【2023年最新】就労支援員とは?役割・仕事内容・必要な資格について徹底解説

【2023年最新】就労支援員とは?役割・仕事内容・必要な資格について徹底解説

就職を希望する方を導き、サポートする就労支援員。

名前でどんな仕事なのか想像することはできますが、果たしてどんな人に向けてどんなサポートをするのか具体的な仕事内容を知っている方は少ないのではないでしょうか?

そこで今回は、就労支援員とはどんな役割を持つ職業でどんな仕事をしているのか、就労支援員になるために必要な資格や要件について詳しく紹介します。

就労支援員とは?

就労支援員は、病気や貧困などで就職が困難な状況にある方を対象に、就職活動のサポートを行う職業です。

また、利用者が就業した後も職場訪問などを重ね、しっかり業務に取り組めているか、職場に馴染めているかなどの把握とフォローも行います。言わば、病気や貧困などで就職に悩む方に向けた「進路相談室」や「キャリアセンター」のようなイメージです。

就労支援の対象は事業所により異なりますが、具体的な例を挙げると障害や病気を抱えている方や貧困により生活保護を受けている方、子どもを一人で育てなければならない状況にあるシングルマザーなどです。

就労支援員の社会的な役割とは?

就労支援員の役割は単に利用者に対して、就職のためのサポートを行うことだけではありません。

求職者は「就労」することで、働いてお金を得ることだけでなく、自立して社会とのつながりを得られます。

病気や貧困で苦しむ方は、境遇ゆえに社会から隔絶されるケースも少なくありません。すると、さらに病気や貧困が進んでしまい、悪循環に陥るケースもあります。

しかし、仕事に就いて自立し社会とのつながりを得ることにより、悪循環を断ち切って前に進めるようになります。就労支援員は、そのような大きな意義を持つ仕事であり、社会的にも大事な役割を担っているとも言えます。

就労支援員の具体的な仕事内容って?

それでは、就労支援員は求職者に対してどんなサポートを行っているのでしょうか?

具体的にいうと、以下の3つが挙げられます。

  • 求職者の指導
  • 関係機関との連携
  • 就職後のサポート
  • ここからはそれぞれの業務内容を具体的に説明していきます。

    求職者の指導

    まず就労前の支援として、求職者のビジネスマナー指導や履歴書の添削、面接練習などを行います。

    また、求職者の希望や適正に合わせて、パソコンや印刷、工場、木工や園芸など、就労のための技術指導や訓練指導を行うこともあります。

    関係機関との連携

    就労までスムーズに進めるためにハローワークや就職先の候補となる企業との連絡調整を行うことも就労支援員の大事な仕事です。

    職場見学や面接に同行して、求職者と関連機関のパイプ役を担うこともあります。

    就職後のサポート

    就職した後も就労支援員の業務は続きます。しっかり仕事に取り組めているか見守っていくことはもちろん、悩みを抱えていないか、この先も継続的に仕事を続けていけそうかなどを相談する機会をこまめに設けて、フォローします。

    「職業指導員」とは何が違う?

    「就労支援員」と「職業指導員」は"就労をサポートする"ことにおいて大きな違いはありませんが、対象とする人に大きな違いがあります。

    職業指導員の支援対象となるのは、「(一般企業に就職を求める)障害を持つ方」に限定されます。それに対して、就労支援員の対象者は障害を持つ方だけでなく、生活保護を受ける方やシングルマザーなども該当します。そのため、より幅広い方へ就労サポートを行えるようにスキルや経験を身に付けることが重要になります。

    就労支援員の1日のスケジュール例

    では、就労支援員はどんな1日を過ごしているのでしょうか?ここでは就労移行支援事業所で働く就労支援員のスケジュール例を見てみましょう。
    9:00 出勤・朝礼
    9:15 求職者との面談/実習先や就業先探しなど
    12:00 昼食
    13:00 ハローワークや就業先との調整/面接同行/就業先を訪問して相談に乗るなど
    15:00 休憩
    15:30 履歴書や応募書類の添削/求職者との面接練習/支援記録の記入など
    18:00 退勤

    就労支援員になるには?必要な資格・要件を解説

    就労支援員になるために、必須となる資格や要件は基本的にありません。

    しかし、障害がある方をスムーズに導くために、介護に関わる資格や障害者支援に関わる資格の取得を求める事業所も少なくありません。

    その他にも、事業所によっては目が不自由な求職者のために点字のスキルを求めたり、耳が不自由な求職者のサポートをするために手話ができる人を求めたりするケースがあります。

    就労支援員の業務で役立つ資格3選

    就労支援員を目指すにあたり法令上の資格要件はありませんが、持っていると転職活動が進みやすくなったり、業務に役立ったりする資格は複数あります。

    その中でも、とくに事業所側から即戦力として期待されやすい資格を3つ紹介します。

    社会福祉士

    社会福祉士は病気や障害を抱える方や生活困窮者、ひとり親の家庭など、日常生活において困難を抱える方の相談・支援を行えるスキルがあると証明できる国家資格です。高齢者福祉、障害者福祉、児童福祉など、福祉に関わる様々な事業所の相談業務において必要とされています。

    取得には国家試験に合格しなければならないのですが、受験するためにも条件があり、

  • 4年生の福祉大学で指定科目を履修して単位を得る
  • 福祉系の短期大学で3年間指定科目を履修し、1年間相談援助業務を経験する
  • 福祉系の短期大学で2年間指定科目を履修し、2年間相談援助業務を経験する
  • 上記のうちどれか1つに当てはまらなければ国家試験を受けることもできません。

    社会福祉主事任用資格

    社会福祉主事任用資格も、病気や障害、貧困などにより生活に困っている方に対して支援を行える専門家としての資格です。

    社会福祉士とよく混同されがちですが、全く異なります。まず「任用資格」とは、公務員などの採用試験に合格し、かつ専門職として配置されて初めて効力を発揮する資格のことを指します。そのため、社会福祉主事任用資格は、国家試験ではなく、地方公務員試験を受けて合格し、福祉事務所に配属されて初めて名乗ることができます。

    児童指導員任用資格

    児童指導員任用資格は、様々な事情により放課後等デイサービスや児童養護施設などに入所・通所する子どもたちの療育・支援を行える資格です。児童指導員は保護者の相談相手になることもあるため、そういった業務経験が、一人で子どもを育てなければいけない方の就労支援の際に役立ちます。

    児童指導員任用資格も、社会福祉主事と同様に「任用資格」のため、専門課程の修了または特定の資格を取得し、児童指導員として施設に配属されることで効力を発揮します。

    児童指導員任用資格を得るには様々な方法があり、高卒・大卒問わず実務経験の年数によって任用資格を得ることが可能です。

    就労支援員が活躍できる職場・就職先

    就労支援員が活躍できる職場は、就労支援を行っている障害者関連施設や職業訓練などを行っている児童福祉事業所などです。

    ここからは、就労支援員の就職先として多い代表的な事業所を3つ例に挙げて説明していきます。

    就労移行支援事業所

    就労移行支援事業所は、一般企業で働ける65歳未満の障害者を対象とし、就労支援を行う事業所です。

    応募職種の添削や面接練習のほか、求人情報の提供、就職後のフォローなどが就労支援員の主な業務となります。

    就労継続支援事業所

    就労継続支援事業所は、一般企業での就労が困難な障害者に対して就労訓練や就労機会の提供を行う事業所です。利用者に一般企業で働くスキルを身に付け、将来的に一般企業に就労してもらうことを目的としています。

    ここでの就労支援員の主な業務は、利用者が障害や体調にあわせて自分のペースで働けるように一緒に準備をしたり、就労訓練になる業務を紹介したりすることです。

    また、就労継続支援にはA型とB型があり、支援内容や支援の対象となる方に違いがあります。

    就労継続支援A型とB型の違いは?

    就労継続支援A型とB型の違いは大きく3つあります。

    1つ目は、雇用形態の有無です。就労継続支援A型は、利用者が一定の支援を受けながら企業と雇用契約を結んで就労しますが、B型の場合は就労継続支援事業所を通して特定の業務のみを請け負う形になるため、雇用契約が発生しません。

    2つ目は就労支援の対象者です。A型の場合、原則18歳以上65歳未満の障害のある方が対象となり、特別支援学校を卒業し就労経験が無い方でも利用することができます。一方、B型の場合は年齢の制限がなく、就労移行支援事業者などの利用で就労面の課題が把握されている方や、障害基礎年金1級を受給している方などが対象となります。

    3つ目は利用者の収入です。A型の場合、雇用契約が発生しているため最低賃金以上の給与が必ず支払われます。しかし、B型の場合は納品された物に対する成果報酬として「工賃」が支払われます。そこには雇用契約が無いため、最低賃金よりも低い金額で支払われるケースが多いと言われています。

    児童福祉事業所

    児童福祉事業所は、様々な事情により保護者と一緒に暮らせない子どもや、病気や障害により専門的なケアが必要となる子どもが利用する事業所です。

    就労支援員の主な業務は、子どもたちが希望する職業に就けるように進路相談に乗ったり、情報提供を行ったり、講習を行ったりすることです。また、子どもたちが無事に就職した後もフォロー面談を行い、継続的に勤務できるようにサポートします。

    就労支援員の年収・給与はどれくらい?

    厚生労働省の調査によると、就労支援員の1人あたりの年収平均は常勤で333万6832円、非常勤で210万9184円となっています。(※出典:平成29年障害福祉サービス等経営実態調査結果(参考表) |厚生労働省

    そのため、単純計算での月給の目安は常勤であれば27万8069円ほどで、非常勤であれば17万5765円ほどです。日本人の平均給与が436万円と公表されていますので、比較するとかなり低いことがわかります。

    また、就労支援員は様々な資格・経験が生かせる職業なので、平均値に資格手当が含まれて高見えしている可能性があります。未経験・無資格での入社の場合は、平均額よりもさらに額面が低くなると思っておいた方がよいでしょう。

    就労支援員の仕事に将来性はある?

    就労支援員は将来性のある職業です。

    厚生労働省による調査では、何らかの障害を持つ方の人口は2006年から2018年の12年間で655.9万人から936.6万人と、約300万人近く増加していることがわかっています。

    ※出典:障害者数の推移|厚生労働省(平成30年度)

    理由は諸説ありますが、医療の発達による高齢者の障害者数増加やメディアによる障害に対する認識の広がりなどが要因と考えられており、今後も増加傾向が続くと言われています。

    それに伴い、就労支援員の主な勤務先である、就労移行支援事業所、就労継続支援事業所、児童福祉事業所も近年増加し続けています。

    ※出典:障害福祉サービス等における主なサービス種類別に見た総費用額の推移(各年度合計)|厚生労働省

    また、各事業所には「前年度の平均利用者数÷15以上の常勤の就労支援員を配置しなければならない」という明確な配置義務があるため、事業所が抱える利用者の人数が増えれば増えるほど、就労支援員も多く雇用しなければなりません。

    そのため、今後も引き続き就労支援員のニーズは高まっていくと考えてよいでしょう。

    就労支援員の仕事探しのポイント3選

    ここからは、就労支援員として就職したい方・転職を考えている方向けに、求人の中でチェックしておきたいポイント3選をご紹介していきます。

    ①給与面

    求人を見る時に給与欄を確認するのは当たり前のことですが、就労支援員の場合はさらに注視しておきたいポイントがあります。

    それは、自分の保有資格・経験によってどれだけの収入が見込めるのかです。

    事業所によっては、「資格手当」としか書かれておらず、どんな資格保有者を歓迎しているのか、明確にしてない場合もあります。もし求人内容だけでわからなければ、一度応募してみて面接の際に担当者と給与の交渉するのも有効な手段です。

    ②利用者の傾向

    2つ目に重要なポイントは、その事業所を利用する方の傾向です。

    前述の通り、就労支援員は勤務する事業所の種類によって対象者の状況が大きく変わります。若年層が多いのか、精神的に不安を抱えた方が多いのかなど、求人から利用者のざっくりとした傾向を知るだけで、今後の業務を想像でき自分にできる仕事か、続けていけそうかイメージしやすくなります。

    また、近年ではIT特化型やWEB特化型の就労移行支援事業所なども増えています。各事業所の個性が自分の働き方と合うか見極めることも大切です。

    ③悩みを相談できる機会があるか

    3つ目に重要なポイントは、仕事で悩んだ時に相談できる機会があるかです。

    就労支援員の仕事は楽しいことばかりではありません。担当する利用者さんとのコミュニケーションが上手くいかず、暴言を吐かれてしまうこともあります。企業先と利用者を繋ぐ中で想定外のトラブルに見舞われることも多いです。 そんな時に、周囲の同僚や先輩職員と相談しながら乗り越えて行けるかどうかが、就労支援員としての今後のキャリア形成に大きく関わります。

    求人の中だけで見極めることが難しければ、施設見学に行ったり、面接の時に質問してみたりすると良いでしょう。

    まとめ

    今回は就労支援員とはどんな役割を持つ職業でどんな仕事をしているのか、就労支援員になるために必要な資格や要件についてご紹介しました。

    就労支援員の魅力は、未経験・無資格でも就労に困っている方を手助けできることです。その分、大変に感じることも多いかもしれませんが、どんな職業にも辛い・苦しいと感じる部分はあります。

    何より、利用者の成長や就職の喜びをそばで感じることができ、「自分の仕事が世の中の役に立っている」と実感できる職業です。

    「困っている人を助けたい」という想いがある方は、就労支援員を目指してみてはいかがでしょうか。

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    監修者 カイゴジョブ編集部

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