の緊密化を図るため,発達障害者支援地域協議会を設置しなければならない。

3 発達障害者とは,発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいう。

4 都道府県知事は,発達障害者に対する専門的な就労の支援等を障害者就業・生活支援センターに行わせることができる。

5 都道府県知事は,該当する者に精神障害者保健福祉手帳を交付する。

問題 61

障害者基本法に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 法の目的では,障害者本人の自立への努力について規定されている。

2 都道府県は,都道府県障害者計画の策定に努めなければならないと規定されている。

3 国及び地方公共団体は,重度の障害者について,終生にわたり必要な保護等を行うよう努めなければならないと規定されている。

4 社会的障壁の定義において,社会における慣行や観念は除外されている。

5 障害者政策委員会の委員に任命される者として,障害者が明記されている。

問題 62

医療観察制度に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 対象者は,起訴された者に限られており,起訴されていない者は含まれない。

2 保護観察所には,対象者の社会復帰を支援する,精神保健福祉士等の専門家である社会復帰調整官が配置されている。

3 「医療観察法」の目的は,精神障害者の医療及び保護を行い,その自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い,精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることである。

4 入院による医療の決定を受けた者に対しては,指定入院医療機関で,専門的な医療の提供が行われるとともに,保健所による退院後の生活環境の調整が実施される。

5 通院による医療の決定を受けた者及び退院を許可された者は,処遇の実施計画に基づいて,期間の定めなく,地域の指定医療機関による医療を受ける。

(注)「医療観察法」とは,「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。

低所得者に対する支援と生活保護制度

問題 63

2000 年度(平成 12 年度)以降の生活保護の全国的な動向(年次推移)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 住宅扶助費の生活保護費全体に占める割合は,一貫して減少している。

2 被保護世帯及び被保護人員共に,2011 年(平成 23 年)の東日本大震災を契機に増加に転じた。

3 世帯類型別にみた被保護世帯の構成比をみると,「母子世帯」の割合が一貫して増加している。

4 保護の開始理由別の被保護世帯数の推移をみると,「傷病」が一貫して増加している。

5 介護扶助人員は,一貫して増加している。

問題 64

生活保護法が規定する基本原理・原則に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 日本国憲法第 26 条に規定する理念に基づく。

2 保護は,世帯を単位としてその要否及び程度を定めるものとする。

3 保障される最低限度の生活とは,肉体的に生存を続けることが可能な程度のものである。

4 生活困窮に陥った年齢によって,保護するかしないかを定めている。

5 生活保護の基準は,厚生労働省の社会保障審議会が定める。

問題 65

生活保護の種類と内容に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 生活扶助は,衣料品費,食料品費,葬祭費などを給付する。

2 教育扶助は,高等学校の就学に係る学用品費について給付する。

3 住宅扶助は,家賃等のほか,補修その他住宅の維持に必要なものを給付する。

4 医療扶助は,原則として金銭給付によって行うものとする。

5 出産扶助は,原則として現物給付によって行うものとする。

問題 66

事例を読んで,福祉事務所の生活保護現業員が行う業務として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

〔事例〕Hさん(70 歳,男性)は生活保護を受給し,アパートで一人暮らしをしている。糖尿病を患っており,主治医からの検診書によると働くことは困難な状況である。趣味がなく,友人との付き合いもなく,一日の大半をアパートでテレビを観て過ごしており,食生活も不規則である。親族としては遠方で暮らす妹のみであるが,Hさんは妹とは 20 年以上音信不通が続いており,所在を知らないと言っている。

1 稼働能力の活用を図るため,公共職業安定所(ハローワーク)へ行って求職活動を行うよう,指導・指示を行う。

2 自立支援プログラムに参加するよう,指導・指示を行う。

3 生活保護受給者等就労自立促進事業を利用するため,公共職業安定所(ハローワーク)へ支援要請を行う。

4 面接相談を通して本人の意向を把握した上で,社会生活自立や日常生活自立に向けた支援の方法を検討する。

5 扶養義務者である妹に対して,回答期限を付して書面による扶養照会を行う。

問題 67

福祉事務所の組織及び設置に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 福祉事務所の現業を行う所員(現業員)の定数については,生活保護法で定めている。

2 市が設置する福祉事務所の社会福祉主事は,生活保護法の施行について,市長の事務の執行を補助する。

3 福祉事務所の指導監督を行う所員(査察指導員),現業を行う所員(現業員),事務を行う所員はいずれも社会福祉主事でなければならない。

4 福祉事務所の長は,厚生労働大臣の指揮監督を受けて,所務を掌理する。

5 福祉事務所に置かれている社会福祉主事は,25 歳以上の者でなければならない。

問題 68

事例を読んで,福祉事務所の生活保護現業員による保護申請時に行う説明に関する記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

〔事例〕Jさん(70 歳,女性)は,年金と息子からの仕送りで一人暮らしをしていた。息子が交通事故で仕事を失い,収入がなくなって仕送りができなくなり,年金だけでは暮らせないため,生活保護を申請した。

1 働くことが可能との医師の判断がある場合には,生活保護を受給できないと説明する。

2 Jさんに娘がいる場合には,娘からの扶養を受けることが生活保護を受給するための要件となることを説明する。

3 自宅が持ち家の場合,処分した後に生活保護を受給できると説明する。

4 収入に変更があった場合は,申告する義務があることを説明する。

5 保護申請は,福祉事務所指定の申請書でなければ受け付けられないことを説明する。

問題 69

低所得者の支援を行う組織や制度に関する次の記述のうち,正しいものを1 つ選びなさい。

1 福祉事務所未設置町村は,生活困窮者及びその家族等からの相談に応じ,生活困窮者自立相談支援事業の利用勧奨等を行う事業を行うことができる。

2 生活困窮者自立相談支援事業の相談支援員は,社会福祉主事でなければならないと社会福祉法に定められている。

3 民生委員は,地域の低所得者を発見し,福祉事務所につなぐために市長から委嘱され,社会奉仕の精神で住民の相談に応じる者である。

4 住宅を喪失した人への支援策として,無料低額宿泊所は全ての市町村が設置しなければならない。

5 生活困窮者一時生活支援事業は,生活保護の被保護者が利用する事業である。

保健医療サービス

問題 70

日本の医療費の自己負担限度額に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 食費,居住費,差額ベッド代は高額療養費制度の支給の対象とはならない。

2 医療保険加入者が 70 歳未満である場合,二人以上の同一世帯で合算した年額の医療費の自己負担限度額が定められている。

3 医療保険加入者が医療保険と介護保険を共に利用した場合,それらの費用を世帯で合算した月額の自己負担限度額が定められている。

4 医療保険加入者が 70 歳以上である場合,入院の費用に限り世帯単位での医療費の自己負担限度額が定められている。

5 医療保険加入者が高額長期疾病(特定疾病)の患者である場合,医療費の自己負担を免除することが定められている。

問題 71

医療施設等の利用目的に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 介護医療院の利用は,主として長期にわたり療養が必要である要介護者を対象としている。

2 療養病棟の利用は,急性期で医療的ケアが必要である者を対象としている。

3 地域包括ケア病棟の利用は,病院で長期にわたり医療的ケアが必要である者を対象としている。

4 介護老人保健施設の利用は,高度で濃密な医療と介護が必要である者を対象としている。

5 回復期リハビリテーション病棟の利用は,高度急性期医療を受けた後,終末期と判断された者を対象としている。

問題 72

特定健康診査及び特定保健指導に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 特定健康診査及び特定保健指導の対象年齢は,40 歳以上 60 歳以下である。

2 特定保健指導の目的は,糖尿病等の生活習慣病の予防である。

3 特定健康診査の目的は,がんの早期発見である。

4 特定健康診査の結果は,結果に問題がなければ保険者から受診者への通知を省略することができる。

5 特定健康診査は,被用者が同じ内容の事業者健診を受けていても,改めて受けることが義務づけられている。

問題 73

「地域における保健師の保健活動に関する指針」に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 地域住民に対して,生活習慣病の三次予防に重点を置いた指導を行う。

2 地域住民に対して,保健師が主体となって地域の健康づくりを促進する。

3 産後に抑うつ状態の可能性が高いと判断される養育者に対して,受療指示を行う。

4 担当地域の市町村地域防災計画を策定する。

5 地域診断を実施し,取り組むべき健康課題を明らかにする。

(注)「地域における保健師の保健活動に関する指針」とは,「地域における保健師の保健活動について」(平成 25 年 4 月 19 日健発 0419 第 1 号厚生労働省健康局長通知)で示された指針のことである。

問題 74

訪問リハビリテーションを行う際の理学療法士の業務に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 処方薬を服用する患者とその家族に対して,服用方法の指導をする。

2 中心静脈カテーテルが挿入された患者に対して,カテーテルを抜去する。

3 人工呼吸器を装着した患者に対して,気管カニューレを交換する。

4 脳伷塞後遺症による筋麻痺の患者に対して,医師の指示の下にマッサージをする。

5 高カロリー輸液を点滴中の患者に対して,輸液の投与量を調整する。

問題 75

事例を読んで,K医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)による終末期のLさんの家族への対応として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

〔事例〕Lさん(58 歳,男性)は,末期の肝臓がんであるとの告知を受け,現在入院中である。主治医からK医療ソーシャルワーカーに,Lさんの今後の療養について意思確認をするよう依頼があった。そのため,Lさんの下を一度訪れたが,現段階では決められないとLさんに面接を断られた。そこでK医療ソーシャルワーカーは,Lさんの了承を得た上で家族と面接を行った。

1 Lさんに意思の確認のための面接を断られたため,今後のLさんとの面接を中止すると伝えた。

2 Lさんの人生観や価値観,生き方などを家族から把握することは控えた。

3 Lさんの家族の意見がまとまらない場合,主治医の意見を優先する旨を家族に伝えた。

4 Lさんの意思決定支援を今後どうすべきか家族と話し合った。

5 Lさんの意思を推定する責任が,家族にある旨を伝えた。

問題 76

事例を読んで,医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)が行う退院支援に関する次の記述のうち,この段階における対応で,適切なものを 2 つ選びなさい。

〔事例〕先天性代謝異常の疾患に罹患(りかん)しているMちゃん(生後 8 か月)は,呼吸器を装着し頻回の吸引が必要であり,バルーンカテーテル,経管栄養を使用している。出生以来,NICU(新生児集中治療室)に 2 か月,小児病棟に 6 か月入院してきたが,主治医からの退院許可を受け,自宅での生活の準備を始めることになった。出生以来,Mちゃんの見舞いを欠かさずしてきた両親は,初めて自宅でMちゃんと一緒に生活することに喜びを感じていた。一方で病院から離れることに不安を感じ,これまで相談に乗っていた医療ソーシャルワーカーに不安を打ち明けた。

1 医療的ケア児等コーディネーターとの連携を検討する。

2 両親に特別障害者手当を申請するよう勧める。

3 訪問看護ステーションと両親を交えたカンファレンスを実施する。

4 両親に医療型障害児入所施設の空き状況を伝える。

5 これまでも同様の患者がいたことを伝え,心配する必要はないと両親を励ます。

権利擁護と成年後見制度

問題 77

次のうち,成年後見開始審判の申立てにおいて,申立権者に含まれない者として,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 本人の孫の配偶者

2 本人の叔母

3 本人の甥(おい)

4 本人の子

5 本人のいとこの配偶者

問題 78

事例を読んで,次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

〔事例〕Aさんは,判断能力が低下している状況で販売業者のU社に騙(だま)され,50 万円の価値しかない商品をU社から 100 万円で購入する旨の売買契約書に署名捺印(なついん)した。U社は,Aさんに代金 100 万円の支払を請求している。

1 Aさんにおいて,その商品と同じ価値の商品をもう一つ引き渡すよう請求する余地はない。

2 Aさんにおいて,消費者契約法上,Aさんの誤認を理由とする売買契約の取消しをする余地はない。

3 Aさんにおいて,商品が引き渡されるまでは,代金の支払を拒む余地はない。

4 Aさんにおいて,U社の詐欺を理由とする売買契約の取消しをする余地はない。

5 Aさんにおいて,契約当時,意思能力を有しなかったとして,売買契約の無効を主張する余地はない。

問題 79

行政処分に対する不服申立てに関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 処分庁に上級行政庁がない場合は,処分庁に対する異議申立てをすることができる。

2 審査請求をすることのできる期間は,原則として,処分があったことを知った日の翌日から起算して10 日以内である。

3 審査請求に係る処分に関与した者は,審査請求の審理手続を主宰する審理員になることができない。

4 行政事件訴訟法によれば,特別の定めがあるときを除き,審査請求に対する裁決を経た後でなければ,処分の取消しの訴えを提起することができない。

5 再調査の請求は,処分庁以外の行政庁が審査請求よりも厳格な手続によって処分を見直す手続である。

問題 80

成年後見制度に関する次の記述のうち,適切なものを 1 つ選びなさい。

1 子が自分を成年後見人候補者として,親に対する後見開始の審判を申し立てた後,家庭裁判所から第三者を成年後見人とする意向が示された場合,審判前であれば,家庭裁判所の許可がなくても,その子は申立てを取り下げることができる。

2 財産上の利益を不当に得る目的での取引の被害を受けるおそれのある高齢者について,被害を防止するため,市町村長はその高齢者のために後見開始の審判の請求をすることができる。

3 成年被後見人である責任無能力者が他人に損害を加えた場合,その者の成年後見人は,法定の監督義務者に準ずるような場合であっても,被害者に対する損害賠償責任を負わない。

4 判断能力が低下した状況で自己所有の土地を安価で売却してしまった高齢者のため,その後に後見開始の審判を申し立てて成年後見人が選任された場合,行為能力の制限を理由に,その成年後見人はこの土地の売買契約を取り消すことができる。

5 浪費者が有する財産を保全するため,保佐開始の審判を経て保佐人を付することができる。

問題 81

成年後見制度の利用促進に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 成年後見制度利用促進基本計画の対象期間は,おおむね 10 年程度とされている。

2 市町村は,成年後見制度利用促進基本計画を勘案して,成年後見制度の利用の促進に関する施策についての基本的な計画を定めなければならない。

3 成年後見制度利用促進基本計画においては,利用のしやすさよりも不正防止の徹底が優先課題とされている。

4 政府は,成年後見制度の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため,成年後見制度利用促進会議を設けることとされている。

5 「成年後見制度利用促進法」でいう成年後見等実施機関とは,介護,医療又は金融に係る事業その他の成年後見制度の利用に関連する事業を行うものをいう。

(注)「成年後見制度利用促進法」とは,「成年後見制度の利用の促進に関する法律」のことである。

問題 82

事例を読んで,日常生活自立支援事業による支援に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

〔事例〕Bさん(80 代,認知症)は,介護サービスを受けながら在宅生活を送っていたが,金銭管理が不自由になったことを心配したC介護支援専門員からの相談により,3 年ほど前から日常生活自立支援事業を利用している。ところが 2 か月前から,Bさんの判断能力が急速に低下し始め,支援計画の変更が必要となった。

1 Bさんは認知症であるため,Bさんに代わって,C介護支援専門員が日常生活自立支援事業における支援計画の変更を行った。

2 日常生活自立支援事業における支援計画の変更に当たっては,Bさんの親族による承諾が必要である。

3 判断能力の低下により,本事業による援助が困難であると事業実施者が認めた場合には,成年後見制度の利用の支援等適切な対応を行う必要がある。

4 Bさんの在宅生活継続が危ぶまれるため,日常生活自立支援事業による支援の一環としてBさんの居住する住宅の処分を行うこととした。

5 Bさんの判断能力の急速な低下に対応するため,日常生活自立支援事業の今後の利用について運営適正化委員会に諮った。

問題 83

虐待や配偶者暴力等の防止・対応等に関する関係機関の役割として,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 「児童虐待防止法」において,母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)の長は,職員に臨検及び捜索をさせることができる。

2 「障害者虐待防止法」において,基幹相談支援センターの長は,養護者による障害者虐待により障害者の生命または身体に重大な危険が生じているおそれがあると認めるときは,職員に立入調査をさせることができる。

3 「DV防止法」において,警視総監もしくは道府県警察本部長は,保護命令を発することができる。

4 「高齢者虐待防止法」において,市町村は,養護者による高齢者虐待を受けた高齢者について,老人福祉法の規定による措置を採るために必要な居室を確保するための措置を講ずるものとする。

5 「高齢者虐待防止法」において,市町村が施設内虐待の通報を受けたときは,市町村長は,速やかに警察に強制捜査を要請しなければならない。

(注1)「児童虐待防止法」とは,「児童虐待の防止等に関する法律」のことである。

(注2)「障害者虐待防止法」とは,「障害者虐待の防止,障害者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。

(注3)「DV防止法」とは,「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」のことである。

(注4)「高齢者虐待防止法」とは,「高齢者虐待の防止,高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。

社会調査の基礎

問題 84

社会調査に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 貧困の実態調査などの社会調査を基に,社会改良が行われることもある。

2 社会調査は,研究者が個人ではなくて共同で行わなければならない。

3 報道機関が行っている世論調査は,社会調査には含まれない。

4 社会調査は,社会福祉援助技術として有効な方法ではない。

5 社会調査は,数量的データとして結果を提示できなければならない。

問題 85

2007 年(平成 19 年)の統計法改正に関する次の記述のうち,正しいものを1 つ選びなさい。

1 調査票情報の利用制度が変わり,目的を問わず誰でも二次利用できるようになった。

2 改正の目的は,公的統計の位置づけを「行政のための統計」から「社会の情報基盤としての統計」へと転換させることである。

3 基幹統計は,それ以前の指定統計と異なって,回答の義務を規定している。

4 統計委員会は,各都道府県に設置されるようになった。

5 調査対象者の秘密保護の扱いは,改正前と変わっていない。

問題 86

調査対象者の抽出に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 標本抽出方法の確率抽出と非確率抽出では,非確率抽出の方が母集団に対する代表性が高い方法である。

2 適切に抽出された標本調査であれば,標本誤差は生じない。

3 調査対象者の多段抽出は,単純無作為抽出に比べて母集団の特性を推定する精度が高い。

4 系統抽出法は,抽出台帳に一定の規則性がある場合には,抽出した標本に偏りを生じることはない。

5 スノーボール・サンプリングは,非確率抽出法の一つである。

問題 87

量的調査の測定尺度に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 名義尺度は,代表値を求めることはできない。

2 順序尺度は,測定値の大小や優劣を意味しない。

3 間隔尺度は,測定値の間隔を数量的に表現できない。

4 比例尺度は,数値の間隔が等しいだけでなく数値の比も意味を持つ。

5 名義尺度,順序尺度,間隔尺度,比例尺度は,いずれも標準偏差を計算することに数量的な意味がある。

問題 88

質問紙の作成に関する次の記述のうち,適切なものを 2 つ選びなさい。

1 ダブルバーレルは,質問の中に三つ以上の論点を含めないようにする作成方法である。

2 リッカート尺度は,「当てはまる」「どちらともいえない」「当てはまらない」などというように多段階で程度を測定する選択肢で回答を求めるものである。

3 キャリーオーバー効果は,前に回答したことが,後に続く質問の回答へ効果的な影響を与えるので,積極的に用いるのが望ましい。

4 質問紙の作成においては,全て〇や数字で回答するようにし,文字の記述を求める自由回答の欄を設けてはいけない。

5 フェイスシートは,回答者の年齢,学歴,家族構成などの属性を回答する欄である。

問題 89

量的調査の集計と分析に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 質問紙調査のデータを集計する際に,全体的な回答の分布を見たい場合に,度数分布表を用いることはない。

2 データの分布を代表する値として平均値を用いておけば,中央値や最頻値は見なくてもよい。

3 標準偏差は,調査データが全体としてどれぐらい平均値から離れて散らばっているのかを表す指標の一つである。

4 推測統計とは,収集されたデータそのものの特徴を記述するための方法である。

5 オッズ比は,分布の左右対称性に関する指標である。

問題 90

調査の情報の整理と分析に関する次の記述のうち,適切なものを2 つ選びなさい。

1 グラウンデッド・セオリー・アプローチにおける軸足コーディングは,単一のカテゴリーと複数のサブカテゴリーを関連づける方法である。

2 プリコーディングとは,自由記述や事前に数値化が困難な回答に対して,調査者が後からコードの割当てをすることをいう。

3 会話分析の関心は,調査対象者がどのように日常的な相互行為を秩序立てて生み出すのかを解明するために,会話内容ではなく,会話の形式や構造に向けられる。

4 ミックス法は,質問紙などの量的調査とインタビューなどの質的調査を組み合わせる方法である。

5 インタビューデータの分析において,対象者が使っている言葉をそのままコードとして用いることをオープン・コーディングという。

相談援助の基盤と専門職

問題 91

社会福祉士及び介護福祉士法に規定されている社会福祉士の義務等に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 資質向上の責務として,相談援助に関わる後継者の育成を行わなければならない。

2 秘密保持義務として,その業務に関して知り得た人の秘密は,いかなる理由があっても開示してはならない。

3 信用失墜行為の禁止として,所属組織の信用を傷つけるような行為をしてはならない。

4 連携保持の責務として,業務内容の変化に対応するため,知識と技能の向上に努めなければならない。

5 誠実義務として,個人の尊厳を保持し,自立した日常生活を営むことができるよう,常にその者の立場に立って,誠実にその業務を行わなければならない。

問題 92

「ソーシャルワークのグローバル定義」(2014 年)に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 ソーシャルワークの発展は,西欧諸国を基準に展開する。

2 ソーシャルワークは,できる限り,「人々のために」ではなく,「人々とともに」働くという考え方をとる。

3 ソーシャルワークの基盤となる知は,単一の学問分野に依拠する。

4 ソーシャルワークの原則は,人間の内発的価値と尊厳の尊重から,多様性の尊重へと変化した。

5 ソーシャルワークの本質として人間関係における問題解決を図ることが新たに加わり,政策目標であることが明示された。

(注)「ソーシャルワークのグローバル定義」とは,2014 年 7 月の国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)と国際ソーシャルワーク学校連盟(IASSW)の総会・合同会議で採択されたものを指す。

問題 93

ソーシャルワーク実践理論を発展させた人物に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 ベーム(Boehm, W.)は,人間と環境の交互作用を基本視点とした生態学的アプローチを展開した。

2 ジャーメイン(Germain, C.)は,ソーシャルワークを本質的な観点から検討し,ソーシャルワークの活動を三つの機能に分類して定義化を試みた。

3 シュワルツ(Schwartz, W.)は,個人と社会の関係は共生的な相互依存関係であるとし,ソーシャルワーカーの媒介機能を重視する相互作用モデルを展開した。

4 ゴールドシュタイン(Goldstein, H.)は,価値の体系,知識の体系および多様な介入方法の 3 要素に基づくソーシャルワーク実践の共通基盤を提唱した。

5 バートレット(Bartlett, H.)は,システム理論を指向した一元的アプローチを展開し,後に認知的-人間性尊重アプローチを展開した。

問題 94

アドボカシーに関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 ケースアドボカシーとは,クライエントと同じ状況に置かれている人たちの権利を守るために,新たな制度を開発する活動である。

2 コーズアドボカシーとは,クライエントの権利を守るために,法的な手段を用いる活動である。

3 セルフアドボカシーとは,クライエントが自らの権利を主張していく活動である。

4 シチズンアドボカシーとは,同じ課題を抱えるクライエントの代弁や制度の改善・開発を目指す活動である。

5 リーガルアドボカシーとは,一人のクライエントの安定した生活を復権させる活動である。

問題 95

社会福祉施設等において,国により配置が義務づけられている専門職として,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 介護老人福祉施設における薬剤師

2 母子生活支援施設における保健師

3 婦人保護施設における理学療法士

4 乳児院における看護師

5 地域包括支援センターにおける医師

問題 96

事例を読んで,D社会福祉士が抱える倫理的ジレンマとして,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

〔事例〕V病院はこの地域の急性期医療の拠点であり,複数の社会福祉士が働いており,円滑な退院支援を心掛けている。D社会福祉士が担当したEさんは一人暮らしの85 歳の男性で,猛暑による脱水症状のため緊急搬送された。入院して10 日目で全身状態は落ち着き,D社会福祉士にEさんの速やかな退院支援を行うよう依頼があった。Eさんは今回の入院で一人暮らしが不安になり,当面V病院での入院継続を希望している。困惑したD社会福祉士は,同僚のF社会福祉士にも相談することにした。

1 クライエントの利益に対する責任と,記録の開示

2 クライエントに対する責任と,所属機関に対する責任

3 同僚に対する責任と,専門性への責任

4 クライエントとの信頼関係と,信用失墜行為の禁止

5 守秘義務と,制度や法令遵守に対する責任

問題 97

事例を読んで,G社会福祉士がこの段階で行う対応として,適切なものを 2 つ選びなさい。

〔事例〕地域包括支援センターのG社会福祉士は,「どこに相談してよいか分からない」という女性からの電話を受けた。電話の内容は,数年前からこの地区で一人暮らしをしている母親(72 歳)を心配した,遠隔地に住む娘からのものであり,以下のことが話された。「母親に認知症の初期症状がみられるようで,ゴミを出す日を間違えたり,家の中も片づけられない。近所の人とゴミのことで口論となることもあり,今後この地区で,今までのように暮らしていくことができるか,また,家族としてどのようにしていけばよいか悩んでいる」。

1 アウトリーチ

2 モニタリング

3 ソーシャルアクション

4 ターミネーション

5 アセスメント

相談援助の理論と方法

問題 98

ソーシャルワークに影響を与えたシステム理論に関する次の説明のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 ホメオスタシスとは,システムが恒常性を保とうとする働きである。

2 システムとは,複数の要素が無機的に関わり合っている集合体である。

3 開放システムの変容の最終状態は,初期条件によって一義的に決定される。

4 外部と情報やエネルギーの交換を行っているのは,閉鎖システムである。

5 サイバネティックスとは,システムが他の干渉を受けずに自己を変化させようとする仕組みである。

問題 99

岡村重夫が述べた社会福祉の一般的機能に関して,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 評価的機能は,援助者が,対象者の参加なしに対象者が抱える生活困難を評価するために発揮される。

2 調整的機能は,専門職間で生じている不調和の解決を図るために発揮される。

3 送致的機能は,援助者の所属機関が対象者の主訴に対処できないとき,適切な機関に対象者を紹介するために発揮される。

4 開発的機能は,個人の社会関係能力条件を開発するために発揮される。

5 保護的機能は,個人が必要とする保護を永続的に提供するために発揮される。

問題 100

事例を読んで,H児童福祉司(社会福祉士)の家族システムの視点に基づいた対応として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

〔事例〕父(43 歳)と母(39 歳)と暮らしているJ君(12 歳)は,真夜中に繁華街を徘徊(はいかい)していたところ警察に補導された。親と連絡がつかないため,W児童相談所に保護された。W児童相談所のH児童福祉司がJ君に家族について尋ねたところ,父母は仕事が多忙で,今日も母親から渡されたお金で夕食を食べるために繁華街に来ていたことがJ君から語られた。

1 J君の行動は父の無責任さによるものと考え,父への介入に焦点を当てる。

2 J君に,真夜中に繁華街を徘徊しないよう指導する。

3 J君に,父や母がJ君のことをどう思っているかを尋ねる。

4 J君に,一時的に親戚宅で生活するよう提案する。

5 J君の心情を考え,今以上にJ君に関わるよう,母親を指導する。

問題 101

ソーシャルワーク実践理論の基礎に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 ランク(Rank, O.)の意志療法は,利用者の過去に着目し,利用者のパーソナリティの構造や自我の働きを捉える診断主義学派の礎となった。

2 ロス(Ross, M.)のコミュニティ・オーガニゼーション説は,地域における団体間調整の方法としてのインターグループワークを提唱した。

3 ホリス(Hollis, F.)の心理社会的アプローチは,診断主義学派と機能主義学派,両アプローチの折衷アプローチであり,両学派の統合を試みた。

4 タフト(Taft, J.)ら機能主義学派は,ソーシャルワーカーが所属する機関の機能に着目し,機関におけるソーシャルワーカーの役割を重視した。

5 パールマン(Perlman, H.)の問題解決アプローチは,精神分析や自我心理学の理論を否定し,人・状況・その双方の関連性においてケースワークを捉えた。

問題 102

事例を読んで,Kソーシャルワーカー(社会福祉士)の援助の初回面接における応答として,適切なものを 2 つ選びなさい。

〔事例〕X小児がん拠点病院のKソーシャルワーカーは医師からの依頼で,これからの治療や生活に対する支援実施のため,同院の血液腫瘍科で小児がんと告知された女児( 3 歳)の両親と面談することになった。面接の冒頭,目を真っ赤にした母親は,「先生から娘の病気の説明は受けましたが,現実味がありません。ただ,なぜと繰り返し考えてしまいます。私たちの娘はなぜ 3 歳でがんになったのですか。できることなら私が代わってあげたい」と訴えた。

1 「今は混乱しているでしょうが,そのうち冷静に考えることができますよ」

2 「同じ経験をされている方はたくさんいます。その方々と会ってみませんか」

3 「ご心配が募る中でも娘さんの病気に向き合おうと努めておられるのですね」

4 「今は治療も進歩しているので大丈夫。安心して治療に専念しましょう」

5 「これからの治療や生活について,ご一緒に考えていきたいと思います」

問題 103

相談援助の過程に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 プランニングとは,人と環境の相互作用の枠組みで情報収集及び分析を行う段階である。

2 エバリュエーションとは,ソーシャルワーカーとクライエントが出会い,信頼関係を構築する段階である。

3 コーピングとは,実施されているサービスが適切に提供されているか事実確認を行う段階である。

4 インテークとは,支援の成果を評価し,その状況によっては終結へと進む段階である。

5 インターベンションとは,援助計画に沿って支援を実施していく段階である。

問題 104

シングル・システム・デザイン法に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 適用対象として,個人よりも家族など小集団に対する支援が適切である。

2 ベースライン期とは,支援を実施している期間を指す。

3 クライエントを,実験群と統制群に分けて測定する。

4 測定対象のクライエントに対する支援効果を明らかにできる。

5 ABデザインを用いる場合,測定期間中に支援を一旦中止する必要がある。

問題 105

事例を読んで,エイズ治療拠点病院のL医療ソーシャルワーカーの,この段階における応答として,適切なものを 2 つ選びなさい。

〔事例〕3 か月前にエイズ脳症でパートナーのMさんを看取ったAさん(50 歳)が,L医療ソーシャルワーカーの下を訪れた。L医療ソーシャルワーカーは,「もう生きていけない」と悲しんでいたAさんを,Mさんの他界後も支援してきた。この日,面接室でAさんは,「Mが亡くなってからは毎日Mのことを思い出して泣き,しばらくは夢を見ているようでした。今も悲しい気持ちに変わりありませんが,最近現実を直視できるようになってきました。これからは,一人で暮らしていけると思います」と話した。

1 「よくMさんを支え続けていらっしゃいましたね」

2 「お一人で生活していけるというお気持ちは,きっと一時的なものですね」

3 「面接室でお目に掛かることもこの先ないかと思うとお別れが寂しいですね」

4 「今後のことで相談が必要となるようなことがありましたらご連絡ください」

5 「パートナーと死別した方のグループに入会しましょう」

問題 106

事例を読んで,B社会福祉士が介入しようとしているシステムとして,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

〔事例〕P国から 2 年前に来日したCさんは,現在,難民認定を得て就労可能な在留資格を持って,Q市で暮らしている。日本語能力は十分ではないが,R市にある会社に就職している。しかし,自宅付近では孤独な暮らしで,近隣住民との会話ややりとりは全くない。Cさんは,どうしたら近隣住民と交流を持てるのかと悩み,Q市社会福祉協議会のB社会福祉士に相談した。B社会福祉士は,Cさんと同じような相談を複数回受けたことがあったため,実態把握の必要性を感じた。このため,Q市に居住している外国籍住民を対象とした聞き取りを行い,その結果を町内会に報告し,対応を促すこととした。

1 ミクロシステム

2 メゾシステム

3 クロノシステム

4 マクロシステム

5 エクソシステム

問題 107

ソーシャルワークにおける援助関係に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 ラポールとは,被援助者に代わって援助者が意思決定することを表す。

2 パートナーシップとは,援助者と被援助者が共に課題に取り組む関係性を表す。

3 逆転移とは,被援助者が自己の感情を援助者に向けることを表す。

4 パターナリズムとは,援助者と被援助者間の情動的な絆(きずな)を表す。

5 アタッチメントとは,被援助者が援助者から自立している状態を表す。

問題 108

相談援助の面接技法に関する説明として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 言い換えによって,話す内容の選択をクライエントに対して求める。

2 共感によって,ソーシャルワーカーが問題に対する価値判断を明確に伝える。

3 ミラクル・クエスチョンによって,問題が解決した後の生活の様子や気持ちについて,クライエントの想像を促す。

4 アイメッセージによって,クライエントに対して客観的な情報を伝える。

5 閉じられた質問によって,クライエントに自由な語りを促す。

問題 109

カデューシン(Kadushin, A. & Kadushin, G.)が示した,「会話」と「ソーシャルワーク面接」の相違に関する記述として,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 「ソーシャルワーク面接」と比べて,「会話」には意図的な目的が存在している。

2 「ソーシャルワーク面接」と比べて,「会話」では参加者間に明確な役割分担がある。

3 「ソーシャルワーク面接」と比べて,「会話」の参加者はしばしば文化的に異質である。

4 「会話」と比べて,「ソーシャルワーク面接」には参加者間に平等な権威と力がある。

5 「会話」と比べて,「ソーシャルワーク面接」ではスピーチのパターンが構造化されている。

問題 110

ドメスティック・バイオレンスの被害女性を支援するNPO法人(Y法人)にDさん(35 歳,女性)が,「何年も前から,夫に殴られたり蹴られたりしていて,このままだとどうなるか分からないので,助けてほしい」と,保護を求めて来所した。このためY法人はDさんを保護するとともに,Y法人のE社会福祉士がDさんと面接することとなった。次の記述のうち,この面接の導入部分におけるE社会福祉士の関わりとして,適切なものを 2 つ選びなさい。

1 なぜ,これまで助けを求めなかったのかを問う。

2 この面接の目的を伝える。

3 これから尋ねることに対して,正確に回答するよう指示する。

4 支援を求めてY法人に来たことをねぎらい,緊張を解く。

5 E社会福祉士がこれまで担当した事例から,解決方法を伝える。

問題 111

ケースマネジメントの範囲や目的に関するモデルについての次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 クライエントのケアプランを作成し,サービス提供者へ送致するまでの中核的な機能に焦点化したものを最小限モデルという。

2 クライエントの暮らす地域のケアシステムを変革するために,ネットワーク推進,システム改変,計画化(施策提言)を含めるものを包括的モデルという。

3 クライエントが利用する資源開発に向けての弁護機能,サービスの品質の監視,市民教育を含めるものをコーディネーションモデルという。

4 クライエント本人を尊重し,利用者の利益を向上させるというソーシャルワークの価値,倫理を基盤にするものをシステム指向モデルという。

5 クライエントに対して,効果的で効率的なサービスの調整を目指すものを利用者指向モデルという。

問題 112

S市社会福祉協議会は,S市から避難行動要支援者への支援の役割調整等のコーディネートを委託されている。次の記述のうち,コーディネーターであるS市社会福祉協議会のF社会福祉士が平常時から行う行動として,適切なものを 2 つ選びなさい。

1 避難行動要支援者を個別に訪問し,避難支援を行うに当たっての留意点を聞き取る。

2 内閣府が策定する,避難支援のための個別計画を地域の支援者と共有する。

3 地域住民に声を掛け,避難訓練を避難行動要支援者と一緒に行う。

4 災害発生に備えて,避難行動要支援者名簿を地域の全戸に配布する。

5 避難行動要支援者に対して,住民の中から住民基本台帳によって支援者の役割を割り当てる。

問題 113

事例を読んで,地域包括支援センターのG社会福祉士が,現段階で行う関係者の連携による会議として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

〔事例〕近隣住民から,Hさん(82 歳,女性)宅から異臭がするとの相談を受けたJ民生委員が,その地域を担当する地域包括支援センターのG社会福祉士に,訪問への同行を依頼した。Hさん宅を訪問し話を聞く中で,ゴミ収集の曜日や分別の方法の理解が難しくなっている状況が分かってきた。他にも同様のケースの存在を意識したG社会福祉士は,Hさん個人への支援と,地域でHさんと同じような困難を持つ高齢者を支えるために会議を開催することにした。

1 住宅確保が難しい人の,民間賃貸住宅への入居を進める住宅確保要配慮者居住支援協議会

2 高齢者虐待対応のための個別ケース会議

3 高齢者のニーズ調査を企画する,介護保険法に基づくサービス担当者会議

4 地域包括支援センターと関係者で協議する地域ケア会議

5 介護支援専門員の資質向上を目指す地域包括支援センターの事例検討会

問題 114

次のうち,グループワークにおいて,グループワーカーが活用する援助媒体として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 メンバー間に形成されるソーシャルワーク関係

2 メンバーとグループワーカーの間に形成される相互援助関係

3 現在のグループの発達段階では達成が難しい,高い目標設定をしたプログラム

4 グループワーカーが運営する別のグループの集団規範

5 援助目標達成に関わる人,物,社会制度等の社会資源

問題 115

セルフヘルプグループに関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 セルフヘルプグループのメンバーは,特定の体験を共有し,蓄積し吟味することによって生み出される体験的知識を活用し,問題に対処する。

2 セルフヘルプグループは,既に組織的に活動しているグループを基に形成される。

3 セルフヘルプグループは,多様な専門性を持つ専門職による,多職種連携の一形態である。

4 セルフヘルプグループでは,メンバー間の上下関係を活用する。

5 セルフヘルプグループへの入退会は,グループ運営を円滑に行うために,ソーシャルワーカーがその可否を決定する。

問題 116

グループスーパービジョンに関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 スーパーバイザーがスーパーバイジーの個々人の資質や能力を比較し評価することを目的とする。

2 スーパーバイザーとスーパーバイジー間の信頼関係を,個人スーパービジョンよりも短時間のうちに構築できる。

3 スーパーバイジー同士の議論や検討により,学習効果の高まりを期待することができる。

4 スーパーバイジー個人が抱える課題を,複数のスーパーバイザー間で共有することで,より適切な支援が行われる。

5 個々のスーパーバイジーが担当する事例ではなく,一般的な模擬事例を検討に用いる。

問題 117

ソーシャルワークの記録に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 プランニングシートには,利用者がサービスを利用してどのような生活をしたのかについて記述する。

2 時間の経過に沿ってソーシャルワーク過程において起こる事実を記録する形式を説明体という。

3 逐語録では,話し言葉の記録にソーシャルワーカーの説明や解釈を加えて記述する。

4 的確に情報を伝達することを求められるため,文字情報で統一する。

5 グループインタビューの記録係は,参加者の非言語的反応を含めて記録する。

問題 118

T市役所で地域福祉計画を担当する職員であるK社会福祉士は,次期の地域福祉計画の策定に向けて,2017 年(平成 29 年)に改正された社会福祉法の内容を踏まえ,策定の準備に取り組むこととなった。次のうち,K社会福祉士が取り組む内容として,適切なものを 2 つ選びなさい。

1 現行の計画を評価するために評価委員会を立ち上げ,数量化できる,定量的な事項に限定して客観的に評価を行う。

2 地域住民,福祉・保健・医療関係者,市役所内で計画に係る複数の部局の職員等が参加する地域福祉計画策定委員会を組織する。

3 地域福祉計画に地域住民の意見を反映させるために,各地区の公民館等を会場として地域住民が主体的に参加する懇談会を開催する。

4 計画に対する地域住民の意見は,前回の計画の策定時におけるアンケート調査結果のデータを基にして計画の策定を進める。

5 計画の策定には専門的な知識と技術が必要になるため,市内の社会福祉法人に策定の作業を委託することを検討する。

福祉サービスの組織と経営

問題 119

社会福祉法人制度に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 社会福祉法人が行える事業は,社会福祉事業と公益事業に限定される。

2 社会福祉法人は福祉サービス提供のための法人であるため,診療を行う事業を実施できない。

3 社会福祉法人が解散した際の残余財産は,設立時の寄附者に帰属する。

4 社会福祉法人は,他の社会福祉法人と合併することはできない。

5 社会福祉法人は,社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を行うため,自主的にその経営基盤の強化を図らなければならない。

問題 120

特定非営利活動法人の制度や実態に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 内閣府の統計によると,2018年度(平成 30 年度)末時点の特定非営利活動法人の活動分野として最も多いのは,「保健,医療又は福祉の増進を図る活動」である。

2 特定非営利活動法人の全ての職員のうち,給与を受ける者の数は 3 分の 1 以下でなければならないと法に定められている。

3 一つの市町村のみに主たる事務所を置く特定非営利活動法人の所轄庁は,市町村長であると法に定められている。

4 特定非営利活動法人は非営利組織であるので,収益事業を行うことはできない。

5 特定非営利活動法人の認証を受けるには,社員のうち 3 人以上の者の氏名(法人にあってはその名称及び代表者の氏名)や住所又は居所を記載した書面が必要である。

問題 121

集団の力学に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 集団の凝集性を高めるには,メンバー間の異質性を強化して他の集団との競争を促進させる方策が重要である。

2 集団浅慮とは,集団が外部からの圧力により長期的視野に立つ戦略的な意思決定が起きる現象である。

3 コンフリクトとは,集団内部に発生する対立や闘争であり,集団に肯定的な影響を与えるものではない。

4 集団の凝集性が高まると,メンバー間の親近感が強まるとともにリスクに対する警戒感が強まり,意思決定は堅実なものになる。

5 集団の凝集性が高くても,集団目標と組織目標の一致度が低い場合には,生産性が低下する。

問題 122

福祉サービス提供組織の経営体制と財源に関する次の記述のうち,適切なものを 2 つ選びなさい。

1 個人が社会福祉法人に対してその主たる目的である業務に関連して寄附した場合には,必要書類を添付の上確定申告をすることで所得控除を受けることができる。

2 社会福祉法人のうち,第一種社会福祉事業を経営しない法人は,評議員会を設置しなくてもよい。

3 介護保険制度における介護報酬の支払には,保険者がサービス利用者本人に支払い,その後利用者から事業所に対して支払う法定代理受領の仕組みがある。

4 特定非営利活動法人における社員総会に出席できない社員は,定款の定めるところにより書面による表決に代えて電磁的方法によって表決を行うことができる。

5 特定非営利活動法人は,特定非営利活動に係る事業に支障がない限り,利益の配当をすることができる。

問題 123

福祉サービス提供組織の社会的責任に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 コンプライアンスは,営利組織のためのものであるため,福祉という公益性の高いサービス提供組織においてその確立は求められていない。

2 ディスクロージャーとは,組織内において課題を発見し事故を未然に防ぐ内部監査である。

3 アカウンタビリティとは,ステークホルダーに対する説明責任を指す。

4 ガバナンスは,営利組織の問題であり非営利組織にはその確立が求められていない。

5 公益事業への苦情を通報した利用者を保護するために,公益通報者保護法を遵守しなければならない。

問題 124

介護サービスの人材の確保に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 第7期介護保険事業計画の介護サービス見込み量等に基づく介護人材の必要数は,2020 年度末には約 100 万人が見込まれている。

2 経済連携協定(EPA)に基づく介護福祉士候補者の受入れの対象国は,インドネシア,フィリピン,ベトナムの 3 か国である。

3 厚生労働省が示す「介護に関する入門的研修」の目的は,潜在介護福祉士の現場復帰を目指すプログラムの一環である。

4 介護分野の有効求人倍率は,全産業平均とほぼ同程度で推移している。

5 「平成 29 年度『介護労働実態調査』の結果」(公益財団法人介護労働安定センター)によると,訪問介護員,介護職員の 1 年間の離職率は正規職員,非正規職員合わせて約 30 %であった。

問題 125

社会福祉法人の会計財務等に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 減価償却費は,法人の外部に資金が流出する費用である。

2 貸借対照表の負債の部は,資金を何に投下したかを表す。

3 管理会計は,組織外部者への情報開示を目的とする。

4 事業活動計算書とは,一時点のストックを表すものである。

5 貸借対照表は,バランスシートと呼ばれるように,負債及び純資産の部合計と資産の部合計の金額は一致する。

高齢者に対する支援と介護保険制度

問題 126

「平成 30 年版高齢社会白書」(内閣府)にみる日本の人口の高齢化の動向及び将来推計に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 2025年に後期高齢者数と前期高齢者数が逆転し,後期高齢者数が上回ると予測されている。

2 高齢化率の「倍加年数」は 24 年であり,1970 年から 1994 年にかけてであった。

3 2017年時点で,都道府県の中で高齢化率が最も低いのは東京都であった。

4 65歳以上人口に占める一人暮らしの者の割合は,2040 年には男女共に 40 %を超えると予測されている。

5 2060年に高齢化率は 50 %を超えると予測されている。

(注)「倍加年数」とは,人口の高齢化率が 7 %から 14 %に達するまでに要した年数のことである。

問題 127

高齢者等に関する近年の政策の動向についての次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 「ニッポン一億総活躍プラン」(2016 年(平成28 年)6 月閣議決定)において,2025 年度に向けて,高齢者の介護予防施策に関する成果と要介護認定者数の伸びの抑制についての数値目標が掲げられた。

2 「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」(2017 年(平成 29 年)(厚生労働省))の 7 つの柱において,若年性認知症の人の特性に配慮した就労・社会参加支援等の推進が掲げられた。

3 「高齢社会対策大綱」(2018 年(平成 30 年)2 月閣議決定)において,高齢者の支援において新技術(人工知能や介護ロボット,情報通信技術など)を活用することは,人間的な温かさが乏しいため,避けることが望ましいという提言が行われた。

4 「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(2018 年(平成 30 年)改訂(厚生労働省))では,本人の意思による積極的安楽死についての決定プロセスが規定された。

5 「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」(2018 年(平成 30 年)(厚生労働省))において,認知症の人の意思決定支援については,ケアを提供する専門職員や行政職員は関与しないことが規定された。

問題 128

高齢者保健福祉施策の変遷に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 老人保健法(1982 年(昭和 57 年))により,市町村による 40 歳以上の者に対する医療以外の保健事業(健康教育,健康診査,訪問指導など)の実施が規定された。

2 老人福祉法の改正(1990 年(平成 2 年))により,特別養護老人ホーム等の入所決定権が,国から都道府県に移譲された。

3 介護保険法(1997 年(平成 9 年))により,第一種社会福祉事業は原則として民間営利企業が経営することとなった。

4 高齢者の医療の確保に関する法律(2006 年(平成 18 年))により,老人訪問看護制度が創設された。

5 高齢者の居住の安定確保に関する法律の改正(2011 年(平成 23 年))により,高齢者向け優良賃貸住宅の制度が創設された。

問題 129

介護予防に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 指標としての健康寿命とは,健康状態で生活することが期待される平均期間である。

2 サルコペニアとは,加齢によって予備力が低下し,ストレスへの回復力が低下した状態で,要介護状態の前段階といえる。

3 2016 年(平成 28 年)における平均寿命と健康寿命の差は,女性より男性の方が大きい。

4 フレイルとは,高齢期の筋量や筋力の低下,それに伴う身体機能低下で,サルコペニアの要因の一つである。

5 予防・健康づくりの推進のための介護予防と生活習慣病対策・フレイル対策は,一体的に介護保険で行われている。

問題 130

片麻痺(まひ)の要介護者に対する介護の方法に関する次の記述のうち,適切なものを 1 つ選びなさい。

1 上着を脱がせるときは,麻痺のある側から脱がせ,着るときは麻痺のない側から袖を通す。

2 車いすからベッドへ移乗介助する場合,ベッドに対して要介護者の患側に車いすを置く。

3 移動介助におけるボディメカニクス活用として,介助者の支持基底面を狭くとる。

4 食事時の座位姿勢として,頸部(けいぶ)は体幹に対して後屈の姿勢とする。

5 杖(つえ)歩行の介助を行う場合,介助者は杖を持っていない側の後ろに立つ。

問題 131

事例を読んで,L介護支援専門員(社会福祉士)が行う支援で,適切なものを 2 つ選びなさい。

〔事例〕脳伷塞後遺症で左片麻痺のMさん(84 歳,要介護 3 )の在宅生活に向けた退院時カンファレンスが開催された。Mさんは 79 歳の妻と二人暮らしで,主たる介護者は妻である。Mさんは杖歩行の訓練中であるが,転倒防止のため車いすを使用している。カンファレンスで,「在宅生活でも車いすの継続利用が望ましい」と理学療法士の意見があった。そのため,自宅の住宅改修などを行う必要性があることが話し合われ,居宅介護支援事業所のL介護支援専門員が居住環境の見直しをすることとなった。

1 住宅改修は,Mさんより,介護者である妻の希望を優先する。

2 在宅生活のため,屋外の段差解消は必要ないと説明する。

3 浴室での座位保持のため,入浴用椅子の購入を勧める。

4 居宅介護住宅改修費の支給限度基準額は 10 万円であることを伝える。

5 畳からフローリングへの変更が可能であると伝える。

問題 132

介護保険制度に関する次の記述のうち,国の役割として,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 介護保険事業支援計画を策定すること。

2 介護給付費等審査委員会を設置すること。

3 介護保険に関する収入及び支出について特別会計を設けること。

4 市町村に対して介護保険の財政の調整を行うため,調整交付金を交付すること。

5 指定情報公表センターの指定をすること。

問題 133

介護保険制度の地域支援事業における介護予防・生活支援サービス事業に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 この事業は,被保険者のうち,居宅で生活している要介護者及び要支援者が幅広く対象となっている。

2 通所型サービス(第一号通所事業)では,保健・医療専門職による短期間で行われるサービスが実施可能となっている。

3 訪問型サービス(第一号訪問事業)では,訪問介護員による身体介護は実施されないこととなっている。

4 介護予防ケアマネジメント(第一号介護予防支援事業)については,地域包括支援センターへ委託をしてはならないこととなっている。

5 この事業における利用者負担は,全国一律になっている。

問題 134

厚生労働省の介護人材確保対策に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 介護福祉士の資格等取得者の届出制度では,離職した介護福祉士に対し,その再就業を促進し効果的な支援を行うため,都道府県福祉人材センターに氏名・住所等を届け出ることを努力義務としている。

2 介護保険制度の介護報酬における介護職員処遇改善加算では,介護サービス事業所・施設等が特段の届出や要件を問われることなく,介護職員の賃金増額などを図るための加算を取得できることとなっている。

3 福祉・介護人材確保緊急支援事業により,キャリア支援専門員が福祉事務所に配置され,個々の求職者にふさわしい職場を開拓するとともに働きやすい職場づくりに向けた指導・助言を行うこととなっている。

4 「2025年に向けた介護人材の確保」によると,介護人材の構造転換を図るために,専門性の高い人材を活用する「富士山型」の方策から,基礎的な知識を有する人材を活用する「まんじゅう型」の方策へと転換を図る必要性が示されている。

5 「2025年に向けた介護人材の確保」によると,中高年齢者等や介護未経験の者に対し,生活支援サービスの担い手養成のための研修の受講を支援するため,介護福祉士等修学資金貸付制度の充実を図るとされている。

(注)「2025年に向けた介護人材の確保」とは,「2025 年に向けた介護人材の確保~量と質の好循環の確立に向けて~」(平成 27 年 2 月 25 日社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会)のことである。

問題 135

「平成 29 年度『高齢者虐待の防止,高齢者の養護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果」(厚生労働省)で示されている「養介護施設従事者等」による高齢者虐待に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 市町村等が虐待と判断した件数は,2008 年度(平成 20 年度)以降,減少傾向にある。

2 虐待の発生要因として最も多いものは,「倫理観や理念の欠如」である。

3 虐待の事実が認められた施設・事業所のうち,およそ 3 割が過去に何らかの指導等(虐待以外の事案に関する指導等を含む)を受けている。

4 被虐待高齢者の状況を認知症高齢者の日常生活自立度でみると,「Ⅰ」が全体のおよそ 4 分の 3 を占めている。

5 虐待の内容として最も多いものは,「経済的虐待」となっている。

(注)「養介護施設従事者等」とは,養介護施設又は養介護事業の業務に従事する者を指す。

児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度

問題 136

社会保障審議会児童部会に設置された児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会の「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第 14 次報告)」(2018 年(平成 30 年))に示された心中以外の虐待死に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 死因となる虐待の種類は,ネグレクトが最も多い。

2 主たる加害者は,実父が最も多い。

3 虐待通告を受理した後,48 時間以内に安全確認をすることを新たに提言した。

4 死亡した子どもの年齢は, 0 歳が最も多い。

5 児童相談所が関与していた事例が半数を超えている。

問題 137

次のうち,子どもの権利に関する先駆的な思想を持ち,児童の権利に関する条約の精神に多大な影響を与えたといわれ,第二次世界大戦下ナチスドイツによる強制収容所で子どもたちと死を共にしたとされる人物として,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 ヤヌシュ・コルチャック(Korczak, J.)

2 トーマス・ジョン・バーナード(Barnardo, T.J.)

3 セオドア・ルーズベルト(Roosevelt, T.)

4 エレン・ケイ(Key, E.)

5 ロバート・オーウェン(Owen, R.)

問題 138

児童福祉法に基づく里親制度に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 里親には,養育里親,養子縁組里親,親族里親,週末里親の 4 種類がある。

2 里親となることを希望する者に配偶者がいなくても,都道府県知事が認めれば里親として認定される。

3 全ての里親希望者は,必要な研修を受講することが義務づけられている。

4 一人の里親希望者に対して,異なった種類の里親を重複して認定することはできない。

5 里親への委託が開始される児童の年齢は,12 歳未満と定められている。

問題 139

母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)の業務に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 配偶者からの暴力がある家庭で乳幼児を養育している母につき,子と共に一時保護する。

2 妊娠・出産・子育てに関する妊産婦等からの相談に応ずるとともに,必要に応じ,支援プランを策定する。

3 乳幼児がいる世帯の経済的な問題に関する保護者からの相談に応ずるとともに,必要に応じ,現金給付を行う。

4 保育所利用の申請に関する相談に応ずるとともに,保育所利用の申請を受け付け,入所の可否の判断を行う。

5 病院又は診療所の付置が義務づけられており,必要に応じて出産や病気の診断,治療等の医療行為を行う。

問題 140

要保護児童対策地域協議会に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 国は,要保護児童等を支援するために,関係機関,関係団体及び関係者により構成される要保護児童対策地域協議会を設置しなければならない。

2 児童相談所長は,要保護児童対策地域協議会を構成する関係機関等のうちから,1 個に限り要保護児童対策調整機関を指定しなければならない。

3 要保護児童対策調整機関の調整担当者は,厚生労働大臣が定める基準に適合する研修を受けなければならない。

4 要保護児童対策調整機関には,専門的な知識及び技術に基づき適切な業務を行うことができる者として,主任児童委員を配置しなければならない。

5 母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)を設置した市町村は,要保護児童対策地域協議会を廃止することとされている。

問題 141

事例を読んで,学校が最初に行う対応として,適切なものを 2 つ選びなさい。

〔事例〕小学校 2 年生のAちゃん(女児)には度々あざがあり,理由を聞かれると転んだと話していた。その日は顔が腫れ上がっており,学級担任が尋ねると,父親に殴られたことを打ち明けた。Aちゃんは,父親が怖いので家に帰りたくないと話した。父親は日頃から学校に対しても威圧的な要求が多かった。学級担任はすぐに校長にこのことを報告した。

1 養護教諭,学年主任,校長がそれぞれAちゃんから聞き取りを行い,父親から殴られた詳細について,重ねて確認する。

2 Aちゃんが父親から殴られたと話していることを母親に伝え,あざの原因を問いただす。

3 Aちゃんを帰宅させ,速やかに職員会議を開いて,全教職員にこのことを伝え,情報収集と協議を行う。

4 速やかに児童相談所に通告する。

5 速やかに教育委員会に連絡する。

問題 142

児童相談所の設置及び業務に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 都道府県及び政令指定都市・中核市は,児童相談所を設置しなければならない。

2 児童相談所長が行う一時保護は,保護者の同意なく 1 か月を超えてはならない。

3 児童相談所長は,児童本人の意に反して一時保護を行うことはできない。

4 児童相談所長は,児童等の親権者に係る民法の規定による親権喪失の審判の請求を行うことができる。

5 管理栄養士の配置又はこれに準ずる措置を行うものとする。

就労支援サービス

問題 143

日本の労働法制に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 日本国憲法第 28 条が保障する労働三権は,団結権,団体交渉権,勤労権である。

2 労働者災害補償保険の保険料は,事業主と労働者が折半して負担する。

3 雇用保険法において失業とは,被保険者が離職し,労働の意思及び能力を有するにもかかわらず,職業に就くことができない状態にあることをいう。

4 最低賃金法に基づく地域別最低賃金は,都道府県知事が決定する。

5 労働契約法は,使用者は,労働者に 1 週間について 40 時間を超えて労働させてはならないと規定している。

問題 144

障害者雇用率制度に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 民間企業の法定雇用率は,2018 年度(平成 30 年度)から 3.0 %になっている。

2 障害者雇用納付金制度は,対象障害者の雇用に伴う経済的負担の調整並びにその雇用の促進及び継続を図ることを目的としている。

3 週所定労働時間が 20 時間以上 30 時間未満の障害者は,雇用率算定の対象にはならない。

4 法定雇用率未達成の企業は,企業規模にかかわらず障害者雇用納付金が徴収される。

5 厚生労働大臣は,法定雇用率が未達成の場合,原則として企業名を公表しなければならない。

問題 145

福祉事務所の就労支援員の業務に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

1 公共職業安定所(ハローワーク)への同行支援

2 障害者雇入れ計画の策定指導

3 健康管理の指導

4 職業能力開発促進法に基づく公共職業訓練

5 職場適応のためのジョブコーチ支援計画の策定

問題 146

事例を読んで,障害者就業・生活支援センターのB支援担当職員(社会福祉士)が行うべき支援として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

〔事例〕障害者就業・生活支援センターのB支援担当職員は,知的障害のあるCさんから,勤務先で担当する仕事の内容が変わったため,それに対応するのが難しくて失敗が多くなり,出勤する意欲が湧かなくなってしまったと相談を受けた。実際,既に1 週間仕事は休んでいるが,現在の事業所での就労は継続したいという。Cさんは,10 年前に特別支援学校高等部を卒業と同時に現在の事業所に就職した。

1 近隣の就労移行支援事業所が行う就労定着支援を利用するよう助言する。

2 卒業した特別支援学校に対して,Cさんの新たな個別の教育支援計画の策定を要請する。

3 障害者職業能力開発校において,現在求人の多い職種での職業訓練の受講をするように助言する。

4 職業適性上の課題が考えられるので,地域障害者職業センターに職業準備支援を依頼する。

5 事業所を訪問して状況を確認した上で,関係者によるカンファレンスを開催する。

更生保護制度

問題 147

保護観察に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 保護観察は,保護観察対象者の居住地を管轄する保護観察所が行う。

2 保護観察の対象者は,自らの改善更生に必要な特別遵守事項を自分で定める。

3 保護観察処分少年の保護観察期間は,保護処分決定の日から,原則として 18 歳に達するまでの期間である。

4 保護観察の良好措置として,仮釈放者には仮解除の措置がある。

5 保護観察の不良措置として,少年院仮退院者には退院の措置がある。

問題 148

更生緊急保護に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 対象となる者からの申出がない場合は職権で行うことができる。

2 対象となる者に仮釈放中の者を含む。

3 対象となる者が刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束を解かれた後 2 年を超えない範囲内において行われる。

4 刑事施設の長又は検察官がその必要があると認めたときに限って行われる。

5 更生保護事業を営む者に委託して行うことができる。

問題 149

保護司に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 保護司の職務に,犯罪予防を図るための啓発及び宣伝の活動は含まれない。

2 保護司には給与は支給されないが,職務に要した費用は実費弁償の形で支給される。

3 保護司は,検察官の指揮監督を受けて職務に当たる。

4 保護司は,保護観察対象者の居住先を訪問することは禁じられている。

5 保護司は,「平成 30 年版犯罪白書」(法務省)によると,40~49 歳までの年齢層が最も多く,過半数を超えている。

問題 150

事例を読んで,Z保護観察所が行うDさんの生活環境の調整に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

〔事例〕U矯正施設に収容されたDさん(55 歳,男性)は,施設からの釈放後に家族のもとで生活することを希望している。Z保護観察所に対し,U矯正施設からその旨の通知があった。

1 Dさんの生活環境の調整は,Dさんの仮釈放決定後に開始する。

2 Dさんの希望に関係なく,まずU矯正施設の所在地域にある更生保護施設への帰住を調整する。

3 Dさんの生活環境の調整を,保護司と協力して行うことは認められていない。

4 Dさんの生活環境の調整の方法として,Dさんの家族その他の関係人を訪問して協力を求めることがある。

5 Dさんの釈放後の就業先を確保することは,Dさんの生活環境の調整を行う事項に含まれない。

第32回社会福祉士国家試験の解答へ

※過去問題の内容・解答は、試験実施年度当時の情報です。制度改正等による変更がある可能性があります。

働きたいエリアに「賞与あり」の
求人はどれくらいある?
介護職員・ヘルパー
賞与・ボーナスあり
の求人をチェック!
カイゴジョブ編集部

監修者 カイゴジョブ編集部

介護業界でがんばる皆様、転職を検討している皆様を全力応援!お悩みQ&Aや転職ノウハウなど、お役立ち情報を発信します。

生活相談員・相談職の求人を都道府県から探す

関連記事