介護職として就職を考えている皆さんは、求人情報の資格の欄に書いてある『介護福祉士』、『実務者研修』、『介護職員初任者研修』を見て、「資格がないと就職できないの?」「資格によってどんな違いがあるの?」、「就職前に取っておいた方がいい資格はどれなの?」といった疑問をお持ちではないでしょうか?
この記事では、介護職の代表的な資格である『介護福祉士』、『実務者研修』、『介護職員初任者研修』について、取得までの費用や受講期間、取得するタイミングなどをご紹介しています。ぜひ最後までお読みください。
介護福祉士・実務者研修・介護職員初任者研修の違いとは?
それでは、それぞれの資格の違いを表で確認していきましょう。
介護福祉士 (実務経験ルート) |
実務者研修 | 介護職員初任者研修 | |
---|---|---|---|
資格の種類 | 国家資格 | 公的な資格 | 公的な資格 |
資格取得までの期間 | 3年以上 | 6ヵ月~1年 | 2週間~3ヵ月 |
資格取得までの費用 | 10万円~22万円 | 8万円~20万円 | 3万円~10万円 |
資格取得の要件 | 国家試験に合格 | 研修の修了 | 研修の修了 |
無資格・未経験で取得できるか | できない | できる | できる |
取得のしやすさ | ★★ | ★★★ | ★★★★★ |
※介護福祉士は実務経験ルートについて記載しています。
介護職員初任者研修とは?資格の概要・受講期間・受講費用
『介護職員初任者研修』は、介護職として働くために必要な基本的な知識や技術を学習する研修です。
介護職の職務、老化、認知症、障害、生活支援などのカリキュラムを130時間の受講時間、2週間~3ヵ月の受講期間を掛けて受講します。資格のスクール等が日本全国の各地で開講しているので、受講料は受講する地域等によって異なりますが、おおよそ3万円~10万円が相場となっています。
実務者研修とは?資格の概要・受講期間・受講費用
『実務者研修』は、介護職として実践的な知識や技術を学習する研修で、介護福祉士として必要とされる専門的な知識を学習できる研修でもあります。
介護職員初任者研修で学習した、老化、認知症、障害、生活支援などを深く理解するための科目や介護過程、医療的ケアなどのカリキュラムを450時間以上の受講時間、6ヵ月~1年の受講期間を掛けて受講します。無資格から受講する場合はすべてのカリキュラムを受講する必要がありますが、介護職員初任者研修などの資格をすでに取得している場合は、取得している資格に応じて受講が免除になる科目があり、受講時間の短縮や受講費用の割引などを受けることができます。
こちらも資格のスクール等が日本全国各地で開講しているので、受講料は受講する地域等によって異なりますが、おおよそ8万円~20万円が相場となっています。
介護福祉士とは?資格の概要・資格取得までの期間・費用
『介護福祉士』は、介護職として唯一の国家資格で、介護の専門的な知識・技術を習得していることを証明できる資格です。
介護福祉士国家試験に合格することで資格を取得できますが、この国家試験を受験するためには『実務経験ルート』、『養成施設ルート』、『福祉系高校ルート』、『経済連携協定(EPA)ルート』のいずれかの要件を満たすことが必要になります。
どのルートを選択するかによって、資格取得までの期間と費用(国家試験の受験料15,300円、登録免許税9,000円、登録手数料3,320円は共通)が変わりますので、それぞれをルートを詳しく見ていきましょう。
介護福祉士国家試験の受験資格① 実務経験ルート
実務経験ルートは、介護職としての実務経験3年以上と実務者研修を修了することで、国家試験の受験資格を得るルートです。
実務経験は、介護職としての従業期間3年(1,095日)以上、かつ従事日数540日以上となっていますので、このルートでは資格を取得するまでに、3年以上の期間がかかります。資格取得までの費用として、実務者研修の受講費用おおよそ8万円~20万円が必要になります。
介護福祉士国家試験の受験資格② 養成施設ルート
養成施設ルートは、介護福祉士養成施設である福祉系の専門学校や大学を卒業することで、国家試験の受験資格を得るルートです。
卒業するまでの通学期間は、2年~4年ですが、介護福祉士養成施設ではない福祉系の大学、社会福祉士養成施設、保育士養成施設を卒業している場合、1年の通学期間で卒業し受験資格を得ることができます。資格を取得するまでの費用として、専門学校等の入学金、授業料、教材費などが必要になり、通学期間にもよりますが、50万円~200万円ほどの費用がかかるでしょう。
介護福祉士国家試験の受験資格③ 福祉系高校ルート
福祉系高校ルートは、福祉系高校を卒業することで、国家試験の受験資格を得るルートです。
卒業するまでの期間は3年、入学金や授業料、教材費などで100万円ほどの費用がかかるでしょう。
介護福祉士国家試験の受験資格④ 経済連携協定(EPA)ルート
経済連携協定(EPA)ルートは、インドネシア、フィリピン、ベトナムから介護福祉士候補者として来日し、介護の実務経験を3年以上積むことで、国家試験の受験資格を得るルートです。
介護福祉士・実務者研修・介護職員初任者研修の給料の違いとは?
厚生労働省の『令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果』によると、介護職員全体の平均給与月額は『315,850円』となっています。ただしこれは、勤続年数が短い人から長い人まで、そして無資格の人から介護福祉士まで含まれている平均値です。また、介護サービス種別によって平均給与にも差が出ていますので、介護サービス種別ごとの取得している資格による平均給与月額を見ていきましょう。
資格なし | 介護職員初任者研修 | 実務者研修 | 介護福祉士 | 介護職員全体 | |
---|---|---|---|---|---|
介護老人福祉施設 (特別養護老人ホーム) |
301,760円 | 332,390円 | 325,230円 | 361,890円 | 350,430円 |
介護老人保健施設 | 286,330円 | 316,490円 | 310,460円 | 350,380円 | 338,920円 |
介護療養型医療施設 | 255,410円 | 262,560円 | 307,150円 | 329,850円 | 306,420円 |
介護医療院 | 268,980円 | 308,640円 | 305,070円 | 323,950円 | 312,600円 |
訪問介護 | 該当なし | 307,410円 | 310,430円 | 314,440円 | 306,760円 |
通所介護 | 249,830円 | 266,200円 | 274,270円 | 294,980円 | 280,600円 |
特定施設入居者生活介護 (介護付き有料老人ホーム等) |
277,710円 | 317,210円 | 319,890円 | 339,510円 | 322,020円 |
小規模多機能型居宅介護 | 241,490円 | 277,520円 | 290,400円 | 303,760円 | 287,980円 |
認知症対応型共同生活介護 (グループホーム) |
256,420円 | 277,150円 | 278,920円 | 303,800円 | 287,770円 |
介護サービス種別全体 | 275,920円 | 301,210円 | 303,230円 | 329,250円 | 315,850円 |
資格を取得するタイミングは?就職前に取得しておくべき資格とは?
それでは、それぞれの資格が取得されているタイミングを見ていきましょう。
【介護職員初任者研修が取得されているタイミング】
- 介護職として就職する前
- 介護職として就職してすぐ
【実務者研修が取得されているタイミング】
- 介護職として就職する前
- 介護職として就職して業務に慣れてきた頃
- 介護福祉士の資格取得を目指すタイミング
【介護福祉士が取得されているタイミング】
- 介護職として就職して3年後
- キャリアアップを目指すタイミング
この中で、就職する前に取得しておくべき資格として『介護職員初任者研修』をおススメします。短期間で受講できること、受講料の負担が比較的少ないこと、就職に有利になること、開催されている回数が多いことなどから、介護職として就職する前に受講する人が多い資格です。
介護の資格を取得するメリットとは?
介護の資格を取得することで、就職活動や面接、就職してからキャリアアップで様々なメリットがあります。いくつか例をご紹介しますので、見ていきましょう。
【介護の資格を取得するメリット】
- 採用されやすくなる
- 面接で仕事に対して意欲をアピールできる
- 就職前にどのような仕事をするのかを把握できる
- 資格を応募条件にしている求人情報に応募できる
- 資格手当の支給がある・給料が上がる
- キャリアアップを目指す条件になっている
- 業務で役立つ知識・技術を学習できる
まとめ
介護の資格の違いを中心に説明してきましたがいかがでしたか?
介護職は、無資格からでも就職できる職業ですが、その職場が求めている人材によって「有資格者 歓迎」、「有資格者 限定」といった求人票もあります。また、経験などに合わせて介護の資格を取得することでキャリアアップする仕組みが構築されています。
介護の資格について、取得する条件や費用などをしっかりと把握して、就職、キャリアアップ、スキルアップ、給料アップを目指すタイミングに合わせて計画的に資格を取得しましょう。
この記事でご紹介した内容が皆さんの資格取得や就職のお役に立てば幸いです。
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監修者 カイゴジョブ編集部
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