年間休日105日、110日、120日、125日では実際にどのくらい休めるのか、イメージを掴んでおきましょう。年間休日には含まれない休み、年間休日の平均、求人票や面接で確認すべきポイントなども解説します。
年間休日とは?
年間休日とは、会社が定めている1年間の休日数の合計です。
この日数には、労働基準法で会社に義務付けられている法定休日だけでなく、会社が就業規則で独自に定めた休日も含まれます(例えば夏期休暇や年末年始休暇など)。
そのため年間休日の日数は会社によって異なります。
有給休暇は年間休日には含まれません。個々で休む日や休める日数が違っていて、社員全員に一律に適用される休日ではないためです。結婚休暇やリフレッシュ休暇などがある場合も、同じ理由で年間休日には含まれません。
年間休日105日はきつい?
年間休日105日は、1日8時間のフルタイムで勤務した場合の、年間休日数の最低ラインです。1日8時間労働で年間休日が105日未満だと、労働基準法違反になります。
1年365日は約52週です。週に2日休みを確保した場合には、52×2で104日になり、年末年始休暇などにあてられる日数が残り1日になってしまいます。
連休がほぼない、もしくは週に1日休みの期間がありその分を連休にあてているパターンが想定できます。
厚生労働省の調査によると、年間休日の平均は110.5日です。105日の場合、まわりの人の働き方と比べて「休みが少ない」「仕事中心の生活になっている」と感じることが多いでしょう。
年間休日110日は平均値
年間休日110日の場合、週に2日休みを確保したとしても、110日-104日で6日分の余剰が生まれます。
週あたり2日の休みをキープしつつ、夏期休暇3日、年末年始休暇3日の連休があるなどのパターンが想定できます。
年間休日120日は「カレンダー通り」
土日と祝日すべてが休みという「カレンダー通り」だと、年間休日は120日になります。祝日は年間16日なので、週に2日休みを確保した場合の104日+16日で120日です。
年間休日125日は、週に2日休み&祝日休みに加えて、さらに5日分の夏期休暇や年末年始休暇があるようなイメージです。
※いずれの年間休日数においても、休日の曜日や連休の設定などは会社ごとに異なります
年間休日の平均は110.5日
厚生労働省の「令和3年就労条件総合調査」によると、1企業の年間休日の平均は110.5日でした。
分布として一番多いのは「100~109日」の32.2%で、次いで「120~129日」の30.4%、「110~119日」18.7%となっています。
年間休日数の分布
69日以下 | 2.2% |
70~79日 | 2.4% |
80~89日 | 4.2% |
90~99日 | 7.0% |
100~109日 | 32.2% |
110~119日 | 18.7% |
120~129日 | 30.4% |
130日以上 | 2.9% |
企業規模が大きいほど、年間休日数も多くなる傾向があります。従業員数1000人以上の場合は116.8日と、全体平均を大きく超えました。
一方、従業員数99人以下の場合は109日と、全体平均を下回っています。
企業規模別の平均年間休日数
従業員数 | 平均年間休日数 |
---|---|
1000人以上 | 116.8日 |
300~999人 | 115.2日 |
100~299人 | 112.9日 |
30~99人 | 109.0日 |
有給休暇のとりやすさも確認
年間休日には有給休暇が含まれていません。
年間休日は会社が定めた「社員に労働義務がない日」です。年間休日が多いほど、当然、年間の勤務日は少なくなります。
一方、有給休暇は「社員に労働義務がある日」に労働を免除する制度です。条件を満たす全労働者に付与することが法律で定められていて、勤続年数などで日数が決まります。
勤続年数 | 付与日数 |
---|---|
0.5年 | 10日 |
1.5年 | 11日 |
2.5年 | 12日 |
3.5年 | 14日 |
4.5年 | 16日 |
5.5年 | 18日 |
6.5年以上 | 20日 |
年間休日の日数に関係なく、有給休暇は法律で同様に付与されます。そのため休みを重視したい場合のベストは、年間休日が多くて、有給休暇もきっちりとれる会社です。
年間休日120日でも忙しくて有給休暇がなかなかとれない場合、年間休日がやや少なくても有給休暇をきっちりとれる会社の方が、休めていると実感できる、ということはあり得ます。
年間休日だけに注目するのではなく、有給休暇のとりやすさも確認して、休み全体を総合的に判断しましょう。
以下では、求人票や面接時のチェックポイントをご紹介します。
求人票&面接で年間休日をチェック
求人票の「休日・休暇」の見方
例①
・完全週休2日制
・年次有給休暇+3日付与
・年間休日110日
「完全週休2日制」とは、毎週必ず2日の休みがあるというものです。休みの曜日は会社によって異なります。
年間休日が110日なので、毎週2日の休み以外にも、夏期休暇など6日分の休みがあると想定できます。
110日以外に有給休暇が勤続年数によって付与されますが、この例の場合は、法律で決まった日数に会社が独自の福利厚生で3日分多く付与していることがわかります。
例②
・週休2日制(月により8~9日、年間休日111日)
・夏期・冬期休暇有(夏期3日、冬期4日)
・年次有給休暇
・慶弔休暇有
「週休2日制」とは、週に2日休みの週が1カ月に1度以上あるというものです。完全週休2日制と違って、毎週必ず2日の休みがあるわけではありません。
「月により8~9日」とあるので、月単位でみると週あたり2日分の休みがある設定です。これに夏期休暇3日と冬期休暇4日を合計して、年間休日111日だと読み取れます。
慶事(結婚・出産)や弔事(通夜や葬儀など)の際に申請できる「慶弔休暇」もあることがわかります。これは年間休日数には含まれません。
例③
・4週8休制(月9日程度)
※年間休日数113日
・年次有給休暇
・前期・後期特別休暇あり
「4週8休制」とは、シフト制の働き方の職場に見られるもので、4週間(28日)のうちに休みが8日あるというものです。
週休2日制のように週に2日休みの週が1度以上ある、という決まりはないので、例えば週1休みの週が2回、週3休みの週が2回で計8日という休み方も可能です。
ひと月あたりの休みは8~10日になることが一般的で、年間だと104日になります。この例の場合、年間休日113日-104日で、「前期・後期特別休暇」として9日間の休みがあると読み取れます。
わからないことは面接で質問
年間休日の記載がない求人票もありますが、だからといって休日数が少ないと決めるのは早計です。毎年の年間休日数に変動がある場合など、あえて記載していないこともあります。
年間休日の記載がない場合や、記載があってもわからない部分があるときには、面接時に質問してみましょう。
しかし、面接時に「休みが多いから転職したい」という気持ちが全面にでてしまうと、印象を悪くしてしまう可能性があります。
待遇面の質問は、面接の終盤で「何か質問はありますか?」と聞かれたときにするといいでしょう。聞かれなかった場合は、面接の最後に「質問よろしいですか?」と声をかけてみましょう。
【転職Q&A】求人情報で気になる点があり、応募に踏み切れない。応募前に企業に問い合わせても大丈夫?
「休み」の質問例
・年間休日数だけ書いてあり内訳がわからない!
「求人票を拝見して、年間休日数に含まれる休みにどのようなものがあるかわからなかったのですが、教えていただくことはできますか?」
求人票をきちんとチェックした上で質問していることがわかり、真剣さが伝わるでしょう。
・有給休暇がとりやすいのか知りたい!
「ホームページを拝見して、仕事とプライベートのメリハリをつけて働いている方が多いように感じたのですが、やはり有給休暇の取得率は高いのでしょうか?」
いきなり「有給休暇の所得率は?」と聞くのではなく、求人票や会社のホームページから感じ取れる所感を前置きにすると、やわらかい印象になります。
内定をもらったら…
内定を承諾する前に、「労働条件通知書」で条件を必ず確認しましょう。条件面の通知は会社に義務付けられているので、通常書面で通知されます。「雇用条件通知書」など他の名称の場合もあります。
この書面には、給与や勤務時間、就業場所、休日などの条件が記載してあります。休日の日数や休暇の種類など、相違ないか確認しましょう。
【転職Q&A】内定を承諾する前に、最低限確認しておくことは?
年間休日Q&A
労働基準法違反になる年間休日数
労働基準法には、「毎週少なくとも1回または4週を通じて4日以上の休日を与えなければならない」「週の労働時間の上限は40時間」という基本原則があります。
1年間に働ける時間数(約2085.7時間)を割り出すと、1日8時間勤務の場合、1年間の労働日数の上限は260日になります。365日-260日で、年間休日の最低ラインは105日になります。
105日未満の年間休日数は違法?
例えば1日の勤務時間が7時間なら、上記と同じ計算をすると、1年間で298日まで働けることになります。年間休日の最低ラインは365日-298日で67日になりますが、これは違法ではありません。
「毎週少なくとも1日または4週を通じて4日以上」の決まりをクリアしていれば、年間休日は105日未満でも法律上問題ありません。1日の労働時間によって最低ラインは変動します。
休日と休暇の違いは?
休日は、労働基準法で定められた「法定休日」と、会社が就業規則などで自由に設定できる「所定休日」を合わせたものです。休日には社員に労働義務はありません。
休暇は、休日ではない日(社員に労働義務がある日)に、労働義務が免除される制度です。一定の条件を満たした人に付与することが法律で義務付けられているものを「法定休暇」といいます。
一方、会社が独自に定める休暇もあり、これは「法定外休暇」や「特別休暇」と呼ばれます。
法定休暇の例
産前産後休暇/年次有給休暇/生理休暇/介護休暇/育児休暇/子の看護休暇
特別休暇の例
夏期休暇/慶弔休暇/年末年始休暇/リフレッシュ休暇/バースデー休暇/ボランティア休暇/教育訓練休暇
監修者 カイゴジョブ編集部
介護業界でがんばる皆様、転職を検討している皆様を全力応援!お悩みQ&Aや転職ノウハウなど、お役立ち情報を発信します。