法人トップの介護観 生活科学運営 代表取締役社長 浦田慶信様

「若手介護士に思う・・・もっと ◯ ◯ すれば」

―最近、介護の現場全体に20代の入職者が増えつつあります。大学で福祉を専攻して新卒入職の方も増えていますが、異業種から40代で介護業界に入った浦田社長はどのように感じていらっしゃいますか?

法人トップの介護観 生活科学運営 代表取締役社長 浦田慶信様

浦田社長 もっと視野を広く持ってくれたらいいのに。と感じています。あ、それは介護業界に来るなということではないですよ(笑)。多くは「介護がやりたい」と言うのですが、“この会社で何が出来るか”と考えてくる人はとても少ないです。例えばアパレル志望の人は、服が好き、ブランドが好きということが動機なのだろうと思いますが、「○○デパートの×階で働きたいから入社したい」とは言わないですよね?

―それは生活に密着するという介護ならではの特徴でしょうか。

浦田社長 そうなんでしょうか?でも、30になっても40になっても同じ店で同じ洋服の販売ができる訳ではなく、ある時期がきたらブランドを変えるなり、デザイン部門や管理系統に変わるなりしていくのが自然。でも介護スタッフは、この事業所でこの人たちとずっと・・・というこだわり方が強い。事業単位として目が向かないんでしょうね。それが悪いとは言いませんが、一般社会に比べ視野が狭くなりがちな印象はあります。

「スペシャリストではなくジェネラリストになれ。」

―実際、求職者の方にインタビューしても二極化している印象はあります。「上を目指すぞ!将来は独立するぞ!」というベンチャーマインドのある方と、「役職不要、結婚しても出産しても現場にいたい!」という超現場志向の方と。

人事担当 当社では10人中9人が育児休業から復職しています。妊娠中は孫の出産のようにご入居者やスタッフなど、皆さんに見守られながら働き、産まれたら本当の祖父母に見せるように生まれた子どもの顔を見せに行くなどして、関係性が途切れないのが戻りやすさに繋がっているのかもしれません。

浦田社長 現場が好きなのは嬉しいことです。でも、現場で色々なことに気付いてくると「これはどうなんだ?」「あれはどうなんだ?」という疑問やもっと理解したいという“欲”が出てくるはずなんです。対ご入居者だけではなく施設のレイアウトや立地、こういう用具があったら便利なのにとか。そういう ちょっとした気付きを広く仕事に繋げて欲しい と思っています。

―それは生活に密着するという介護ならではの特徴でしょうか。

浦田社長 そうなんでしょうか?でも、30になっても40になっても同じ店で同じ洋服の販売ができる訳ではなく、ある時期がきたらブランドを変えるなり、デザイン部門や管理系統に変わるなりしていくのが自然。でも介護スタッフは、この事業所でこの人たちとずっと・・・というこだわり方が強い。事業単位として目が向かないんでしょうね。それが悪いとは言いませんが、一般社会に比べ視野が狭くなりがちな印象はあります。

―御社では、気付きは新しいキャリアの始まりということでしょうか?

浦田社長 そうです。様々な気付きを目の前の方のケアに向けるのはスペシャリストの発想です。でも当社は、他社と比較しても多くの職種があります。例えば、物件調査、設計、建築などハード面。ゼロから思いっきり関わります。他には調理専門職員がおり、食事には素材からこだわっています。減農薬栽培の農家と直接契約し安心なものを安定供給するなどの工夫もしています。広報誌の制作も自社で行っています。当社は様々な視点で働ける環境ですから、 ケア以外の道にも専門性をみつけるジェネラリスト思考 が欲しいんです。

法人トップの介護観 生活科学運営 代表取締役社長 浦田慶信様

―そうなると、採用する人材も多様化しますね。

浦田社長 むしろそうしたいです。先ほどジェネラリストになってほしいと言いましたが、やはり 「現場でスペシャリストを目指したい」 という考えの人も必要になるでしょう。そのため給与体系も2本化したらどうかというアイデアもあります。いわゆる現場の叩上げのスタッフには年功序列のような、経験に比例する昇給スタイル。幹部候補が迷わず入社できるように、他業種に引けを取らない成果給にするなども必要になってくるでしょうね。当社はボトムアップの会社です。現場のやる気が促進するようなものを今後も考えていきます。(編集注:給与例実現確率は現在未定)

――具体的にはどんな人が介護業界に入ってきて欲しいですか?自社の採用基準ということではなく、「介護」に向く性格というものはあると思いますか?

浦田社長 人間力のある人がいいですね。具体的にはコミュニケーション能力が1番で、協働力、未来予知力、洞察力が必要だと思います。特に当社の施設では健康な内から居を構える方もいらっしゃって、ご入居者の中には、何も言わない方も多くいます。でも言いたいことがないわけではなく、遠慮だと思うんです。だからこそ見えることだけに反応するような仕事の仕方はしない、サイレントマジョリティの声をちゃんと拾う。変化を察する。考えて行動する。ということを大切にする人がいいですね。組織としてもそうありたいと望んでいます。

「くれば分かる。感じないと分からない。」

くれば分かる。感じないと分からない。

―なるほど。それは創業時からのお考えですか?

浦田社長 自分が社長になり、その中で強く意識付けたというのはありますが、創業時から我が家としての暮らし、地域コミュニティーの拠点という考えの下、広く開放された施設運営をしている点は変わりません。それを他社のどこよりも早くそこに着目してやってきたということが自慢の一つです。驚くほど人の往来が自由で、 「いつでも誰でもきてください。見られて困るものはありません」 というスタンスです。それに来た人が外で褒めてくれれば最高の宣伝になるでしょ!(笑)

―確かにそうですね。クチコミほど強いものはありません、ただ残念ながら、お話しだけだと私には他社さんの取組みとの違いが分からないです。

浦田社長 そう!!!!!だから「見にきてください」といつも言っています。私自身が視察などに出て「やられた」「負けた」っていう感じや焦りを感じた他施設はまだありません。言葉にするとささやかですが、一つひとつのことをどこまで深められるかということが“当社じゃなきゃ出来ない、当社らしさ”の一つで、これも自慢です。少しでも気になった方は、見に・・・ではなく、是非いつでも“感じに”来てください。

入社当時は、入居相談員をしていたという浦田社長。老人施設=姥捨て山というイメージが残存する中で、駅前の一等地に施設を構える斬新さや、同じ営業職なのに前職と違い「ありがとう」と感謝されたことに驚嘆したといいます。そのまま入居相談員として定年を迎える予定だったと話していましたが、反面、何かを創出したかったという熱い思いが伝わってきました。こうした社長率いる株式会社生活科学運営ならやりたいことが実現できる・・・かも知れませんね。 (取材・撮影:カイゴジョブ取材班)