作業療法士は、応用動作のリハビリテーションを行う専門職として、医療機関をはじめ、介護施設、障害福祉施設など様々な分野に渡り活躍しています。作業療法士として、現在の職場から転職を考えている人には、今までと違う分野の働き方や待遇面などが気になっている人もいらっしゃるでしょう。
ここでは、介護分野の作業療法士の活躍の場である「介護老人保健施設」についてご紹介します。
介護老人保健施設とは?
介護老人保健施設とは、要介護度1以上の高齢者が在宅復帰を目標に生活を送る施設です。医師をはじめ、看護職員、リハビリ専門職、栄養士、介護支援専門員、相談援助職、介護職などの多職種が連携して、入所者に医療、リハビリテーション、介護を提供しています。
医療機関からすぐに在宅復帰が難しい状態の方などを受け入れ、在宅復帰に向けたリハビリテーションを提供するだけでなく、介護老人保健施設から在宅復帰した方へ、通所リハビリテーションや訪問リハビリテーションを提供して在宅生活を支えています。
介護老人保健施設でのリハビリ職の人員体制
介護老人保健施設では人員に関する基準によって、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のいずれかの有資格者をリハビリ専門職として配置することが定められています。配置人数は、入所者100名に対して1名以上が定められていますが、実際は在宅復帰への多様な取り組みや充実したリハビリテーションを提供するため、複数名のリハビリテーション専門職が働いています。
介護老人保健施設で働く作業療法士の仕事内容
仕事内容
介護老人保健施設で提供するリハビリテーションは、在宅復帰を念頭に、生活に関連する能力の維持・向上のための個別リハビリや集団リハビリを行います。リハビリテーションの視点として、例えば、在宅復帰後の日常生活の役割を支援するために、片手でも洗濯物をきちんと広げて干すためのリハビリ、安全に包丁を使って料理するためのリハビリ、読み・書きなどの認知機能に対するリハビリなどを行ったりします。
病院での業務との違い
病院での業務の違いとして、病院では治療を目的としたリハビリテーション、介護老人保健施設では在宅復帰を目的にしたリハビリテーションという点が挙げられます。目的の違いによって、病院の機能訓練室と介護老人保健施設の生活スペースなど、リハビリテーションを実施する場所にも違いがあります。
介護老人保健施設で働く作業療法士の勤務時間と一日の流れ
一般的にリハビリテーションは日中帯に実施されるので、作業療法士の勤務時間は日中帯になっています。
作業療法士の1日の流れ | |
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8:30 | 出勤 |
9:00 | ミーティング |
10:00 | 入所者、通所リハビリ利用者等のリハビリ |
11:30 | 記録 |
12:00 | 昼食 |
13:00 | 入所者、通所リハビリ利用者等のリハビリ |
16:30 | サービス担当者会議 |
17:00 | 記録 |
17:30 | 退勤 |
介護老人保健施設で働く作業療法士の給料
ここでは介護老人保健施設で働く作業療法士の給料についてご紹介します。
東京都内の求人情報を確認すると、給料は月額24万円~35万円、年収360万円~480万円ほどとなっています。兼務の状況や経験年数の評価などで給料に差があるようです。
介護老人保健施設での作業療法士としてのやりがい・苦労
やりがいや魅力
介護老人保健施設では、在宅復帰という目標に向けたリハビリテーションを行います。在宅へ帰る時に入所者から受ける感謝の言葉が、仕事のやりがいに繋がっているようです。また、在宅復帰に向けて環境整備や福祉用具の選定に関わる機会があるなど、医療機関ではできない経験を積むことも魅力になっているようです。
大変なことや苦労
施設の入所者からは「リハビリの先生」と認識され、理学療法士や言語聴覚士と同じようなリハビリテーションの実施を希望されることもあるようです。また、同じように病院で行っていたリハビリテーションと同じような内容を希望されることもあり、リハビリテーションの種類の違いや内容を理解してもらうまでに苦労を感じることという意見がありました。
まとめ
介護分野の介護老人保健施設をピックアップしてご紹介しました。介護老人保健施設は、他の分野と違う経験を積むことができるので、興味をお持ちの方はせひ一度、職場見学などで雰囲気を感じてみてください。
監修者 カイゴジョブ編集部
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