【2023年最新】児童発達支援管理責任者とは?なるために必要な資格要件・仕事内容・役割について徹底解説

【2023年最新】児童発達支援管理責任者とは?なるために必要な資格要件・仕事内容・役割について徹底解説

障害を抱える子どもたちの支援やサポートの計画を作成して、放課後等デイサービスの業務をリードする役割を持つ児童発達支援管理責任者。

障害児支援のお仕事に興味がある方やキャリアを重ねたい方が目標とする職業の一つですね!

そこで今回は児童発達支援管理責任者になるにはどうしたらよいのか?また、必要な資格や仕事内容、業務の大変さについて詳しくご紹介します。

児童発達支援管理責任者とは?

児童発達支援管理責任者(児発管)とは障害を持つ子どもたちのために、個別支援計画の作成と提供サービスの管理を行う職種です。

主な業務は、障害を持つ子どもが支援や療育サービスを受ける時に必要な個別支援計画の作成や、実際に療育を行う児童指導員の管理等です。

児童発達支援管理責任者は、児童福祉法で障害児支援施設へ1名以上配置することが義務付けられています。

近年では、発達障害を抱える子どもたちが適切な療育を受けるために障害児支援施設を利用するケースが増えており、将来的にもニーズが増えていくであろう職業の一つです。

児童指導員と何が違う?

児童発達支援管理責任者は支援や療育の方向性を児童指導員に伝えてサービスを提供し、児童指導員の業務を管理していく立場です。

一方、児童指導員は、児童発達支援管理責任者の作った個別支援計画に沿って子どもたちの日常生活の支援や訓練などに携わります。児童発達支援管理責任者は児童指導員を束ねる立場と考えてよいでしょう。

児童発達支援管理責任者になるには?

児童発達支援管理責任者(児発管)になるには、5年以上の実務経験と基礎研修と実践研修の修了が必要です。

児童発達支援管理責任者になるまでの流れは以下の通りです。

5年以上の実務経験について

児童発達支援管理責任者になるために必要な実務経験は、大きく3つのタイプに分かれます。

①相談支援業務を通算5年以上経験している

②直接支援業務を通算5年以上経験している

③国家資格等を必要とするのいずれかの実務経験を5年以上経験し障害者や子どもを対象とした相談支援業務または直接支援業務を3年以上経験している


それでは、3つのタイプに共通している「相談支援業務」や「直接支援業務」とは具体的にどんな業務を指すのでしょうか?具体的に説明していきます。

相談支援業務

相談支援業務とは、ご利用者の日常生活の自立に関する相談に応じ、助言や指導などの支援をおこなうことを指します。障害者支援施設で働く相談支援専門員などが該当します。

児童発達支援管理責任者になるには、下記の事業所において相談支援業務を経験した期間が5年以上、そのうち障害者や子どもを対象とするサポートを行った期間が3年以上必要です。

相談支援事業 地域生活支援事業/障害児相談支援事業/身体障害者相談支援事業/知的障害者相談支援事業
相談施設 児童相談所/児童家庭支援センター/身体障害者更生相談所/精神障害者社会復帰施設/知的障害者更生相談所/福祉事務所/発達障害者支援センター
福祉施設 障害児入所施設/乳児院/児童養護施設/児童心理治療施設/児童自立支援施設/障害者支援施設/精神保健福祉センター※/救護施設※/更生施設※/老人福祉施設※介護老人保健施設※/地域包括支援センター※
就労支援施設 障害者職業センター/障害者就業・生活支援センター
教育機関 幼稚園/小学校/中学校/義務教育学校/高等学校/中等教育学校/特別支援学校/高等専門学校
医療機関 病院/診療所

直接支援業務

直接支援業務とは、ご利用者の入浴、排泄、食事などの介護のほか、ご利用者が日常生活を過ごすために必要になる知識の教育や動作の訓練等を行います。

児童発達支援管理責任者になるには、以下の事業所で直接支援業務に従事した期間が通算5年以上、そのうち障害者や子どものサポートを行った期間が通算3年以上必要になります。

福祉事業 障害児通所支援事業/児童自立生活援助事業/放課後児童健全育成事業/子育て短期支援事業/乳児家庭全戸訪問事業/養育支援訪問事業/地域子育て支援拠点事業/一時預かり事業/小規模保育事業/居宅訪問型保育事業/事業所内保育事業/病児保育事業/子育て援助活動支援事業
福祉施設 障害児入所施設/助産施設/乳児院/母子生活支援施設/保育所/幼保連携型認定こども園/児童厚生施設/児童家庭支援センター/児童養護施設/児童心理治療施設/児童自立支援施設/障害者支援施設
福祉施設 障害児入所施設/乳児院/児童養護施設/児童心理治療施設/児童自立支援施設/障害者支援施設/精神保健福祉センター※/救護施設※/更生施設※/老人福祉施設※介護老人保健施設※/地域包括支援センター※
障害者雇用施設 特例子会社/助成金受給事業所
教育機関 幼稚園/小学校/中学校/義務教育学校/高等学校/中等教育学校/特別支援学校/高等専門学校
医療機関 病院/診療所
なお、下記の資格を持っていない場合は直接支援業務に従事した期間が通算8年以上必要となります。

保育士/児童指導員任用資格/社会福祉主事任用資格/精神障害者社会復帰施設指導員任用資格/介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)以上

国家資格等が必要な業務

下記の国家資格等が必要な業務に通算5年以上従事している場合、障害者や子どもを対象とする相談支援業務または直接支援業務に従事した期間が通算3年以上になると、児童発達支援管理責任者の基礎研修を受ける資格が与えられます。

医師/歯科医師/薬剤師/保健師/助産師/看護師/准看護師/歯科衛生士/理学療法士/作業療法士/言語聴覚士/視能訓練士/義肢装具士/あん摩マッサージ指圧師/はり師/きゅう師/柔道整復師/管理栄養士/栄養士/社会福祉士/介護福祉士/精神保健福祉士

必要な研修について

研修は勤務先の事業所(児童発達支援管理責任者として働こうとする事業所)経由で受講を申し込むのが一般的です。

研修の受講資格とカリキュラムは以下のとおりですが、都道府県によって異なる場合がありますので、研修を受講する際は必ずお住まいの地域の情報を確認しておきましょう。

基礎研修は次の2つの研修から成り、主に児発管の基本姿勢とサービス提供のプロセスについて学びます。

基礎研修

基礎研修は先に挙げた実務要件に2年満たない段階(相談業務や直接支援業務に従事した期間が①または②の場合)は通算3年以上、③の場合は通算1年以上で受講可能です。

実践研修

実践研修は、基礎研修を既に修了しており、過去5年間で相談又は直接支援業務を2年以上経験している方のみ受講することができます。

研修カリキュラムでは、障害福祉の動向に関する座学の講義の他、サービス提供、人材育成、多職種・地域との連携について演習を行います。

児童発達支援管理責任者の仕事内容・役割って?

ここからは児童発達支援管理責任者がどんな仕事をして、どんな役割を担っているのか、業務内容を見ていきましょう。

児童発達支援管理責任者の主な仕事内容は「個別支援計画書」の作成、児童やその保護者の支援、子どもたちの療育を組織的に行うためにスタッフの管理をすることです。

そのため、主な職場は障害のある児童に対して自立支援や療育などを行っている「障がい児通所支援施設」や「障がい児入所支援施設」になります。

ご利用者や保護者との面接・ヒアリング

まず最初にご利用者や保護者と面接を行い、現状をヒアリングしていきます。ご利用者の得意なこと、苦手なこと、生活で困難に感じていること、どうやって困難を克服しようとしているか等を詳しく聞いて、個別支援計画の作成に役立てていきます。

個別支援計画の原案を作成

ご利用者・保護者にヒアリングした内容をもとに、個別支援計画の原案を作成します。児童の発達状況や課題、保護者の思いを踏まえ、今後の目標と達成するための支援内容を組んでいきます。

また、児童の年齢によっては、児童が通う学校と可能な限り連携をして、学校側の教育支援計画と連携を行うことも必要になります。

計画の内容についてミーティングを実施、修正

ご利用者の支援に関わる担当者を集め、作成した個別支援計画についてミーティングを行います。ミーティングで出た意見や修正点を踏まえて個別支援計画を改善します。

個別支援計画の交付・支援の開始

ご利用者・保護者に完成した個別支援計画の内容を説明し、同意が得られたら交付します。そして、いよいよご利用者の支援や療育を開始します。

定期的な評価を行う

支援が開始した後も児童発達支援管理責任者の業務は続きます。定期的にご利用者の様子や変化を記録し、ご利用者・保護者との面談を行って計画通りに支援が行えているか評価します。もし、評価の内容が良くなければ、状況に合わせて個別支援計画を直していきます。

終期評価の実施

個別支援計画のゴールを迎えるにあたり、目標は達成できたか、ご利用者や保護者は満足しているか等の最終評価を行います。そこで出た課題をもとに次回の支援内容を組み立てていきます。

児童発達支援管理責任者の1日のスケジュール例

児童発達支援管理責任者の1日のスケジュールは勤める事業所・接する子どもたちの年齢や状況によって大きく変わります。

ここでは、放課後等デイサービスに勤めた場合の1日のスケジュールを例として一覧にまとめてみました。

10:00 出勤・朝のミーティング
10:30 事務作業やプログラムの準備
11:00 保護者との面談・個別支援計画の作成・学校との調整連絡
12:00 昼食
13:00 子どもたちのお迎え
14:00 子どもたちの健康チェック・自由時間
15:00 おやつ
16:00 創作活動・レクリエーションのフォロー
18:00 子どもたちの送迎
18:50 事業所の掃除・ミーティング
19:00 退勤

児童発達支援管理責任者の業務で大変なこと2選

それでは、児童発達支援管理責任者の大変さはどんなところにあるのでしょうか?

「実際に働いてみて理想と違った…」とギャップを感じることがないように、児童発達支援管理責任者の業務で大変なことを把握しておきましょう。

1.職場によっては残業が多いこともある

1つ目は、業務量が多くなり残業が増えてしまうことです。勤める事業所の状況にもよりますが、療育サポート(創作活動やレクリエーション)に関わる時間が増えるほど、定時内に事務作業に当てられる時間が減り、残業も増える傾向にあります。

近年、障害を抱える子どもの数は増えており、全国的に児童発達支援管理責任者が不足しています。多くの児童を抱える事業所では、必然的に業務量も多くなります。

2.職員のケアを行うため人間関係で悩みを抱えることもある

児童発達支援管理責任者は事業所内で働くスタッフの管理も大切な業務の一つです。スタッフが働く上で悩みを抱えた時は相談に乗ってケアをしなければなりません。相談やケアに集中しているうちに児童発達支援管理責任者本人が悩みを抱えてしまうケースもあります。

しかし、職員との相性や管理業務の向き・不向きもあるため、必ずしも全員が人間関係で悩みを抱えるわけではありません。部下を束ねる立場であれば、どんな職種でもあり得ることですので、児童発達支援管理責任者だけが陥りやすいことではないでしょう。

児童発達支援管理責任者の勤務先

児童発達支援管理責任者は、障害児支援を行う事業所で必ず配置するように法律で定められています。障害児支援を行う事業所は中でも通所系・訪問系・入所系の3つに分けられ、児童発達支援管理責任者の9割が通所系サービスを行う事業所に勤務しています。

ここからは通所系・訪問系・入所系それぞれの事業所がどんな支援を行っているのか、細かく解説していきます。

通所系サービス:児童発達支援・放課後等デイサービス

通所系のサービスには、児童発達支援・放課後等デイサービスの2つがあります。児童発達支援センターは小学校に入る前の子どもたちを対象にしており、放課後等デイサービスは小学校〜高校に就学中の子どもたちを対象としています。

児童発達支援センターでは、主に日常生活における基本的動作の指導をしたり、自活に必要な知識や技能を教えたり、集団生活への適応のための訓練を行ったりしています。また、児童発達支援センターには「医療型」という事業所もあり、そこでは手足や体幹に障害がある児童の日常生活のサポートを行います。

放課後等デイサービスでは、放課後や休日(夏休みなど)に集団生活になじむための訓練をしたり、周りの人とのコミュニケーションの取り方を教えたり、子どもたちがより良い日常生活を送れるように支援を行います。

訪問系サービス:居宅訪問型児童発達支援・保育所等訪問支援

訪問系のサービスには、居宅訪問型児童発達支援と保育所等訪問支援の2つがあります。

居宅訪問型児童発達支援は、重度の障害を抱えていてなかなか外出が難しい児童に対して、自宅に伺って日常生活における基本的動作の指導、生活能力の向上のために必要な訓練やサポートを行います。

保育所等訪問支援は、障害を抱えながら保育所や幼稚園、認定こども園、学校、放課後児童クラブ等に通う児童が集団生活を行えるように専門的な支援や療育サポートを行うサービスです。学校の先生や保護者との細やかな連携が必要になります。

入所系サービス:障害児入所施設

障害児入所施設は、身体、知的または精神に障害のある児童を対象とする施設です。施設形態は8種類あり、中には虐待や保護者の離婚、死別、病気による育児困難、経済的事情などの理由で入所するケースもあります。

  • 知的障害児施設
  • 第一種自閉症児施設※
  • 第二種自閉症児施設
  • 盲児施設
  • ろうあ児施設
  • 肢体不自由児施設※
  • 肢体不自由児療護施設
  • 重症心身障害児施設※
  • ※は医療ケアの提供も行っている施設です。

    主な業務は、家庭での養育が困難な子どもに、食事、入浴、排せつなどの身体介護や、日常生活を送るうえで必要な基本的動作の指導、知識の習得などです。

    また、障害児入所施設には「医療型」と呼ばれるものもあり、手足が不自由な児童や重症の心身障害がある児童の療育サポートを行っています。

    児童発達支援管理責任者の将来性は?

    前述の通り、児童発達支援管理責任者は将来性のある職業です。

    2006年に施行された障害者自立支援法が2012年に見直され、障害者の定義や障害児支援の強化などが具体的に変更されました。

    法改正に伴い、18歳未満の子どもを対象とした障害児支援事業所の数は年々増え続けており、各事業所に1人以上は配置が義務付けられている児童発達支援管理責任者のニーズは年々高まっています。

    また、近年では発達障害について社会で広く認知されはじめており、発達障害とみなされる児童も増え続けています。 ※出典:通級による指導実施状況調査|文部科学省(令和3年7月5日)

    そのため、児童発達支援管理責任者のニーズが上がる可能性はますます高まっていくでしょう。

    児童発達支援管理責任者の仕事探しのポイント3選

    ここからは、児童発達支援管理責任者として勤務する方やステップアップとともに転職を考えている方向けに、児童発達支援管理責任者の求人の中でチェックしておきたいポイント3選をご紹介していきます。

    1.人員配置と児童の人数のバランス

    児童発達支援管理責任者の求人の中でチェックしておきたい項目は人員配置児童の人数のバランスです。

    前述の通り、児童発達支援管理責任者は全国的に不足している人材のため、事業所によっては児童指導員と兼務になったり、多くの児童の療育を任されたりするケースがあります。

    「なるべくゆったり子どもたちと関わりたい」「家庭のこともあるので残業はなるべく控えたい」という方は、求人の中にある職員の人員配置や事業所が抱える児童の人数をチェックしてみましょう。

    また、「児童の人数が多いから大変」とは限りません。児童に対して、何人の職員が療育にあたっているのか、が重要になります。

    2.先輩職員が在籍しているか

    次にチェックしておきたい項目は先輩職員が在籍しているかです。

    新規オープンの事業所や児童の人数が少ない事業所の場合、児童発達支援管理責任者が自分一人だけになってしまうケースもあります。

    児童発達支援管理責任者として長く経験を積んでいる方であれば、一人でもやりがいを感じられるかもしれませんが、経験が浅い方やブランクが長い方は不安を感じる可能性もあります。

    求人をよく見て、先輩職員から教えてもらいながら成長できるか、業務で悩んだ時に相談できる環境か、しっかり確認しておきましょう。もし求人だけでわからなければ、施設見学をお願いしてみても良いでしょう。

    3.療育・支援の内容が自分のやりたいことと一致しているか

    3つ目は療育・支援の内容が自分のやりたいことと一致しているかです。

    提供する療育サービスの内容は事業所によって様々です。中には、体操教室と連携していて運動に特化した療育を行う事業所もあります。

    事業所の個性が療育に色濃く反映されている場合もあるため、自分がやりたい療育とは何なのかを定めた上で求人を探すと、より理想に近い事業所に出会うことができます。

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    まとめ

    今回は児童発達支援管理責任者になるにはどうしたらよいのか、必要な資格や仕事内容、業務の大変さについてご紹介しました。

    児童発達支援管理責任者は資格取得後も5年毎に更新研修が必要であり、現代の障害児支援のニーズを敏感にくみ取ってサービスを提供することが求められています。

    大変そうに感じる方も多いかもしれません。しかし、障害を持つ子どもたちやそのご家族、保護者にとってはなくてはならない存在です。

    将来性も見込めるやりがいのある仕事なので、ぜひ目指してみてはいかがでしょうか。

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    監修者 カイゴジョブ編集部

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