第22回 精神保健福祉士国家試験(2020年2月1日・2日実施)の過去問題と解答をご紹介します。
過去問:第22回 精神保健福祉士国家試験 解答(2020年2月実施)
精神疾患とその治療
問1 | 問2 | 問3 | 問4 |
---|---|---|---|
4 | 1 | 1 | 2,3 |
問5 | 問6 | 問7 | 問8 |
3 | 4,5 | 5 | 2 |
問9 | 問10 | ||
5 | 3 |
精神保健の課題と支援
問11 | 問12 | 問13 | 問14 |
---|---|---|---|
1,5 | 2 | 4 | 1,4 |
問15 | 問16 | 問17 | 問18 |
3 | 1 | 5 | 3 |
問19 | 問20 | ||
3,4 | 2 |
精神保健福祉相談援助の基盤
問21 | 問22 | 問23 | 問24 |
---|---|---|---|
2 | 3,5 | 4 | 1 |
問25 | 問26 | 問27 | 問28 |
2 | 4 | 1,5 | 2 |
問29 | 問30 | 問31 | 問32 |
1,3 | 4 | 5 | 3 |
問33 | 問34 | 問35 | |
5 | 3 | 2 |
精神保健福祉の理論と相談援助の展開
問36 | 問37 | 問38 | 問39 |
---|---|---|---|
1 | 1,3 | 4 | 2,4 |
問40 | 問41 | 問42 | 問43 |
5 | 1 | 5 | 4 |
問44 | 問45 | 問46 | 問47 |
1 | 5 | 2,5 | 2 |
問48 | 問49 | 問50 | 問51 |
5 | 4 | 3 | 2 |
問52 | 問53 | 問54 | 問55 |
2,5 | 3 | 4 | 5 |
問56 | 問57 | 問58 | 問59 |
4 | 2 | 2,3 | 4 |
問60 | |||
1,3 |
精神保健福祉に関する制度とサービス
問61 | 問62 | 問63 | 問64 |
---|---|---|---|
3 | 4 | 1 | 4 |
問65 | 問66 | 問67 | 問68 |
2 | 5 | 1,2 | 3 |
問69 | 問70 | 問71 | 問72 |
3 | 4 | 2 | 5 |
精神障害者の生活支援システム
問73 | 問74 | 問75 | 問76 |
---|---|---|---|
1 | 3 | 3 | 2,5 |
問77 | 問78 | 問79 | 問80 |
1 | 1 | 2 | 4 |
人体の構造と機能及び疾病
問1 | 問2 | 問3 | 問4 |
---|---|---|---|
1 | 5 | 3 | 5 |
問5 | 問6 | 問7 | |
1 | 2,4 | 3 |
心理学理論と心理的支援
問8 | 問9 | 問10 | 問11 |
---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 1 |
問12 | 問13 | 問14 | |
5 | 2 | 4 |
社会理論と社会システム
問15 | 問16 | 問17 | 問18 |
---|---|---|---|
2 | 5 | 1 | 3 |
問19 | 問20 | 問21 | |
5 | 3 | 4 |
現代社会と福祉
問22 | 問23 | 問24 | 問25 |
---|---|---|---|
5 | 3 | 2 | 5 |
問26 | 問27 | 問28 | 問29 |
1 | 2 | 4 | 4 |
問30 | 問31 | ||
2,3 | 1 |
地域福祉の理論と方法
問32 | 問33 | 問34 | 問35 |
---|---|---|---|
4 | 3 | 2 | 1 |
問36 | 問37 | 問38 | 問39 |
5 | 5 | 3 | 2 |
問40 | 問41 | ||
1,4 | 2 |
福祉行財政と福祉計画
問42 | 問43 | 問44 | 問45 |
---|---|---|---|
5 | 1 | 4 | 5 |
問46 | 問47 | 問48 | |
2 | 3 | 4 |
社会保障
問49 | 問50 | 問51 | 問52 |
---|---|---|---|
5 | 3 | 4 | 1 |
問53 | 問54 | 問55 | |
3 | 2 | 2,3 |
障害者に対する支援と障害者自立支援制度
問56 | 問57 | 問58 | 問59 |
---|---|---|---|
4 | 5 | 1,3 | 1 |
問60 | 問61 | 問62 | |
3 | 5 | 2 |
低所得者に対する支援と生活保護制度
問63 | 問64 | 問65 | 問66 |
---|---|---|---|
5 | 2 | 3 | 4 |
問67 | 問68 | 問69 | |
2 | 4 | 1 |
保健医療サービス
問70 | 問71 | 問72 | 問73 |
---|---|---|---|
1 | 1 | 2 | 5 |
問74 | 問75 | 問76 | |
4 | 4 | 1,3 |
権利擁護と成年後見制度
問77 | 問78 | 問79 | 問80 |
---|---|---|---|
5 | 1 | 3 | 2 |
問81 | 問82 | 問83 | |
4 | 3 | 4 |
第22回 精神保健福祉士国家試験の合格基準点(1問1点)
90点/163問
※解答内容は試験実施年度の合格発表後当時に、試験実施団体から公開された正答です。
第22回 精神保健福祉士国家試験 過去問題(2020年2月実施)
精神疾患とその治療
問題1
次のうち、交感神経の活動の高まりを示すものとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 瞳孔の縮小
2 脈拍の減少
3 血圧の低下
4 消化液の分泌減少
5 腸管蠕動{ぜんどう}の亢進{こうしん}
問題2
次のうち、ICD-10において、解離性(転換性)障害に含まれているものとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 トランスおよび憑依{ひょうい}障害
2 強迫性障害
3 パニック障害
4 身体化障害
5 離人・現実感喪失症候群
問題3
次のうち、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の典型的な症状として、正しいものを1つ選びなさい。
1 アンへドニア
2 多重人格
3 疾病恐怖
4 考想吹入
5 的外れ応答
問題4
次のうち、成人で発症した神経性無食欲症の典型的な症状として、正しいものを2つ選びなさい。
1 頻脈
2 無月経
3 過活動
4 低身長
5 過呼吸
問題5
小児自閉症に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 症状は急性に出現する。
2 女児に多く発症する。
3 3歳までに症状が明らかになる。
4 虐待が原因で発症する。
5 コミュニケーション能力は高い。
問題6
次のうち、緊張病状態でよくみられる症状として、正しいものを2つ選びなさい。
1 躁気分
2 知能低下
3 せん妄
4 常同症
5 拒絶症
問題7
次のうち、抗精神病薬の主な副作用として、適切なものを1つ選びなさい。
1 健忘
2 脱抑制
3 身体依存
4 反跳性不安
5 遅発性ジスキネジア
問題8
次の記述のうち、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を処方するときのうつ病患者に対する説明として、適切なものを1つ選びなさい。
1 「空腹時に服用してください」
2 「イライラ感の出現に注意してください」
3 「服用後数時間で効果が出現します」
4 「服用後数時間は安静にしてください」
5 「症状の強いときに頓服として服用してください」
問題9
次のうち、「転移」を利用する精神療法として、正しいものを1つ選びなさい。
1 森田療法
2 行動療法
3 ゲシュタルト療法
4 支持的精神療法
5 精神力動的精神療法
問題10
次の記述のうち、医療保護入院を検討すべき要件として、適切なものを1つ選びなさい。
1 本人が入院に同意する場合
2 本人が身体的虐待を受けている場合
3 本人に精神疾患に対する病識がなく、入院治療の必要性を理解できない場合
4 医療や保護に急速を要し、家族等の同意を得ることができない場合
5 自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがある場合
精神保健の課題と支援
問題11
精神保健に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1 歴史的に精神衛生を発展させた概念である。
2 精神疾患の一次予防を目的とした活動を意味し、治療を目的とする精神医療に対比する言葉として用いられる。
3 精神医学の領域に初めて予防の概念を取り入れたのはアメリカのビアーズ(Beers, C.)である。
4 精神疾患に罹患している人を対象とした訪問指導は、吉川武彦が提唱した3側面のうちの積極的精神保健に含まれる活動である。
5 全ての人々の精神的健康を保持・増進させていく活動を含む。
問題12
次のうち、セルフヘルプグループにおけるヘルパー・セラピー原則の説明として、正しいものを1つ選びなさい。
1 専門家が有する専門的知識と同等の体験的知識を取得すること
2 自らが他のメンバーを援助することによって自分自身に効果が生まれること
3 専門資格の取得を目指してグループに参加すること
4 主治医と共にグループミーティングに参加すること
5 自助具などの作成プログラムにより自立を目指すこと
問題13
次のうち、WHOが作成したものとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 DSM(精神疾患の診断・統計マニュアル)
2 WRAP(元気回復行動プラン)
3 ヘルシーピープル2010
4 メンタルヘルスアクションプラン2013-2020
5 THP(トータルヘルスプロモーションプラン)
問題14
ギャンブル等依存症に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1 ギャンブル等依存症対策基本法では、ギャンブル等依存症問題啓発週間を設けることとされている。
2 GA(ギャンブラーズ・アノニマス)は、ギャンブル等依存症の民間治療施設である。
3 家族への支援を開始する際には、ギャンブル等依存症本人の同意を得ることが必須条件とされている。
4 ギャンブル等依存症対策基本法におけるギャンブル等には、法律の定めるところにより行われる公営競技だけでなく、ぱちんこ屋に係る遊技その他の射幸行為が含まれる。
5 ギャンブル等依存症対策基本法において、都道府県は、都道府県ギャンブル等依存症対策推進計画を策定しなければならないとされている。
問題15
犯罪被害者の精神保健に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 「第3次犯罪被害者等基本計画」(警察庁)では、犯罪被害者等に関する専門職養成機関の設置計画が盛り込まれた。
2 「平成29年度犯罪被害類型別調査」(警察庁)によると、殺人・殺人未遂または傷害等の暴力被害を受けた者のうち「重症精神障害相当の状態」にある者は約1割であった。
3 犯罪被害者等基本法において、犯罪被害者等とは、犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族とされている。
4 「犯罪被害者に対する急性期心理社会支援ガイドライン」では、支援機関からの情報提供は被害者からの支援の要望を待つことが原則とされている。
5 全国被害者支援ネットワークに加盟している民間被害者支援団体は、市町村に各1か所ずつ存在する。
(注) 「犯罪被害者に対する急性期心理社会支援ガイドライン」とは、平成24年度厚生労働科学研究「大規模災害や犯罪被害等による精神疾患の実態把握と対応ガイドラインの作成・評価に関する研究」において作成されたものである。
問題16
精神作用物質の乱用対策及び使用者への援助に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 有効な外来治療として、ワークブックとマニュアルを用いた集団認知行動療法プログラムが開発されている。
2 大麻は、麻薬及び向精神薬取締法で使用と所持が規制されている。
3 ハーム・リダクションとは、薬物使用を厳罰化することで、その流通量を減らすことを目的とした政策のことである。
4 薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部執行猶予制度とは、一定期間服役させた後、残りの期間を社会復帰促進センターで処遇するものである。
5 覚せい剤取締法違反は、「医療観察法」における重大な他害行為とされる6罪種の一つである。
(注) 「医療観察法」とは、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。
問題17
災害時の精神保健に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 災害発生後48時間以内に被災者が呈する精神症状を心的外傷後ストレス障害(PTSD)という。
2 厚生労働省によって組織される専門的な研修・訓練を受けたチームを災害派遣精神医療チーム(DPAT)という。
3 重度の精神障害者のために考案された介入法をサイコロジカル・ファーストエイド(PFA)という。
4 被災者の治療優先順位を決める手法をデブリーフィングという。
5 被災者へのケア活動によって、被災を直接経験していない支援者に生じる外傷性ストレス反応のことを二次受傷という。
問題18
成人の勤労者を対象に、職場でのストレスの大きさ、職場でのサポートの程度及び抑うつ症状の重症度について、一定の尺度を用いた質問紙調査を行った。調査で得られた量的データを基に抑うつ症状を従属変数として、職場でのストレス及び職場でのサポートの二つの独立変数との関連性について分析を行った。
次のうち、上記のデータ分析方法の名称として、正しいものを1つ選びなさい。
1 カイ2乗検定
2 デルファイ法
3 重回帰分析
4 分散分析
5 因子分析
問題19
ドメスティック・バイオレンス(DV)に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1 市町村には配偶者暴力相談支援センターの設置が義務づけられている。
2 婦人相談所は「DV防止法」で設置が規定された機関である。
3 「DV防止法」において配偶者には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むと定義されている。
4 配偶者暴力相談支援センターにおける相談件数は、2014年度(平成26年度)以降、毎年10万件を超えている。
5 児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力は、「児童虐待防止法」において身体的虐待として定義されている。
(注)1 「DV防止法」とは、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」のことである。
2 「児童虐待防止法」とは、「児童虐待の防止等に関する法律」のことである。
問題20
周産期の精神保健に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 カンガルーケアとは、胎児の情緒的安定を目的とした母親の関わりのことである。
2 ペリネイタルロスとは、流産・死産・新生児死亡などの周産期における喪失体験のことである。
3 マタニティブルーとは、産後うつ病の別名のことである。
4 ダブルケアとは、NICU(新生児集中治療室)において愛着形成を促すことである。
5 マルトリートメントとは、DV被害を受けた妊産婦に対するケアのことである。
精神保健福祉相談援助の基盤
問題21
U精神科病院に勤めるA精神保健福祉士は、担当患者のBさんへの支援が思うように展開できないでいた。Bさんは、障害年金と親の多額の遺産金で暮らしているが、「お金がない。生活保護を受けられないか」と何度も訴えていた。A精神保健福祉士は、Bさんが他の患者にお金を貸したり、欲しいものをすぐに買ったりして無駄遣いをしているのに生活保護を受けたいと主張することを好ましく思っていなかった。そのため、どうしてBさんが同じ主張を繰り返すのかについて、その背景に何かあるかもしれないということは気になっていたが、いつも一方的な態度をとるBさんを受け入れられず、「遺産金があるので、生活保護を申請することは難しい」と繰り返し説明していた。 次のうち、A精神保健福祉士が抱く倫理的ジレンマとして、適切なものを1つ選びなさい。
1 自己決定とパターナリズム
2 専門職的価値と個人的価値
3 バウンダリーとクライエントの利益
4 クライエントの利益と所属機関の利益
5 秘密保持とプライバシー
問題22
福祉サービスを提供する際のリスクマネジメントに関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 サービスを提供する際に、利用者の自立よりも安全を重視する。
2 事故の未然防止の観点から、利用者に対して均一なサービスを提供する。
3 ヒヤリハット情報やクレームから、潜在的なリスクを抽出する。
4 リスクマネジメントの基本は、危機管理体制の確立よりも、個別事故への対応を優先する。
5 利用者から苦情が寄せられた際には、迅速に対応する。
問題23
ソーシャルワークの理論の発展に貢献した人物とそのアプローチに関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 カプラン(Caplan, G.)は、ソーシャルワークに生態学的な視点を導入し、その実践モデルをエコロジカルアプローチとした。
2 ジャーメイン(Germain, C.)は、クライエントの心理的側面や生活史を重視し、診断主義アプローチを提唱した。
3 トール(Towle, C.)は、家族療法の各流派の知見を統合し、多元的な家族中心アプローチを構築した。
4 トーマス(Thomas, E.)は、学習理論の応用に基づく多様な行動変容の方法を整理し、行動変容アプローチとして確立した。
5 ハートマン(Hartman, A.)は、危機の状況から効果的で早急に脱出することを目的とした危機介入アプローチの基礎を築いた。
問題24
社会における正義の実現に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 ロールズ(Rawls, J.)が『正義論』で主張した格差原理は、その社会において最も恵まれない人が有利となるよう、資源の配分を目標とした。
2 キムリッカ(Kymlicka, W.)による多文化主義は、固有の文化や生活様式を保持するため、同化政策の確立を目標とした。
3 ベンサム(Bentham, J.)による功利主義は、人々の直感から得られた快の総量を計り、「最大多数の最大幸福」の実現を目標とした。
4 サンデル(Sandel, M.)によるコミュニタリアニズムは、自己の在り方を「負荷なき自己」と捉え、共同体への帰属から自由になることを目標とした。
5 フリーダン(Friedan, B.)らによる第二波フェミニズムは、「個人的なことは政治的なことである」というスローガンの下、家父長制の維持を目標とした。
問題25
V精神科病院で薬物依存症者の家族教室を担当しているC精神保健福祉士は、家族教室に参加したDさんが、「覚醒剤使用歴がある息子が、求職活動をしても、なかなか理解してもらえず、就職できない」と悔しそうに語るのを聞いた。薬物依存症に対する差別や偏見をなくすことを目的とした家族会の支援をしていたC精神保健福祉士は、家族教室終了後、Dさんに声を掛け、やりきれない思いを受容するとともに、家族会に関する情報提供を行った。その後、C精神保健福祉士は家族会に参加するようになったDさんと共に、家族会メンバーと力を合わせて、薬物依存症のことを理解してもらうための講演会を開催したり、利用できる新たなサービスを求めるための署名運動を行い、行政機関に働き掛けたりするようになった。
次のうち、C精神保健福祉士が家族会と共に行った内容として、適切なものを1つ選びなさい。
1 ソーシャルアドミニストレーション
2 ソーシャルアクション
3 ソーシャルビジネス
4 ソーシャルキャピタル
5 ソーシャルプランニング
問題26
対人援助領域におけるレジリエンス(resilience)に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 生活経験の乏しさから発する、日常生活を送る上での技術の不十分さをいう。
2 精神疾患の病因モデルによる、人が持っている脆弱性をいう。
3 精神科医療において、治療を行っても症状が改善しない状態をいう。
4 人に潜在的に備わっている、逆境から復元できる力のことをいう。
5 利用者が社会参加する際に、障害となる全てのものを取り除くことをいう。
問題27
次のうち、「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン」(平成29年3月厚生労働省)の内容として、正しいものを2つ選びなさい。
1 本人の自己決定に必要な情報の説明は、本人が理解できるよう工夫して行うことが重要である。
2 意思決定を支援する施設職員と成年後見人がいる場合、前者の決定を優先する。
3 職員等の価値観において不合理と思われる決定は、職員の判断で代理決定することが求められる。
4 相反する選択肢を両立させることはせず、本人にとってどちらが最善の利益かを判断する。
5 本人の自己決定や意思確認がどうしても困難な場合は、本人をよく知る関係者が集まって、様々な情報を把握し、根拠を明確にしながら意思及び選好を推定する。
問題28
精神科病院で精神保健福祉士が行う人権擁護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「退院はさせないでください」という家族からの求めに応じ、患者に入院の継続を勧める。
2 「もう歳だから」と退院を諦めている長期入院の患者に対して、退院の動機づけを行う。
3 「もう家に帰ります」と突然怒り出した患者を心配し、隔離室に入室させる。
4 「迷惑電話で困っている」という近所の店舗からの苦情を受け、患者が電話をかける機会を制限する。
5 「二人だけで面会させてください」と希望する患者の病状を面会時に判断して、面会に立ち会う。
問題29
マクロ領域のソーシャルワークに関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 社会福祉制度が効果的に運用されるために、環境の調整や整備を行う。
2 福祉問題の原因を社会構造から捉え、個人の変化を促す支援を行う。
3 福祉関連施策の分析や充実に向けた活動を行い、社会の変革を進める。
4 グループの持つ力動を活用し、個人の成長や個人と社会環境との関係調整を行う。
5 福祉サービス利用者とその家族に働き掛け、家族内ネットワークを形成する。
(精神保健福祉相談援助の基盤・事例問題1)
ある日、E精神保健福祉士の下に、以前支援していたFさんから手紙が届いた。次の手紙(事例)を読み、問題30から問題32までについて答えなさい。
〔事例〕
前略
お久しぶりです。お元気でしょうか。私は変わりなく、毎日W地域活動支援センターに通っています。先日、心の整理もつき、母が亡くなってから3年ぶりに、やっとお墓参りに行ってきました。そこでふとEさんのことを思い出し、手紙を書かせていただきました。
Eさんにお会いしたのは、入院して10年が過ぎようとした頃でした。あの頃は長い入院生活が続き希望も持てず、スタッフにやってもらうことが当たり前の、全てが受け身の生活でした。(問題30)
しかし病気の母を看取りたいと思うようになり退院しましたよね。間もなく母が亡くなり、何か昼間にできることはないだろうかとEさんに相談しました。
私はこれまでの人生を振り返り、母に従ってきたこと、それが正しいことだと思っていたことを話しました。Eさんは私の話をじっくりと聞き、「これまで、大変だったのですね。でも今のFさんは退院後も規則正しい生活を送り、何かをしてみたいという向上心がありますよね」と話してくれました。(問題31)
相談の後、Eさんが立ち上げに関わったW地域活動支援センターを紹介され、自由に話し合える雰囲気が気に入り利用することにしました。そこで病気について勉強する講座を受講したところ、仲間同士が支え合う活動に興味が湧きました。自分の経験をいかせるのではないかと。そして、ピアサポーターとしてW地域活動支援センターで活動を始めました。そのことを知ったEさんが来て、「ここのスタッフとして働いてみては」と言われましたよね。あの時は正直、驚きました。ピア同士だからできていた話を仕事にすることや、利用者からスタッフに変わることによる立場の違いに戸惑いを覚えたからです。(問題32)
今も十分とはいえないですが、何とか仕事も続いています。入院中には今の私を想像すらできなかったです。お墓参りで母に報告もできました。Eさんもお忙しいと思いますが、ご自愛ください。またお会いできる日を楽しみにしています。
かしこ
問題30
次のうち、この時点でのFさんの状態を示す用語として、適切なものを1つ選びなさい。
1 パターナリズム
2 バーンアウト
3 モラトリアム
4 インスティテューショナリズム
5 カタルシス
問題31
次のうち、この時にE精神保健福祉士が行ったアプローチとして、適切なものを1つ選びなさい。
1 課題中心アプローチ
2 ナラティブアプローチ
3 解決志向アプローチ
4 システムズアプローチ
5 ストレングスアプローチ
問題32
次のうち、この時点でのFさんの状態を表す用語として、適切なものを1つ選びなさい。
1 アンビバレンス
2 対処能力
3 役割葛藤
4 二重拘束
5 スティグマ
(精神保健福祉相談援助の基盤・事例問題2)
次の事例を読んで、問題33から問題35までについて答えなさい。
〔事例〕
Gさん(26歳、男性)は、大学生の時には相手の話した冗談を言葉どおりに受け取ってしまいトラブルに巻き込まれることもあったが、趣味の合う仲間もいて楽しく過ごすことができていた。しかし、就職してからは、元々あった音に対する敏感さに加え仕事の内容ごとに手順が異なり、戸惑うことが多くあった。異なる指示を受け混乱していたGさんはささいなミスを続けてしまい、上司からきつい注意を受けたことがきっかけで、休みがちとなった。Gさんには相談相手もおらず、1年もしないうちに自主退職してしまった。その後の求職活動では、書類選考や筆記試験では問題はないものの、面接になるとうまく話すことができず不採用が続いた。そのうちに、「もう何をやってもだめなんだ」と仕事探しをやめ、自宅で家族との接触も避け、自室に籠るようになっていった。
このような本人の様子を心配した両親は、近所のXメンタルクリニックで相談していたが、ある日、両親と一緒にGさんが初めて受診した。そこで、担当となったH精神保健福祉士が、「今日はよく来てくれましたね」と本人を迎え、初回面接を行った。(問題33)
H精神保健福祉士は、数回の面接で、「周りがうるさいと仕事に集中できない」「パソコンでの作業は長時間集中できる」「急な予定変更には対応が難しい」「就職はすぐにしたいが、今はまだ自信がない」と話すGさんの状況から、地域若者サポートステーションの利用を勧めた。(問題34)
その後、地域若者サポートステーションの利用を始めたGさんは、3か月たったある日の面接で、職場体験プログラムで会社訪問に行った時の様子を語りだした。「指示が具体的で手順が明確だ」「イヤホンを着けたままできるパソコン作業は、手際が良いとスタッフから褒められた」と満足気に話し、「自分にも仕事がやっていけそうだ」と嬉しそうに続けた。(問題35)
問題33
次の記述のうち、この時点でH精神保健福祉士がGさんに掛ける言葉として、適切なものを1つ選びなさい。
1 「引き籠るようになったきっかけは何ですか」
2 「利用したいと思うサービスを教えてください」
3 「両親とよく話をしますか」
4 「これまで受診しなかったのはどうしてですか」
5 「今、家でどんな生活をしていますか」
問題34
次のうち、この時点でH精神保健福祉士がGさんに、地域若者サポートステーションの利用を勧めた理由として、適切なものを1つ選びなさい。
1 日常生活リズムを確立するため
2 協調性などの対人関係能力を向上させるため
3 職業適性を見極めるため
4 家族関係を改善するため
5 障害受容を深めるため
問題35
次のうち、この時点でのGさんの状態に関する用語として、適切なものを1つ選びなさい。
1 セルフコントロール
2 セルフエフィカシー
3 セルフスーパービジョン
4 セルフケア
5 セルフアドボカシー
精神保健福祉の理論と相談援助の展開
問題36
諸外国の精神保健医療福祉の脱施設化及び地域ケアの歴史に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 イギリスでは、「精神保健に関するナショナル・サービス・フレームワーク」により、積極的アウトリーチや家族ケアラー支援等の充実を図った。
2 ニュージーランドでは、「セクター制度」により、一定の人口規模ごとに、精神科病床、施設を配置し、治療と生活支援を一体的に実施した。
3 アメリカでは、精神保健サービス計画「ブループリント」を策定し、リカバリー概念をサービスの基盤とすることを明示した。
4 イタリアでは、「精神疾患及び知的障害に関する大統領教書」により、精神科病院を解体し、地域精神保健センターを整備した。
5 フランスでは、「法律第180号」により、精神科病院への新たな入院を禁止し、地域ケアと外来医療中心に転換した。
問題37
次のうち、国連総会で採択された「精神疾患を有する者の保護及びメンタルヘルスケアの改善のための諸原則」(1991年)の記述として、正しいものを2つ選びなさい。
1 精神疾患を有するすべての者は、可能な限り地域社会に住み、及びそこで働く権利を有する。
2 精神疾患を有するという判定は、各精神保健施設内で定めた医学的基準による。
3 すべての患者の治療及びケアは、個別的に立案された治療計画に基づいて行われなければならない。
4 すべての患者は、病状が不安定な場合を除き、自己の居住する地域社会において治療及びケアを受ける権利を有する。
5 インフォームドコンセントとは、患者の理解しうる方法と言語によって、十分にかつ患者に理解できるように説明することである。
(注) 「精神疾患を有する者の保護及びメンタルヘルスケアの改善のための諸原則」の日本語訳は厚生科学研究班の仮訳によるものである。
問題38
次のうち、ケアマネジメントにおけるチームアプローチに関する記述として、適切なものを1つ選びなさい。
1 利用者の状態にかかわらず、同じ構成員で活動する。
2 構成員は独自に立てた計画に基づき、専門性を発揮する。
3 利用者の希望する場合を除き、構成員は専門職とする。
4 チームでは、プライバシー保護に配慮した上で、情報の共有化を図る。
5 チーム全体に関わる方針は、リーダーが決定する。
問題39
次の記述のうち、ディーガン(Deegan, P.)が述べるリカバリーの内容として、正しいものを2つ選びなさい。
1 病気になる前の状態に戻る。
2 新たな目的を再構築する。
3 目標に向けて直線的に前進する。
4 課題に立ち向かうことが求められる。
5 回復した結果を重視する。
問題40
次の記述のうち、社会リハビリテーションにおけるアセスメントとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 実施した宿泊体験の妥当性を検討する。
2 一人暮らしに必要なサポート体制を編成する。
3 利用できる文化施設を増やす。
4 買物支援の満足度を確認する。
5 活用できる移動手段を把握する。
問題41
次のうち、ナラティブアプローチに関する記述として、正しいものを1つ選びなさい。
1 物事の見方の多様性を認識して、クライエントの新たな意味づけを重視する。
2 援助機関の機能を明確にして、クライエントの意志の力を引き出す。
3 自我の構造に注目して、パーソナリティの変容を目指す。
4 行動の学習過程に着目して、クライエントの望ましい行動を形成する。
5 問題を因果関係で捉えるのではなく、円環的に捉えて解決を図る。
問題42
次の記述のうち、リファーラルの説明として、適切なものを1つ選びなさい。
1 患者の支援に役立つ疾病や障害の状況を調べる。
2 患者やその環境又はその両者に対して働き掛ける。
3 患者の支援に関する実施状況について見直す。
4 患者との対等な関係に基づき課題解決に向けて取り組む。
5 患者の希望する支援に対してサービス提供機関へつなぐ。
問題43
次の記述のうち、精神保健福祉士がコンサルティに対して行うコンサルテーションとして、適切なものを1つ選びなさい。
1 組織内の運営方針について説明する。
2 勤務態度などの職務を管理する。
3 クライエントの自宅に同行して、クライエントと面談する。
4 クライエントの社会環境を理解するためのエコマップを提示する。
5 アドバイスに従ってクライエントを支援するように指導する。
問題44
N市の基幹相談支援センターで働くJ精神保健福祉士は、精神科病院の長期入院者の地域移行を推進するため、N市における「障害者総合支援法」に基づく協議会(以下、「協議会」という。)において定期的に協議し、地域移行における課題及びその改善策を検討していた。協議会のメンバーからは、「近隣のグループホームに空きがなく、体験宿泊の受入れも難しいことから、退院後の生活をイメージできず退院支援がなかなか進まない」「退院し一人暮らしを始めて急な不安や不調を訴えたとき、支援が不十分で再入院になった事例が複数ある」との意見が出された。J精神保健福祉士は、以上の課題への対策を協議会に提案し、参加者に意見を求めた。 次のうち、J精神保健福祉士が協議会に提案したこととして、適切なものを1つ選びなさい。
1 地域生活支援拠点の整備
2 日常生活自立支援事業の普及
3 住宅入居等支援事業の充実
4 福祉ホームの設置
5 成年後見制度利用支援事業の推進
(注) 「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
問題45
精神保健福祉士が担う職務に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 サービス管理責任者として、サービス等利用計画を作成する。
2 相談支援専門員として、個別支援計画を作成する。
3 精神保健福祉相談員として、在宅における生活介護を行う。
4 精神障害者雇用トータルサポーターとして、職場適応訓練で指導する。
5 福祉専門官として、特別調整など支援の必要な受刑者に対応する。
問題46
次のうち、精神科リハビリテーションにおける地域ネットワーク形成の目的として、適切なものを2つ選びなさい。
1 地域にある関係機関の指揮系統を明確にすること
2 新たなニーズに対応するための社会資源を創出すること
3 各機関による利用者への援助内容を同じにすること
4 再発を防止するために、構成員が自由に利用者の治療内容を共有すること
5 精神障害当事者がサービス提供者となる道筋をつくること
問題47
次のうち、精神障害者支援におけるアドヒアランスに関する記述として、正しいものを1つ選びなさい。
1 患者が専門職からの指示を遵守することをいう。
2 患者が積極的に治療方針の決定に参加し、主体となって治療を受けることをいう。
3 専門職が本人のために最善と思われる方針を決定することをいう。
4 支援者が権利を侵害されやすい利用者に代わり、権利を表明することをいう。
5 利用者が担当者以外の専門的知識を有する第三者に意見を求めることをいう。
問題48
次の記述のうち、ソーシャルインクルージョンの理念に基づいた精神保健福祉士の活動として、適切なものを1つ選びなさい。
1 生活困窮者の生活支援では、まずは救護施設への入所を勧める。
2 障害福祉サービスの利用相談では、病状の改善を前提とする。
3 就労準備支援では、就労先との面接で病名を開示しないよう助言する。
4 ひきこもりの相談支援では、医療を提供することから始める。
5 施設開設の準備会の役員に、地域組織の代表の参加を依頼する。
(精神保健福祉の理論と相談援助の展開・事例問題1)
次の事例を読んで、問題49から問題51までについて答えなさい。
〔事例〕
Kさん(26歳、女性)は大学卒業後Y社に就職した。配属された部署は残業が多く忙しい職場であった。直属のL上司はKさんを熱心に指導した。生真面目なKさんは、L上司の期待に応えようと、自宅に仕事を持ち帰って仕上げるように心がけた。そのため、仕事が頭から離れず、寝てもすぐに目が覚め、食事も砂を噛んでいるようになっていった。体調の悪さを自覚したKさんは、社内報に掲載されていたY社が契約している従業員支援プログラム(EAP)機関のことを思い出し、相談に行った。そこで、Kさんは担当のM精神保健福祉士に、「他の社員に迷惑が掛かるから休めない」「眠れなくてつらい」「このまま消えたい」と涙ながらに訴えた。M精神保健福祉士は、「よくここまで耐えてこられましたね」とねぎらった上で、次のように提案した。(問題49)
数日後、KさんはZ精神科病院を受診し、うつ病と診断され入院することとなった。1か月を経過した頃、Kさんは面会に来たM精神保健福祉士へ、「主治医が退院を許可してくれない。休んでしまった分、早く穴埋めをしたいのに」と訴えた。面会の1週間後、M精神保健福祉士は、主治医とKさんとL上司とで退院について協議した。そこで、M精神保健福祉士は次のことを提案した。(問題50)
後日、入院中であったKさんは、精神科デイケアを体験利用した。そこでは自分と同じような状況にある利用者と交流して、焦っているのは自分だけではないと感じた。退院後、精神科デイケアを利用し始めた。3か月後、M精神保健福祉士は、デイケアスタッフ、主治医、L上司、Kさんと仕事に関して話し合った。従業員に業務負荷を強く感じさせる労働環境の改善も必要だと、L上司も考えるようになった。
Kさんは負荷の少ない配慮された環境で仕事を再開した。それから数か月たった頃、M精神保健福祉士は労働環境の改善が必要と考え、L上司に「働き方を考える研修会」の実施を提案した。そこで、Kさんは体験談を語った。(問題51)
研修会の後、KさんはM精神保健福祉士に、「初めは、今までのように働けない自分を弱い人間だと感じていた。でも、同じ病の人と出会い、体が壊れるまで働くのは個人にとっても会社にとっても良くないと、今は思う」と語った。
問題49
次のうち、この時点でM精神保健福祉士が提案した内容として、適切なものを1つ選びなさい。
1 入院を勧める。
2 転職を勧める。
3 気分転換として旅行を勧める。
4 受診を勧める。
5 パワーハラスメントで訴えるよう勧める。
問題50
次のうち、この時点でM精神保健福祉士が提案した内容として、適切なものを1つ選びなさい。
1 「職場適応訓練制度を利用してはどうでしょうか」
2 「就労定着支援事業を利用してはどうでしょうか」
3 「リワークプログラムを利用してはどうでしょうか」
4 「ストレスチェックを受けてはどうでしょうか」
5 「職業評価を受けてはどうでしょうか」
問題51
次のうち、この場面において、M精神保健福祉士が果たした役割として、適切なものを1つ選びなさい。
1 スーパーバイザー
2 アドボケーター
3 エバリュエーター
4 メディエーター
5 ファシリテーター
(精神保健福祉の理論と相談援助の展開・事例問題2)
次の事例を読んで、問題52から問題54までについて答えなさい。
〔事例〕
P市のAスクールソーシャルワーカー(精神保健福祉士)は、U小学校の教頭から5年生のBさん(11歳、女性)と面談してほしいと依頼を受けた。教頭の話によると、Bさんは1年前に両親が離婚し、3か月前に母親と共にP市に転入して二人で暮らしている。生活費等は父親が送金しているようである。U小学校に通い始めたものの遅刻や欠席が目立ち忘れ物も多く、登校しても表情は乏しくほとんど一人で過ごしている。心配した担任が母親に連絡を取ったところ、話のつじつまが合わず、周囲に悪い人たちがいて危ないと訴えていたという。Aスクールソーシャルワーカーが面接した際、Bさんはうつむいて黙り続けていたが、徐々に、「優しかったお母さんが変わってしまった。暗い顔してすごくつらそう。突然怖い顔して外に出るなと言ったり、夜中に壁に向かって何かをずっと言ったりしてすごく怖い」と話し、「私が何かいけないことしたのかな」と泣きじゃくった。(問題52)
AスクールソーシャルワーカーはBさんの意向を確認した上で、P市を管轄する保健所のC精神保健福祉相談員(精神保健福祉士)に相談し、Bさんと母親への支援の協力を依頼した。C精神保健福祉相談員は、Bさんの母親に精神疾患が疑われることから、医療・教育・行政機関が連携した支援チームをつくり、訪問による支援を開始した。
母親は支援チームのスタッフが訪ねても、初めのうちは玄関を開けてくれなかったが、訪問を繰り返すうちに顔を出すようになった。母親の話は脈絡のないことも多かったが、3年前に元夫に連れられて精神科を受診するようになったが、数か月前から通院をやめていたことが分かった。その後、母親は治療を再開し、訪問看護が行われた。この間、並行してBさんへの支援も行われ、Bさんは毎日登校できるようになった。(問題53)
中学校に進学すると、BさんはC精神保健福祉相談員の紹介で精神障害のある親と暮らす子どもが集う会に参加し始めた。そして、「集う会では学校の友達に言えないことも話せる」とBさんが笑顔で話す様子もみられるようになった。(問題54)
問題52
次の記述のうち、この時にAスクールソーシャルワーカーが行ったこととして、適切なものを2つ選びなさい。
1 児童相談所に一時保護の受入れを依頼する。
2 Bさんの食事や睡眠などの状況を把握する。
3 特別児童扶養手当の申請に向けて調整する。
4 Bさんの両親が離婚した理由について確認する。
5 連携するスクールカウンセラーによるBさんの心理アセスメントを検討する。
問題53
次のうち、支援チームが活用したBさんに対する支援として、適切なものを1つ選びなさい。
1 児童発達支援センターにおける心理的サポート
2 U小学校におけるTEACCHプログラムの導入
3 保健所における精神障害を理解するための心理教育の実施
4 医療機関における内観療法による治療的アプローチ
5 放課後等デイサービスにおける交流の機会の提供
問題54
次のうち、この時の話からBさんがこの会に参加することで得られていることとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 自分も誰かの役に立っているという自己肯定感
2 母親とうまく付き合っていくコツを学べた達成感
3 これからなりたい自分をイメージできる充足感
4 同じ経験をしている人がいるという安心感
5 他の人たちと一緒に何かできるという期待感
(精神保健福祉の理論と相談援助の展開・事例問題3)
次の事例を読んで、問題55から問題57までについて答えなさい。
〔事例〕
Q市の地域若者サポートステーション(以下、「Qステーション」という。)で働くD相談員(精神保健福祉士)のところへ、抑うつ傾向にあるEさん(32歳、女性)の母親が、娘の将来を案じ相談に訪れた。話を聴くと、Eさんは1年間の浪人生活の後に大学へ進学した。卒業後は、希望する職業はなく有期雇用の採用であった。デザイン会社、IT企業、不動産会社などを転々として働いたが、この半年間はあまり外出もせず、自宅で過ごす日々が続いている。 D相談員は、母親を通じEさんから了解を得て自宅を訪問した。数回の訪問の中で、Eさんから、「卒業後はリーマン・ショックによる就職難」「そして、結局有期雇用」「資格を取っても意味がなかった」といった傷ついた自尊心などが語られた。同世代のD相談員は、Eさんの話に共感し、「厳しい環境の中でも働けてきたこと」「働きながら資格を取り、様々な業種でキャリアを積んできたこと」「社会とつながろうとする気持ちがあったこと」などといったメッセージを返した。(問題55)
その後、EさんはQステーションを訪れるようになり、再び就職してみたいと考え始め、「無理しない程度で、若い人たちと会えるような職場があれば」とD相談員に話した。D相談員は自分の出身大学に隣接した、学生に人気があるカフェで求人が出ていたことを思い出し、Eさんの自宅から近いことや土日が休みであることなど、Eさんの希望とも合うことから、求人面接にチャレンジしてみるよう話した。(問題56)
その後、Eさんは無事に採用され、時には気分が落ち込むこともあったものの、D相談員との面談などにより支えられ、1年以上働き続けている。D相談員は、「働くことの息苦しさや困難さがあってもどうにかやってきたのですから、ここまでのことを誰かに伝えてみませんか」とEさんに提案してみた。「自分の体験が役に立つのなら、挑戦してみようかな」とEさんは話した。そこでD相談員は、このカフェを時々利用している自分のゼミの指導教員を訪ね、Eさんと大学生との交流ができないか相談した。(問題57)
問題55
次のうち、この時にD相談員が用いた面接技法として、正しいものを1つ選びなさい。
1 コーピング
2 モデリング
3 シェイピング
4 シェアリング
5 リフレーミング
問題56
次の記述のうち、Eさんに求人面接を受けるように促したD相談員の意図として、適切なものを1つ選びなさい。
1 Eさんに労働の意味を理解してもらうため。
2 Eさんの働く意欲を喚起するため。
3 Eさんが人を相手にした職場で働けるかどうかを判断するため。
4 Eさんに自分の可能性に気付いてもらうため。
5 Eさんとカフェを経営する事業所との関係を深めてもらうため。
問題57
次のうち、D相談員がEさんに対する一連の支援の中で意識して取り組んだものとして、適切なものを1つ選びなさい。
1 機能的アプローチ
2 エンパワメントアプローチ
3 エコロジカルアプローチ
4 問題解決アプローチ
5 ユニタリーアプローチ
(精神保健福祉の理論と相談援助の展開・事例問題4)
次の事例を読んで、問題58から問題60までについて答えなさい。
〔事例〕
精神障害者雇用トータルサポーターのFさん(精神保健福祉士)は、ある日、従業員1,000名超の食品製造会社であるV社の人事課長の訪問を受けた。話を聞くと、障害者法定雇用率の達成には7名足りず、新たに法定雇用率の算定が見直されたこともあり、現在雇用していない精神障害者も雇用することで達成したいとのことであった。そして、障害者や高齢者や外国人など様々な従業員が活躍することで多様性のある企業として発展していきたいと話した。そこでV社としては、まず精神障害者の雇用に重点的に取り組みたいと考え、何から始めればよいか教えてほしいとのことであった。(問題58)
半年後、V社が精神障害者雇用を進める中で人事課長からFさんに相談があった。話を聞くと、新たに雇用した精神障害者のGさん(40歳、女性)が、仕事で小さなミスが続いた後に出社できなくなり、退職を申し出たとのことであった。対応を依頼されたFさんはV社を訪問し、相談室でGさんと会った。Gさんは緊張した表情を見せながら、自分は会社の役に立っていないこと、仕事に自信がなくなったこと、会社に迷惑を掛けるから辞めたいことを小声で話した。Fさんは面接の中で、Gさんは無遅刻・無欠勤であったこと、部署では昼食弁当の注文係を自らやっていたことを引き出した。また、Fさんの問いかけに対してGさんは、来月には父親が定年退職なので、自分が無職になった後の生活が不安であることなどを語った。(問題59)
そこで、Fさんの提案で、訪問型職場適応援助者を活用することとし、H職場適応援助者(精神保健福祉士)がGさんの支援に入った。(問題60)
1か月後にFさんがV社を訪れると、Gさんは笑顔で仕事をしており、人事課長も喜んでいた。Fさんの援助もあり、人事課長は、「障害者の雇用継続に取り組むことで、従業員全体の退職者数も減り、社の雰囲気が変わり、働きやすい職場になった」と笑顔で話してくれた。
問題58
次の記述のうち、この時にFさんが提案したこととして、適切なものを2つ選びなさい。
1 求職登録者のうち、V社で働けそうな精神障害者をFさんが選定する。
2 V社の障害者雇用の意義を「社会的包摂の実現」とし、社内で共有する。
3 FさんがV社を訪問し、作業内容や職場環境を把握する。
4 V社の近くに就労継続支援B型事業所を設立し、障害者雇用を進める。
5 診療報酬明細書(レセプト)を調べて、該当する社員に障害者手帳の所持を照会する。
問題59
次のうち、Fさんが活用した面接法として、適切なものを1つ選びなさい。
1 指示的面接
2 深層面接
3 生活場面面接
4 動機づけ面接
5 構造化面接
問題60
次の記述のうち、この時のH職場適応援助者が行った支援として、適切なものを2つ選びなさい。
1 Gさんがミスをした作業の課題分析を行い、手順書を作成する。
2 昼食弁当の注文係を他の職員に担当してもらい、Gさんの負担を減らす。
3 Gさんの優れている点を伝えてもらうよう上司に依頼する。
4 Gさんの経済的不安を解消するために、障害年金の申請準備をする。
5 作業能力の低い人も働けるように、障害者専用の職務を作成する。
精神保健福祉に関する制度とサービス
問題61
精神医療審査会に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 退院請求は、口頭では認められず、書面による請求が不可欠である。
2 1合議体の委員数は、自治体が決定する。
3 医療保護入院者の入院届の審査を行う。
4 処遇改善請求の審査は、対象外である。
5 精神科病院の所在する市町村に設置される。
問題62
次のうち、精神科病院の管理者が選任し、医療保護入院者の退院に向けた相談支援を担う者として、正しいものを1つ選びなさい。
1 精神保健福祉相談員
2 相談支援専門員
3 地域援助事業者
4 退院後生活環境相談員
5 生活支援員
問題63
次のうち、「障害者総合支援法」における障害支援区分の認定を前提とするものとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 行動援護の利用
2 障害基礎年金の受給
3 通所介護の利用
4 地域活動支援センターの利用
5 自立支援医療(精神通院医療)の受給
(注) 「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
問題64
精神保健参与員に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 地方検察庁により任命される。
2 鑑定入院における鑑定書の内容に関する妥当性を審査する。
3 通院処遇時の指定通院医療機関との連絡・調整を行う。
4 厚生労働大臣が作成した名簿に基づき選ばれる。
5 入院処遇時におけるCPA会議に出席し、意見を述べる。
問題65
次のうち、「障害者総合支援法」に基づく自立支援給付に位置づけられる居住型の支援として、正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉ホーム
2 共同生活援助(グループホーム)
3 更生施設
4 救護施設
5 自立更生促進センター
問題66
Jさん(36歳、男性)は、19歳の時に統合失調症を発症して精神科病院への入院経験がある。頻回な窃盗による逮捕歴があり、最終的には実刑判決を受けて服役した。服役中は適切な精神科治療を受けていたこともあって病状も落ち着いた。刑期が終わる時期が近づいてきたが、身元引受人のいないJさんは出所後の生活基盤もなく、再出発は極めて困難なことが予測された。そこでJさんが服役している刑事施設は、保護観察所に特別調整を依頼した。その結果、Jさんは、法務大臣から事業の認可を受けて宿泊場所や食事の提供など、自立の準備に専念できる生活基盤を提供しているW施設へ、保護観察所の長の委託により入所が決まり、刑期満了日にそのまま入所となり再出発への道を歩み始めた。
次のうち、Jさんが入所したW施設として、正しいものを1つ選びなさい。
1 地域生活定着支援センター
2 宿所提供施設
3 自立準備ホーム
4 自立訓練(生活訓練)事業所
5 更生保護施設
問題67
「医療観察法」における鑑定入院に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1 医学的観点から「医療観察法」に基づく入院による医療の必要性について意見をまとめる。
2 検査・診断のみならず、精神科治療も行われる。
3 「精神保健福祉法」で規定された指定病院において実施される。
4 入院期間は、原則4週間が限度とされている。
5 鑑定は、精神保健審判員が実施する。
(注)1 「医療観察法」とは、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。
2 「精神保健福祉法」とは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。
問題68
次のうち、厚生年金保険加入者で、障害厚生年金3級の障害よりやや程度の軽い障害が残ったときに支給されるものとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 療養給付
2 特別障害給付金
3 障害手当金
4 特別障害者手当
5 障害補償給付
問題69
次のうち、質的調査の方法として、適切なものを1つ選びなさい。
1 多変量解析法
2 コホート調査
3 エスノグラフィー
4 実験計画法
5 折半法
(精神保健福祉に関する制度とサービス・事例問題)
次の事例を読んで、問題70から問題72までについて答えなさい。
〔事例〕
Kさん(45歳、男性)はグループホームに居住している。Kさんは双極性障害を抱えているが、近頃、服薬が滞りがちになり不穏になっていた。先日、「確実に成功する事業を思い付いた。融資を頼むために銀行に行ってくる」と大声で騒ぐ状況となった。異変に気が付いたグループホームのスタッフになだめられながら、かかりつけの精神科病院で精神保健指定医による診察を受けた。その結果、自傷他害のおそれはないものの医療と保護の観点から急速に入院が必要な状態と判断されたが、Kさんは入院には同意しなかった。唯一の身寄りである遠方に住む妹とはすぐには連絡が取れず、最終的に72時間に限った入院となった。(問題70)
二日後、駆けつけた妹によって同意が得られ、入院形態が切り替わった。しかし、Kさんの不穏な状態は続いており、躁状態も治まらず、一般の病室では治療の継続が困難と判断され、やむを得ず、本人の意思では退出することができない個室において、12時間以上の治療処置がなされることとなった。(問題71)
Kさんには、その都度入院に関する説明が行われていたが、状況は十分には把握できていないようで、担当となったL精神保健福祉士に対して、「何で入院しなければならないんだ」と立腹していた。 入院から3週間後、薬物療法によってKさんの病状は落ち着き、通常の閉鎖病棟の一室に移った。Kさんの病状が安定してきたこともあり、入院について改めて説明する機会を設けることとなった。L精神保健福祉士は医師と共にKさんのところに行き、今回の経緯と、入院中の諸権利に関する文書について時間をかけて丁寧に説明した。(問題72)
Kさんは完全には納得していないようだったが、「ともかく、こうやって入院中にできることと、できないことを話しに来てくれたのは一応よかったです」と語ってくれた。
問題70
次のうち、この入院形態に関する記述として、正しいものを1つ選びなさい。
1 都道府県知事の権限によって行われる。
2 定期病状報告を提出しなければならない。
3 市町村長の同意による入院が可能である。
4 緊急その他やむを得ない場合には、入院の必要性を判定する診察は、特定医師でも可能である。
5 地方裁判所の裁判官の命令によって行われる。
問題71
次のうち、この処置の要否の判定を行うものとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 都道府県知事
2 精神保健指定医
3 行動制限最小化委員会
4 地方精神保健福祉審議会
5 特定医師
問題72
次のうち、この書面に含まれている内容として、適切なものを1つ選びなさい。
1 信書の発受について制限を受けること
2 都道府県その他の人権を擁護する行政機関職員との面会が病状に応じて制限を受けること
3 原則として開放処遇となること
4 退院の申出があっても72時間以内に限り入院継続もあり得ること
5 退院請求についての連絡先
精神障害者の生活支援システム
問題73
M精神保健福祉士は、X精神科病院相談室の責任者である。X精神科病院には職員の資質向上を目的とした研修企画委員会が設置されており、M精神保健福祉士も参加している。ある日の委員会で、X精神科病院受診者の特徴について理解を深める研修を企画するため、委員が分担して統計資料を調べ、次回の委員会で報告することになった。M精神保健福祉士は、3年に1回厚生労働省が調査を実施して集計結果を公表している資料と当該病院の外来受診者について比較する担当になった。
次のうち、M精神保健福祉士が比較することになった厚生労働省の資料として、正しいものを1つ選びなさい。
1 「患者調査の概況」
2 「医療施設(動態)調査・病院報告の概況」
3 「過労死等の労災補償状況」
4 「生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」
5 「都道府県・市区町村における障害者虐待事例への対応状況等(調査結果)」
問題74
次のうち、「障害者総合支援法」に規定される自立生活援助のサービス内容として、正しいものを1つ選びなさい。
1 通帳・証書の預かりサービス
2 入浴、排せつ、食事の直接介助
3 公共料金や家賃の支払い状況の確認
4 家事能力を向上させるための宿泊訓練
5 救護施設退所者のためのアパート探しの同行
(注) 「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
問題75
「障害者総合支援法」に規定される就労継続支援A型の役割に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 求職者に職業を紹介する。
2 職場適応援助者を養成する。
3 雇用契約に基づき就労の機会を提供する。
4 法定雇用率未達成事業所への指導を行う。
5 一般就労の継続のための支援を行う。
問題76
ピアサポーターに関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 専門職の代替的機能を担う。
2 対等な立場で仲間を支える。
3 厚生労働大臣が定める研修を修了する必要がある。
4 意思疎通支援事業によって派遣される。
5 ロールモデルとして期待される。
問題77
次のうち、市町村の精神保健福祉業務として、正しいものを1つ選びなさい。
1 自立支援医療(精神通院医療)の申請受理
2 精神障害者保健福祉手帳の等級判定
3 発達障害者支援センターの運営
4 地方精神保健福祉審議会の設置
5 精神科救急医療体制の整備
(精神障害者の生活支援システム・事例問題)
次の事例を読んで、問題78から問題80までについて答えなさい。
〔事例〕
Aさん(35歳、女性)は5年前に離婚して実家に戻り、製造会社の事務員として就職した。Aさんは同僚や上司との関係も良く、定時に帰ることができる働きやすい職場に勤務することができていた。しかし、半年前に母親が病気で急逝したことにより、うつ病を発症した。精神科の主治医からは、休職して治療に専念することを勧められた。Aさんは上司とも相談して、当面のあいだ休職することにした。
休職して半年がたつと給与が払われなくなった。貯金はあったが今後の生活に不安を覚えた。そこでAさんは、通院先のB精神保健福祉士に相談したところ、健康保険法に基づく、病気で休業中に生活を保障する制度を利用できることを知り、申請することにした。(問題78)
その数か月後、うつ病の症状は軽減したが、職場での居場所がなくなる不安を覚え、復職について精神科の主治医とB精神保健福祉士に相談した。主治医は、病状から診てAさんが復職を焦っていることに懸念があることを伝えた。また、B精神保健福祉士は、Aさんの仕事に集中し過ぎることに不安があることを伝えた。その上で、B精神保健福祉士は、Aさんに障害者の雇用の促進等に関する法律に基づき設置されているYセンターの「職場復帰支援」の利用を勧めた。(問題79)
その後Aさんは、Yセンターの職場復帰支援を受けることになった。支援を担当したCさんは、Aさんや家族や上司などから、各々が抱く心配や、職場環境、ソーシャルサポートの状況などを確認した。そしてCさんは、Aさんの職場復帰に向けた支援計画を作成した。(問題80)
Aさんは、その支援計画に基づき、同じ悩みを持つ仲間とのミーティングへの参加や職場での短時間勤務などを重ね、徐々に職場復帰のための準備を整えていった。
問題78
次のうち、Aさんが申請した制度として、正しいものを1つ選びなさい。
1 傷病手当金
2 障害厚生年金
3 高額療養費
4 生活扶助
5 療養補償給付
問題79
次のうち、Yセンターとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 産業保健総合支援センター
2 地域障害者職業センター
3 精神保健福祉センター
4 市町村保健センター
5 地域活動支援センター
問題80
次のうち、Cさんの職名として、正しいものを1つ選びなさい。
1 サービス管理責任者
2 精神障害者雇用トータルサポーター
3 障害者専門支援員
4 障害者職業カウンセラー
5 職場適応援助者
人体の構造と機能及び疾病
問題1
人体の構造と機能に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 視覚は、後頭葉を中枢とする。
2 腸管は、口側より、空腸、回腸、十二指腸、大腸の順序である。
3 肺でガス交換された血液は、肺動脈で心臓へと運ばれる。
4 横隔膜は、消化管の蠕動{ぜんどう}に関わる。
5 副甲状腺ホルモンは、カリウム代謝をつかさどる。
問題2
高齢者の脱水に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 体全体の水分量は、若年者と変わらない。
2 喉の渇きを感じやすいため、脱水になりにくい。
3 1日の水分摂取量は、若年者より多い。
4 降圧利尿薬の服用は、脱水の原因にならない。
5 腎臓による水の再吸収能力が、低下している。
問題3
消化器の構造と機能に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 唾液には、消化酵素は含まれない。
2 胃粘膜からは、強アルカリ性の消化液が分泌される。
3 膵臓{すいぞう}には、内分泌腺と外分泌腺がある。
4 小腸は、水分を吸収しない。
5 胆汁は、胆のうで作られる。
問題4
事例を読んで、国際生活機能分類(ICF)に基づいて分類する場合、正しいものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Aさん(50歳、男性)は、脳出血により片麻痺{まひ}を残したが、リハビリテーションによって杖{つえ}と下肢装具を用いた自立歩行を獲得し、復職を達成した。混雑時の通勤の負担と、思うようにならない気分の落ち込みから仕事を休みがちとなったが、職場より出勤時間の調整が図られ、仕事を再開するに至った。
1 片麻痺は、「活動」に分類される。
2 歩行は、「心身機能・身体構造」に分類される。
3 歩行に用いた杖と下肢装具は、「個人因子」に分類される。
4 気分の落ち込みは、「活動」に分類される。
5 出勤時間調整の職場の配慮は、「環境因子」に分類される。
問題5
1978年にWHOが採択したアルマ・アタ宣言に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 先進国と開発途上国間における人々の健康状態の不平等について言及している。
2 政府の責任についての言及はない。
3 自己決定権についての言及はない。
4 保健ニーズに対応する第一義的責任は、専門職個人にあると言及している。
5 地域、国家、その他の利用可能な資源の活用についての言及はない。
問題6
次のうち、脳血管性認知症の特徴的な症状として、適切なものを2つ選びなさい。
1 パーキンソン症状
2 まだら認知症
3 幻視
4 感情失禁
5 常同行動
問題7
近年のリハビリテーションに関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 がんは、リハビリテーションの対象とはならない。
2 内部障害は、リハビリテーションの対象とはならない。
3 脳卒中のリハビリテーションは、急性期、回復期、生活期(維持期)に分けられる。
4 リハビリテーションは、機能回復訓練に限定される。
5 リハビリテーションを担う職種には、言語聴覚士は含まれない。
心理学理論と心理的支援
問題8
次のうち、馴化{じゅんか}による行動の記述として、適切なものを1つ選びなさい。
1 同じ大きな音が繰り返されるにつれて、驚愕{きょうがく}反応が小さくなった。
2 乳児に新しいおもちゃを見せたら、古いおもちゃよりも長く注視した。
3 まぶたにストローで空気を吹き付けると、思わずまばたきした。
4 食あたりした後に、その食べ物を見るだけで吐き気がするようになった。
5 うまくできたら褒めることで、ピアノの練習に取り組むようになった。
問題9
パーソナリティの理論に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 クレッチマー(Kretschmer, E.)は、特性論に基づき、体格と気質の関係を示した。
2 ユング(Jung, C.)は、外向型と内向型の二つの類型を示した。
3 オールポート(Allport, G.)は、パーソナリティの特性を生物学的特性と個人的特性の二つに分けた。
4 キャッテル(Cattell, R.)は、パーソナリティをリビドーにより説明した。
5 5因子モデル(ビッグファイブ)では、外向性、内向性、神経症傾向、開放性、協調性の5つの特性が示されている。
問題10
愛着理論に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 乳幼児期の愛着の形成により獲得される内的ワーキングモデルが、後の対人関係パターンに影響することは稀{まれ}である。
2 ストレンジ・シチュエーション法では、虐待など不適切な養育と関係のある愛着のタイプを見いだすことは難しい。
3 愛着のタイプに影響を及ぼす要因には、養育者の子どもに対する養育態度だけでなく、子ども自身の気質もある。
4 子どもの後追い行動は、愛着の形成を妨げる要因になる。
5 乳幼児期の子どもの愛着対象は、母親に限定されている。
問題11
前期高齢者(65~74歳)における認知機能や知的機能の一般的な特徴について、適切なものを1つ選びなさい。
1 作動記憶の機能は、加齢による影響が顕著にみられる。
2 エピソード記憶の機能は、加齢による影響がほとんどみられない。
3 意味記憶の機能は、加齢による影響が顕著にみられる。
4 流動性知能は、加齢による影響がほとんどみられない。
5 結晶性知能は、加齢による影響が顕著にみられる。
問題12
ストレスに関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 コーピングとは、ストレスの原因となる出来事のことである。
2 日常の些細{ささい}ないらだちごとが積み重なっても、健康を損なうようなストレスは生じない。
3 ストレッサーを制御できるという信念は、ストレスの緩和にはつながらない。
4 アパシーとは、ストレス状態が続いても、それに対処できている状態のことである。
5 ハーディネスとは、ストレスに直面しても健康を損なうことが少ない性格特性である。
問題13
ストレス反応の1つであるバーンアウトの症状に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 理解と発話の両面での失語症状が生じる。
2 人を人と思わなくなる気持ちが生じる。
3 近時記憶の著しい低下が生じる。
4 視覚的な幻覚が頻繁に生じる。
5 他者との関係を強めようとする傾向が生じる。
問題14
心理療法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 回想法は、高齢者の自動思考を修正することを目的としている。
2 応用行動分析は、個人の無意識に焦点を当てて介入を行っていく。
3 認知行動療法は、クライエントの人生を振り返ることでアイデンティティを再確認していく。
4 森田療法は、不安をあるがままに受け入れられるように支援していく。
5 ブリーフセラピーは、未来よりも過去に焦点を当てて介入を行っていく。
社会理論と社会システム
問題15
次のうち、ウェーバー(Weber, M.)の合法的支配の説明として、正しいものを1つ選びなさい。
1 伝統や慣習により正当化される支配
2 正当な手続により制定された法に従うことで成立する支配
3 支配者のリーダーシップや資質、魅力によって正当化される支配
4 絶対的な権力者が定めた法に基づいて行われる支配
5 少数の卓越した能力を持つ者たちによって行われる支配
問題16
「平成30年労働力調査年報」(総務省)に示された、過去5年間の日本の失業等の動向に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 若年層の完全失業率は、上昇傾向にある。
2 「若年無業者」の若年人口に対する割合は、5%台で推移している。
3 自発的な離職者数は、増加している。
4 女性の完全失業率は、男性の完全失業率よりも一貫して高い。
5 男女共に完全失業率は、低下している。
(注) 「若年無業者」とは、15~34歳の非労働力人口のうち家事も通学もしていない者を指す。
問題17
次のうち、コンパクトシティに関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 拡散した都市機能を集約させ、生活圏の再構築を図る都市
2 出身地域の異なる外国人住民の多様なコミュニティから形成される都市
3 文化や芸術、映像などの産業をまちづくりの中核に据える都市
4 先端技術産業を軸として、地方経済の発展を目指す都市
5 世界中の金融・情報関連産業が集積する都市
問題18
次のうち、直系家族制についての記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 複数の子どもが、結婚後も親と同居することを原則とする。
2 夫婦の結婚とともに誕生し、一方の死亡によって家族が一代限りで消滅する。
3 跡継ぎとなる子どもの家族との同居を繰り返して、家族が世代的に再生産される。
4 離家した子どもの生殖家族が、親と頻繁な交際や相互援助を行う。
5 親の死亡をきっかけに、財産を均分相続して家族が分裂する。
問題19
次のうち、パーソンズ(Parsons, T.)の社会的行為論として、正しいものを1つ選びなさい。
1 コミュニケーション的行為論
2 交換理論
3 集合行動論
4 象徴的相互作用論
5 主意主義的行為理論
問題20
次のうち、「囚人のジレンマ」に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 合理的な仕組みに対して過剰な執着を持つ状況を指す。
2 一定期間、閉鎖的・画一的に管理された場所で生活する状況を指す。
3 協力し合うことが互いの利益になるにもかかわらず、非協力への個人的誘因が存在する状況を指す。
4 二つの矛盾した命令を受けているため、そのいずれも選択することができない状況を指す。
5 非協力的行動を行うと罰を受け、協力的行動を行うと報酬を得ることで、協力的行動が促される状況を指す。
問題21
社会問題は、ある状態を解決されるべき問題とみなす人々のクレイム申立てとそれに対する反応を通じて作り出されるという捉え方がある。このことを示す用語として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 社会統制論
2 緊張理論
3 文化学習理論
4 構築主義
5 ラベリング論
現代社会と福祉
問題22
社会福祉法の内容に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉サービス利用援助事業は、第一種社会福祉事業である。
2 市町村は、地方社会福祉審議会を設置しなければならない。
3 市町村は、社会福祉事業等に従事する者の確保に関する基本指針を定めなければならない。
4 都道府県は、都道府県地域福祉支援計画を策定しなければならない。
5 共同募金は、都道府県を単位として毎年1回実施される。
問題23
「ニッポン一億総活躍プラン」(2016年(平成28年)6月閣議決定)の内容に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 地域資源の活用や自然環境を活用した第4次産業革命を実現すべきとした。
2 一億総活躍社会を実現するのは、次世代の役割であるとした。
3 地方創生は、一億総活躍社会を実現する上で最も緊急度の高い取組の一つであるとした。
4 一億総活躍社会は、政府に頼らず社会の側の責任において実現すべきとした。
5 「成長」か「分配」かという論争に終止符を打ち、「成長」に重点を置いた施策を推進するとした。
問題24
1950年代から1970年代にかけての社会福祉の理論に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 木田徹郎は、社会事業を、資本主義の維持という側面から、賃金労働の再生産機構における「社会的問題」の緩和・解決の一形式と捉えた。
2 三浦文夫は、政策範疇{はんちゅう}としての社会福祉へのアプローチの方法として、ニード論や供給体制論を展開した。
3 岡村重夫は、生活権を起点に据えた実践論・運動論を組み入れた社会福祉学が総合的に体系化されなければならないと論じた。
4 孝橋正一は、社会福祉の固有の機能を、個人とそれを取り巻く環境との間の不均衡を調整し、環境への適応を促すことと論じた。
5 一番ヶ瀬康子は、政策論よりも援助技術論を重視すべきと論じた。
問題25
「ベヴァリッジ報告」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 福祉サービスの供給主体を多元化し、民間非営利団体を積極的に活用するように勧告した。
2 従来の社会民主主義とも新自由主義とも異なる「第三の道」路線を選択するように勧告した。
3 ソーシャルワーカーの養成・研修コースを開設して、専門性を高めるように勧告した。
4 衛生・安全、労働時間、賃金、教育で構成されるナショナル・ミニマムという考え方を示した。
5 社会保障計画は、社会保険、国民扶助、任意保険という三つの方法で構成されるという考え方を示した。
問題26
1973年(昭和48年)の「福祉元年」に実施した福祉政策に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 年金の給付水準を調整するために物価スライド制を導入した。
2 標準報酬の再評価を行い、厚生年金では「9万円年金」を実現した。
3 被用者保険における家族療養費制度を導入した。
4 老人医療費支給制度を実施して、60歳以上の医療費を無料にした。
5 老人家庭奉仕員派遣事業が法制化された。
問題27
「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」(2018年(平成30年)12月、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議決定)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 地域における外国人の活躍と共生社会の実現を図る地方公共団体の主体的で先導的な取組のために、社会福祉法人からの寄附金を募る。
2 災害時に避難所等にいる外国人被災者への情報伝達を支援する「災害時外国人支援情報コーディネーター」の養成研修を実施する。
3 外国人への行政・生活情報の提供において、個人情報保護の観点からソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の利用は極力避ける。
4 公営住宅法に基づき、外国人を含む住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録や住宅情報の提供、居住支援等を促進する。
5 外国人への情報提供及び相談を行う一元的な窓口として、厚生労働省の地方厚生局に「多文化共生総合相談ワンストップセンター(仮)」を設置する。
問題28
国際連合が掲げている「持続可能な開発目標」(SDGs)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 2000年に制定されたミレニアム開発目標(MDGs)の目標を破棄し、それに代わる目標を掲げている。
2 経済成長、社会的包摂、人口増加抑制策の調和が、持続可能な開発を達成するために求められている。
3 持続可能な開発の達成には、政府の手を借りることなく民間セクターによる行動が必要とされている。
4 貧困に終止符を打つとともに、気候変動や環境保護への取組も求めている。
5 目標実現に向けた進捗状況のフォローアップと審査の責任は国際連合にあるとし、独立した国際的専門機関を設置している。
(注) 「持続可能な開発目標」(SDGs)とは、2015年の国際連合総会において採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」において掲げられた目標である。
問題29
社会福祉法の改正(2016年(平成28年))において明記された、社会福祉法人の「地域における公益的な取組」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 重点目標として、孤立防止の見守り活動の実施が義務づけられている。
2 法人の理事会に、「地域における公益的な取組」を担当する理事を置くことが義務づけられている。
3 地域社会への貢献を、社会福祉法人の新たな役割として明確化した。
4 日常生活又は社会生活上の支援を必要とする者に対して、無料又は低額な料金で、福祉サービスを積極的に提供するよう努めなければならない。
5 行政が主体となって実施する事業を代替することも含まれている。
問題30
文部科学省の「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本指針」(2017年(平成29年))で示された不登校児童生徒への支援に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 不登校児童生徒が学校へ登校するという結果を、第一の目標としている。
2 不登校児童生徒の意思を十分に尊重し、その状況によっては休養が必要な場合があることに留意する。
3 不登校児童生徒の実態に配慮した教育を実施する「特例校」の設置を促進している。
4 不登校児童生徒や保護者のプライバシーの保護に配慮して、学校や教育委員会による家庭訪問は控える。
5 「チーム学校」体制の整備を、スクールソーシャルワーカーのリーダーシップの下で推進する。
問題31
社会保障審議会福祉部会に設置された福祉人材確保専門委員会の「ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について」(2018年(平成30年))に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 社会福祉士には、地域課題の解決の拠点となる場づくり、ネットワーキングなどを通じて、地域住民の活動支援を行うことが求められている。
2 地域住民が主体的に地域課題を把握して解決を試みている場合は、社会福祉士はそれを見守ることに専念する。
3 地域課題の解決に必要な新たな社会資源の創出は、社会福祉士の専権的な職務である。
4 地域で表出されにくいニーズの発見は、民生委員に一任する。
5 社会福祉士は、地元の商店や営利企業との連携を控えることとされている。
地域福祉の理論と方法
問題32
日本の地域福祉の歴史に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 隣保館は、日露戦争を契機として国による一元的な管理体制に移行した。
2 中央慈善協会は、全国の主要な都市で展開されていたセツルメント運動の組織化を図ることを目的として設立された。
3 共同募金会は、関東大震災によって被災した人々を援助するために、政府の呼び掛けによって設立された。
4 方面委員制度は、岡山県で発足した済世顧問制度を始まりとし、後に方面委員令により全国的な制度として普及した。
5 市町村社会福祉協議会は、戦後間もなく、社会福祉事業法の制定時に法制化された。
問題33
地域福祉における住民の参加を促進する仕組みや制度に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 1960年代に徳島県社会福祉協議会等に設置された善意銀行は、住民が支援を必要とする個人・団体に対して労力・技術・金品等を提供した場合に、銀行が費用を助成する仕組みである。
2 1970年代に開始された学童・生徒のボランティア活動普及事業は、学童・生徒のボランティア活動の促進を目的として、全国全ての公立小・中学校に助成を行う事業である。
3 1980年代以降、全国に広がった住民参加型在宅福祉サービスは、有償性・非営利性・会員制を主な特徴とし、地域で支援を必要とする人々に対して家事援助・外出支援等のサービスを提供する活動である。
4 1990年代に全国で実施されたふれあいのまちづくり事業は、障害者等の社会参加を保障することを目的として、市町村が公共施設などにおけるバリアフリー化を促進するための事業である。
5 2000年代に道路運送法の改正により法制化された福祉有償運送は、社会福祉施設が所有する福祉車両を要援護者等に有償で貸し出す仕組みである。
問題34
事例を読んで、B福祉活動専門員がC民生委員に提案することとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
社会福祉協議会のB福祉活動専門員に、C民生委員から、担当地域で80代の父親と、ひきこもりがちと思われる50代の息子が暮らす世帯があるが、どのように関わってよいか分からないという相談があった。雨戸が閉まっていることが多く、息子は就労しているかどうか分からない状態であり、訪問した際には息子から、「困っていることはない」というドア越しの応対のみで、父親にも会うことができなかったという。
1 親子どちらも支援を求めていないため、C民生委員は世帯への関わりを控える。
2 世帯の状況を把握するために、C民生委員と一緒に自宅を訪問する。
3 C民生委員は父親の問題に焦点を当て、息子には関わらない。
4 C民生委員が中心となって、ひきこもりの人とその家族の集いの場を設ける。
5 複合的な課題を抱えた世帯の問題は、生活困窮者自立支援制度の自立相談支援事業の窓口に対応を任せる。
問題35
ボランティア活動について各法律で規定されている事項に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 災害対策基本法では、ボランティアによる防災活動が災害時において果たす役割が重要であることから、国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、ボランティアとの連携に努めなければならないとされている。
2 社会福祉法では、市町村社会福祉協議会が、ボランティアコーディネーターを配置しなければならないとされている。
3 学校教育法では、全ての小中学校でボランティア活動など社会奉仕体験活動を実施しなければならないとされている。
4 特定非営利活動促進法では、特定非営利活動法人の役員は、無償のボランティアでなければ就任できないとされている。
5 社会福祉法では、災害救助法が適用される災害が発生した場合、都道府県共同募金会は、当該都道府県の区域内に限って災害ボランティアセンターの経費に準備金を拠出しなければならないとされている。
問題36
社会福祉法に規定されている地域福祉に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 地域住民等は、地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備に努めなければならない。
2 市町村は、市町村地域福祉計画を市町村社会福祉協議会が策定する地域福祉活動計画と一体的に策定しなければならない。
3 都道府県は、福祉サービスを必要とする地域住民の地域生活課題を把握し、支援関係機関と連携して解決を図るよう留意しなければならない。
4 社会福祉を目的とする事業を経営する者は、地域福祉の推進に係る取組を行う他の地域住民等に助言と指導を行わなければならない。
5 国及び地方公共団体は、地域福祉の推進のために必要な各般の措置を講ずるよう努めなければならない。
問題37
市町村社会福祉協議会に関して、社会福祉法に規定されている次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉サービスの苦情を解決するための運営適正化委員会を設置する。
2 生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)を配置し、制度では対応できないニーズに対応する。
3 役員の総数の3分の1を関係行政庁の職員で構成しなければならない。
4 第一種社会福祉事業の経営に関する指導及び助言を行う。
5 市町村の区域内における社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数が参加する。
問題38
民生委員・児童委員についての法律上の規定に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 民生委員は、市町村内の小学校区ごとに1名配置する。
2 主任児童委員は、児童虐待の早期発見と介入のため児童相談所に配属される。
3 民生委員協議会は、民生委員の職務上必要があるときに関係各庁に意見することができる。
4 民生委員は、職務上知り得た特定の要援護者個人の情報を広く地域住民と共有してもよい。
5 民生委員は、その職務に関して市町村長の指揮監督を受ける。
問題39
地域福祉推進のための財源に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 厚生労働省の「これからの地域福祉のあり方に関する研究会」報告書(2008年(平成20年))では、住民の地域福祉活動の資金は原則として公的財源によるとされている。
2 厚生労働省の「地域力強化検討会最終とりまとめ」(2017年(平成29年))では、地域の課題を地域で解決していく財源として、クラウドファンディングやSIB(Social Impact Bond)等を取り入れていくことも有効であるとされている。
3 社会福祉法の改正(2016年(平成28年))では、社会福祉法人は、収入の一定割合を地域における公益的な取組の実施に充てなければならないとされた。
4 「平成29年度特定非営利活動法人に関する実態調査」(内閣府)によれば、NPO法人の収入は、「会費」、「寄附金」が大半を占めている。
5 共同募金実績額の推移をみると、年間の募金総額(一般募金と歳末助けあい募金の合計)は、1995年(平成7年)から2017年(平成29年)までの約20年間、一貫して増加している。
問題40
社会福祉協議会が地域において行う福祉調査や分析活動に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 災害時要援護者のニーズを視覚的に把握するために、デジタル地図の上に様々な情報を表示するGIS(地理情報システム)を用いた。
2 実際に虐待のおそれのある個別事例の検討会を、当該小地域における住民懇談会で実施した。
3 高齢者の訪問介護サービスに関するニーズの総量を具体的に推計するために、福祉総合相談窓口の担当者に聞き取り調査を行った。
4 障害のある当事者のニーズを把握するため、フォーカスグループインタビューを行った。
5 在宅で暮らす後期高齢者のニーズの全体像を把握するために、高齢者個人へのアンケート調査の回答フォームを社会福祉協議会のホームページ上に設置し、調査を実施した。
問題41
事例を読んで、N市社会福祉協議会の福祉活動専門員(社会福祉士)が行ったアウトカム評価として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
N市では、近年ひきこもりに関する相談が増加する一方、具体的な支援活動が市内に不足していることが課題となっていた。そのため、ひきこもりの人やその家族に対する支援活動の拡大を目的として、N市社会福祉協議会が行政の補助金を得て、計6回の講義・見学等からなるひきこもりサポーターの養成研修を企画・実施することになった。初めての取組であることから、行政からプログラム評価の枠組みを用いて、研修のアウトカム評価を行うことが求められた。
1 ひきこもりに関する理解度を測る調査票を作成し、養成研修受講前の受講者の理解度を計測する。
2 養成研修終了後に、支援活動に取り組み始めた受講者の人数とその活動内容を把握する。
3 養成研修の実施回数及び内容が、当初企画したとおりに実施されているかを確認する。
4 養成研修終了後に、N市の市民を対象としたアンケート調査により、ひきこもりに関する市民の意識を把握する。
5 養成研修終了後に、N市内でひきこもり状態から就業に至った人数を把握し、就業による経済効果と補助金額との差を計測する。
福祉行財政と福祉計画
問題42
地方公共団体に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 特別区を設置できるのは、都に限定されている。
2 都道府県が処理する社会福祉に関する事務は、機関委任事務である。
3 中核市の指定要件として、人口数は50万以上と定められている。
4 広域連合は、介護保険事業に関する事務を処理できないとされている。
5 政令指定都市は、婦人相談所を設置することができる。
問題43
次の社会福祉施設等の費用のうち、法律上、国が4分の3を負担することになっているものとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 救護施設の入所措置に要する費用
2 養護老人ホームの入所措置に要する費用
3 婦人相談所の行う一時保護に要する費用
4 母子生活支援施設の母子保護の実施に要する費用
5 児童養護施設の入所措置に要する費用
問題44
「平成31年版地方財政白書」(総務省)における民生費に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 地方公共団体の目的別歳出純計決算額のうち、民生費は教育費に次いで多い。
2 都道府県の目的別歳出では、生活保護費の割合が最も高い。
3 都道府県の性質別歳出では、扶助費の割合が最も高い。
4 市町村の目的別歳出では、児童福祉費の割合が最も高い。
5 市町村の性質別歳出では、人件費の割合が最も高い。
問題45
次の計画のうち、定めたとき、又は変更したときに内閣総理大臣に提出しなければならないものを1つ選びなさい。
1 都道府県介護保険事業支援計画
2 都道府県における子どもの貧困対策についての計画
3 都道府県障害福祉計画
4 都道府県老人福祉計画
5 都道府県子ども・子育て支援事業支援計画
問題46
次の各計画の策定を規定している法律に、計画の実績について評価を行うと明記されているものを1つ選びなさい。
1 市町村自殺対策計画
2 市町村介護保険事業計画
3 市町村障害者計画
4 市町村子ども・子育て支援事業計画
5 市町村老人福祉計画
問題47
福祉計画に関して、1990年(平成2年)の福祉関係八法改正より以前の記述として、正しいものを1つ選びなさい。
1 「エンゼルプラン」が策定された。
2 障害福祉計画が障害者自立支援法に規定された。
3 社会福祉施設緊急整備5か年計画が策定された。
4 「新ゴールドプラン」が策定された。
5 地域福祉計画が社会福祉法に規定された。
(注)1 「エンゼルプラン」とは、「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について」のことである。
2 「新ゴールドプラン」とは、「新・高齢者保健福祉推進十か年戦略」のことである。
問題48
第7期介護保険事業計画(2018年度(平成30年度)開始)に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 地域包括支援センターが、創設されることになった。
2 市町村が実施主体となる地域支援事業が開始された。
3 介護保険事業計画が、初めて地域包括ケア計画と位置づけられた。
4 「基本指針」において、医療法に規定される医療計画との整合性を確保することの重要性が明記された。
5 第7期の第一号被保険者の保険料が全市町村で引き上げられた。
(注) 「基本指針」とは、「介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針」(平成30年3月13日厚生労働省告示第57号)のことを指す。
社会保障
問題49
日本の社会保障制度の歴史的展開に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 1950年(昭和25年)の社会保障制度審議会の勧告では、日本の社会保障制度は租税を財源とする社会扶助制度を中心に充実すべきとされた。
2 1961年(昭和36年)に国民皆保険が実施され、全国民共通の医療保険制度への加入が義務づけられた。
3 1972年(昭和47年)に児童手当法が施行され、事前の保険料の拠出が受給要件とされた。
4 1983年(昭和58年)に老人保健制度が施行され、後期高齢者医療制度が導入された。
5 1995年(平成7年)の社会保障制度審議会の勧告で、介護サービスの供給制度の運用に要する財源は、公的介護保険を基盤にすべきと提言された。
問題50
「平成28年度社会保障費用統計」(国立社会保障・人口問題研究所)に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 2016年度(平成28年度)の社会保障給付費は、150兆円を超過した。
2 2016年度(平成28年度)の社会保障給付費を部門別(「医療」、「年金」、「福祉その他」)にみると、「福祉その他」の割合は1割に満たない。
3 2016年度(平成28年度)の社会保障給付費を機能別(「高齢」、「保健医療」、「家族」、「失業」など)にみると、「家族」の割合は1割に満たない。
4 2016年度(平成28年度)の社会保障財源における公費負担の割合は、社会保険料の割合よりも大きい。
5 2015年度(平成27年度)における社会支出の国際比較によれば、日本の社会支出の対国内総生産比は、フランスよりも高い。
問題51
会社に勤めている人が仕事を休業した場合などの社会保障制度上の取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 健康保険の被保険者が病気やケガのために会社を休んだときは、標準報酬月額の2分の1に相当する額が傷病手当金として支給される。
2 厚生年金の被保険者に病気やケガが発生してから、その症状が固定することなく1年を経過し、一定の障害の状態にある場合は、障害厚生年金を受給できる。
3 育児休業を取得する場合に支給される育児休業給付金は、子どもが3歳になるまでを限度とする。
4 労働者が業務災害による療養のため休業し、賃金を受けられない日が4日以上続く場合は、労働者災害補償保険による休業補償給付を受けられる。
5 育児休業期間中の厚生年金保険料は、被保険者分のみ免除される。
問題52
遺族年金に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 死亡した被保険者の子が受給権を取得した遺族基礎年金は、生計を同じくするその子の父または母がある間は支給停止される。
2 死亡した被保険者の子が受給権を取得した遺族基礎年金は、その子が婚姻した場合でも引き続き受給できる。
3 遺族基礎年金は、死亡した被保険者の孫にも支給される。
4 受給権を取得した時に、30歳未満で子のいない妻には、当該遺族厚生年金が10年間支給される。
5 遺族厚生年金の額は、死亡した者の老齢基礎年金の額の2分の1である。
問題53
医療保険制度に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 後期高齢者医療制度には、75歳以上の全国民が加入する。
2 後期高齢者の医療費は、後期高齢者の保険料と公費で折半して負担する。
3 都道府県は、当該都道府県内の市町村とともに国民健康保険を行う。
4 健康保険組合の保険料は、都道府県ごとに一律となっている。
5 協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)の給付費に対し、国は補助を行っていない。
問題54
事例を読んで、子育て支援などに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
会社員のDさん(32歳、男性)と自営業を営むEさん(30歳、女性)の夫婦は、間もなく第1子の出産予定日を迎えようとしている。Dさんは、厚生年金と健康保険の被保険者で、Eさんは国民年金と国民健康保険の被保険者である。
1 Eさんは、「産前産後期間」の間も国民年金の保険料を支払わなければならない。
2 Eさんが出産したときは、国民健康保険から出産育児一時金が支払われる。
3 Dさんが育児休業を取得する場合、健康保険から育児休業給付金が支給される。
4 Dさん夫妻の第1子の医療保険給付の一部負担は、義務教育就学前までは3割である。
5 Dさん夫妻の第1子が3歳に満たない期間については、月額2万円の児童手当が給付される。
(注) 「産前産後期間」とは、出産予定日又は出産日が属する月の前月から4か月間を指す。
問題55
事例を読んで、適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕
Fさん(65歳、女性)は、22歳からアパレル関係の大企業で正社員として働き、厚生年金にも加入していた。その後会社員の夫と結婚し、35歳の時に退職して専業主婦になった。48歳の時に個人事業主として手芸店を開き、現在ではかなりの事業収入を得ている。
1 Fさんが大企業で働いて厚生年金に加入していた時には、給与の額にかかわらず毎月定額の保険料を支払っていた。
2 Fさんは通算して10年以上年金制度に加入しているので、老齢基礎年金を受給できる。
3 Fさんが専業主婦であった期間は、Fさん自身が国民年金の保険料を納付する必要はない。
4 Fさんは、事業収入に応じた年金保険料を支払わなければならない。
5 Fさんは65歳なので老齢厚生年金を受給できるが、事業収入が基準を超える場合は年金額が減額される。
障害者に対する支援と障害者自立支援制度
問題56
「平成28年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」(厚生労働省)における障害児・者の実態に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 身体障害者手帳を所持している身体障害児(0~17歳)では、内部障害が最も多い。
2 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で、「障害者総合支援法」に基づく福祉サービスを利用している者は半数を超えている。
3 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で、「今後の暮らしの希望」をみると、「施設で暮らしたい」が最も多い。
4 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で、「困った時の相談相手」をみると、家族が最も多い。
5 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で、「外出の状況」をみると、「1ヶ月に1~2日程度」が最も多い。
(注)1 「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
2 「障害者手帳所持者等」とは、障害者手帳所持者及び障害者手帳非所持でかつ「障害者総合支援法」に基づく自立支援給付等を受けている者のことである。
問題57
障害者福祉制度の発展過程に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 1960年(昭和35年)に成立した精神薄弱者福祉法は、ノーマライゼーションを法の理念とし、脱施設化を推進した。
2 1981年(昭和56年)の国際障害者年で主題として掲げられたのは、合理的配慮であった。
3 1995年(平成7年)に精神保健法が精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に改正され、保護者制度が廃止された。
4 2013年(平成25年)に成立した「障害者差別解消法」では、障害者を医学モデルに基づいて定義している。
5 2018年(平成30年)に閣議決定された障害者基本計画(第4次)では、命の重さは障害によって変わることはないという価値観を社会全体で共有できる共生社会の実現に寄与することが期待されている。
(注) 「障害者差別解消法」とは、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」のことである。
問題58
事例を読んで、Gさんが利用できる「障害者総合支援法」に基づく障害福祉サービスとして、適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕
Gさん(22歳、男性)は20歳の時に脊髄損傷を患い、現在、電動車いすを使用しながら親元で暮らしている。これまで家族から介護を受けて生活をしてきたが、親元を離れ、日中は創作活動などを行いながら自立生活をしていきたいと希望している。一般就労はしておらず、障害支援区分は5で、電動車いすを使って移動が可能だが、手足に麻痺{まひ}がある。「歩行」、「移乗」、「排尿」、「排便」のいずれも見守りや部分的又は全面的な支援を必要としている。
1 重度訪問介護
2 行動援護
3 生活介護
4 同行援護
5 就労定着支援
問題59
「障害者総合支援法」に定められている市町村の役割などに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 障害支援区分の認定のための調査を、指定一般相談支援事業者等に委託することができる。
2 障害支援区分の認定に関する審査判定業務を行わせるため、協議会を設置する。
3 市町村障害福祉計画を策定するよう努めなければならない。
4 指定障害福祉サービス事業者の指定を行う。
5 高次脳機能障害に対する支援普及事業などの特に専門性の高い相談支援事業を行う。
問題60
発達障害者支援法の規定に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 市町村は、個々の発達障害者の特性に応じた適切な就労の機会の確保、就労定着のための支援に努めなければならない。
2 都道府県は、支援体制の課題を共有するとともに、関係者の連携の緊密化を図るため、発達障害者支援地域協議会を設置しなければならない。
3 発達障害者とは、発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいう。
4 都道府県知事は、発達障害者に対する専門的な就労の支援等を障害者就業・生活支援センターに行わせることができる。
5 都道府県知事は、該当する者に精神障害者保健福祉手帳を交付する。
問題61
障害者基本法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 法の目的では、障害者本人の自立への努力について規定されている。
2 都道府県は、都道府県障害者計画の策定に努めなければならないと規定されている。
3 国及び地方公共団体は、重度の障害者について、終生にわたり必要な保護等を行うよう努めなければならないと規定されている。
4 社会的障壁の定義において、社会における慣行や観念は除外されている。
5 障害者政策委員会の委員に任命される者として、障害者が明記されている。
問題62
医療観察制度に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 対象者は、起訴された者に限られており、起訴されていない者は含まれない。
2 保護観察所には、対象者の社会復帰を支援する、精神保健福祉士等の専門家である社会復帰調整官が配置されている。
3 「医療観察法」の目的は、精神障害者の医療及び保護を行い、その自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることである。
4 入院による医療の決定を受けた者に対しては、指定入院医療機関で、専門的な医療の提供が行われるとともに、保健所による退院後の生活環境の調整が実施される。
5 通院による医療の決定を受けた者及び退院を許可された者は、処遇の実施計画に基づいて、期間の定めなく、地域の指定医療機関による医療を受ける。
(注) 「医療観察法」とは、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。
低所得者に対する支援と生活保護制度
問題63
2000年度(平成12年度)以降の生活保護の全国的な動向(年次推移)に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 住宅扶助費の生活保護費全体に占める割合は、一貫して減少している。
2 被保護世帯及び被保護人員共に、2011年(平成23年)の東日本大震災を契機に増加に転じた。
3 世帯類型別にみた被保護世帯の構成比をみると、「母子世帯」の割合が一貫して増加している。
4 保護の開始理由別の被保護世帯数の推移をみると、「傷病」が一貫して増加している。
5 介護扶助人員は、一貫して増加している。
問題64
生活保護法が規定する基本原理・原則に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 日本国憲法第26条に規定する理念に基づく。
2 保護は、世帯を単位としてその要否及び程度を定めるものとする。
3 保障される最低限度の生活とは、肉体的に生存を続けることが可能な程度のものである。
4 生活困窮に陥った年齢によって、保護するかしないかを定めている。
5 生活保護の基準は、厚生労働省の社会保障審議会が定める。
問題65
生活保護の種類と内容に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 生活扶助は、衣料品費、食料品費、葬祭費などを給付する。
2 教育扶助は、高等学校の就学に係る学用品費について給付する。
3 住宅扶助は、家賃等のほか、補修その他住宅の維持に必要なものを給付する。
4 医療扶助は、原則として金銭給付によって行うものとする。
5 出産扶助は、原則として現物給付によって行うものとする。
問題66
事例を読んで、福祉事務所の生活保護現業員が行う業務として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Hさん(70歳、男性)は生活保護を受給し、アパートで一人暮らしをしている。糖尿病を患っており、主治医からの検診書によると働くことは困難な状況である。趣味がなく、友人との付き合いもなく、一日の大半をアパートでテレビを観て過ごしており、食生活も不規則である。親族としては遠方で暮らす妹のみであるが、Hさんは妹とは20年以上音信不通が続いており、所在を知らないと言っている。
1 稼働能力の活用を図るため、公共職業安定所(ハローワーク)へ行って求職活動を行うよう、指導・指示を行う。
2 自立支援プログラムに参加するよう、指導・指示を行う。
3 生活保護受給者等就労自立促進事業を利用するため、公共職業安定所(ハローワーク)へ支援要請を行う。
4 面接相談を通して本人の意向を把握した上で、社会生活自立や日常生活自立に向けた支援の方法を検討する。
5 扶養義務者である妹に対して、回答期限を付して書面による扶養照会を行う。
問題67
福祉事務所の組織及び設置に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉事務所の現業を行う所員(現業員)の定数については、生活保護法で定めている。
2 市が設置する福祉事務所の社会福祉主事は、生活保護法の施行について、市長の事務の執行を補助する。
3 福祉事務所の指導監督を行う所員(査察指導員)、現業を行う所員(現業員)、事務を行う所員はいずれも社会福祉主事でなければならない。
4 福祉事務所の長は、厚生労働大臣の指揮監督を受けて、所務を掌理する。
5 福祉事務所に置かれている社会福祉主事は、25歳以上の者でなければならない。
問題68
事例を読んで、福祉事務所の生活保護現業員による保護申請時に行う説明に関する記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Jさん(70歳、女性)は、年金と息子からの仕送りで一人暮らしをしていた。息子が交通事故で仕事を失い、収入がなくなって仕送りができなくなり、年金だけでは暮らせないため、生活保護を申請した。
1 働くことが可能との医師の判断がある場合には、生活保護を受給できないと説明する。
2 Jさんに娘がいる場合には、娘からの扶養を受けることが生活保護を受給するための要件となることを説明する。
3 自宅が持ち家の場合、処分した後に生活保護を受給できると説明する。
4 収入に変更があった場合は、申告する義務があることを説明する。
5 保護申請は、福祉事務所指定の申請書でなければ受け付けられないことを説明する。
問題69
低所得者の支援を行う組織や制度に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉事務所未設置町村は、生活困窮者及びその家族等からの相談に応じ、生活困窮者自立相談支援事業の利用勧奨等を行う事業を行うことができる。
2 生活困窮者自立相談支援事業の相談支援員は、社会福祉主事でなければならないと社会福祉法に定められている。
3 民生委員は、地域の低所得者を発見し、福祉事務所につなぐために市長から委嘱され、社会奉仕の精神で住民の相談に応じる者である。
4 住宅を喪失した人への支援策として、無料低額宿泊所は全ての市町村が設置しなければならない。
5 生活困窮者一時生活支援事業は、生活保護の被保護者が利用する事業である。
保健医療サービス
問題70
日本の医療費の自己負担限度額に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 食費、居住費、差額ベッド代は高額療養費制度の支給の対象とはならない。
2 医療保険加入者が70歳未満である場合、二人以上の同一世帯で合算した年額の医療費の自己負担限度額が定められている。
3 医療保険加入者が医療保険と介護保険を共に利用した場合、それらの費用を世帯で合算した月額の自己負担限度額が定められている。
4 医療保険加入者が70歳以上である場合、入院の費用に限り世帯単位での医療費の自己負担限度額が定められている。
5 医療保険加入者が高額長期疾病(特定疾病)の患者である場合、医療費の自己負担を免除することが定められている。
問題71
医療施設等の利用目的に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 介護医療院の利用は、主として長期にわたり療養が必要である要介護者を対象としている。
2 療養病棟の利用は、急性期で医療的ケアが必要である者を対象としている。
3 地域包括ケア病棟の利用は、病院で長期にわたり医療的ケアが必要である者を対象としている。
4 介護老人保健施設の利用は、高度で濃密な医療と介護が必要である者を対象としている。
5 回復期リハビリテーション病棟の利用は、高度急性期医療を受けた後、終末期と判断された者を対象としている。
問題72
特定健康診査及び特定保健指導に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 特定健康診査及び特定保健指導の対象年齢は、40歳以上60歳以下である。
2 特定保健指導の目的は、糖尿病等の生活習慣病の予防である。
3 特定健康診査の目的は、がんの早期発見である。
4 特定健康診査の結果は、結果に問題がなければ保険者から受診者への通知を省略することができる。
5 特定健康診査は、被用者が同じ内容の事業者健診を受けていても、改めて受けることが義務づけられている。
問題73
「地域における保健師の保健活動に関する指針」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 地域住民に対して、生活習慣病の三次予防に重点を置いた指導を行う。
2 地域住民に対して、保健師が主体となって地域の健康づくりを促進する。
3 産後に抑うつ状態の可能性が高いと判断される養育者に対して、受療指示を行う。
4 担当地域の市町村地域防災計画を策定する。
5 地域診断を実施し、取り組むべき健康課題を明らかにする。
(注) 「地域における保健師の保健活動に関する指針」とは、「地域における保健師の保健活動について」(平成25年4月19日健発0419第1号厚生労働省健康局長通知)で示された指針のことである。
問題74
訪問リハビリテーションを行う際の理学療法士の業務に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 処方薬を服用する患者とその家族に対して、服用方法の指導をする。
2 中心静脈カテーテルが挿入された患者に対して、カテーテルを抜去する。
3 人工呼吸器を装着した患者に対して、気管カニューレを交換する。
4 脳梗塞後遺症による筋麻痺{まひ}の患者に対して、医師の指示の下にマッサージをする。
5 高カロリー輸液を点滴中の患者に対して、輸液の投与量を調整する。
問題75
事例を読んで、K医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)による終末期のLさんの家族への対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Lさん(58歳、男性)は、末期の肝臓がんであるとの告知を受け、現在入院中である。主治医からK医療ソーシャルワーカーに、Lさんの今後の療養について意思確認をするよう依頼があった。そのため、Lさんの下を一度訪れたが、現段階では決められないとLさんに面接を断られた。そこでK医療ソーシャルワーカーは、Lさんの了承を得た上で家族と面接を行った。
1 Lさんに意思の確認のための面接を断られたため、今後のLさんとの面接を中止すると伝えた。
2 Lさんの人生観や価値観、生き方などを家族から把握することは控えた。
3 Lさんの家族の意見がまとまらない場合、主治医の意見を優先する旨を家族に伝えた。
4 Lさんの意思決定支援を今後どうすべきか家族と話し合った。
5 Lさんの意思を推定する責任が、家族にある旨を伝えた。
問題76
事例を読んで、医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)が行う退院支援に関する次の記述のうち、この段階における対応で、適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕
先天性代謝異常の疾患に罹患{りかん}しているMちゃん(生後8か月)は、呼吸器を装着し頻回の吸引が必要であり、バルーンカテーテル、経管栄養を使用している。出生以来、NICU(新生児集中治療室)に2か月、小児病棟に6か月入院してきたが、主治医からの退院許可を受け、自宅での生活の準備を始めることになった。出生以来、Mちゃんの見舞いを欠かさずしてきた両親は、初めて自宅でMちゃんと一緒に生活することに喜びを感じていた。一方で病院から離れることに不安を感じ、これまで相談に乗っていた医療ソーシャルワーカーに不安を打ち明けた。
1 医療的ケア児等コーディネーターとの連携を検討する。
2 両親に特別障害者手当を申請するよう勧める。
3 訪問看護ステーションと両親を交えたカンファレンスを実施する。
4 両親に医療型障害児入所施設の空き状況を伝える。
5 これまでも同様の患者がいたことを伝え、心配する必要はないと両親を励ます。
権利擁護と成年後見制度
問題77
次のうち、成年後見開始審判の申立てにおいて、申立権者に含まれない者として、正しいものを1つ選びなさい。
1 本人の孫の配偶者
2 本人の叔母
3 本人の甥{おい}
4 本人の子
5 本人のいとこの配偶者
問題78
事例を読んで、次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Aさんは、判断能力が低下している状況で販売業者のU社に騙{だま}され、50万円の価値しかない商品をU社から100万円で購入する旨の売買契約書に署名捺印{なついん}した。U社は、Aさんに代金100万円の支払を請求している。
1 Aさんにおいて、その商品と同じ価値の商品をもう一つ引き渡すよう請求する余地はない。
2 Aさんにおいて、消費者契約法上、Aさんの誤認を理由とする売買契約の取消しをする余地はない。
3 Aさんにおいて、商品が引き渡されるまでは、代金の支払を拒む余地はない。
4 Aさんにおいて、U社の詐欺を理由とする売買契約の取消しをする余地はない。
5 Aさんにおいて、契約当時、意思能力を有しなかったとして、売買契約の無効を主張する余地はない。
問題79
行政処分に対する不服申立てに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 処分庁に上級行政庁がない場合は、処分庁に対する異議申立てをすることができる。
2 審査請求をすることのできる期間は、原則として、処分があったことを知った日の翌日から起算して10日以内である。
3 審査請求に係る処分に関与した者は、審査請求の審理手続を主宰する審理員になることができない。
4 行政事件訴訟法によれば、特別の定めがあるときを除き、審査請求に対する裁決を経た後でなければ、処分の取消しの訴えを提起することができない。
5 再調査の請求は、処分庁以外の行政庁が審査請求よりも厳格な手続によって処分を見直す手続である。
問題80
成年後見制度に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 子が自分を成年後見人候補者として、親に対する後見開始の審判を申し立てた後、家庭裁判所から第三者を成年後見人とする意向が示された場合、審判前であれば、家庭裁判所の許可がなくても、その子は申立てを取り下げることができる。
2 財産上の利益を不当に得る目的での取引の被害を受けるおそれのある高齢者について、被害を防止するため、市町村長はその高齢者のために後見開始の審判の請求をすることができる。
3 成年被後見人である責任無能力者が他人に損害を加えた場合、その者の成年後見人は、法定の監督義務者に準ずるような場合であっても、被害者に対する損害賠償責任を負わない。
4 判断能力が低下した状況で自己所有の土地を安価で売却してしまった高齢者のため、その後に後見開始の審判を申し立てて成年後見人が選任された場合、行為能力の制限を理由に、その成年後見人はこの土地の売買契約を取り消すことができる。
5 浪費者が有する財産を保全するため、保佐開始の審判を経て保佐人を付することができる。
問題81
成年後見制度の利用促進に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 成年後見制度利用促進基本計画の対象期間は、おおむね10年程度とされている。
2 市町村は、成年後見制度利用促進基本計画を勘案して、成年後見制度の利用の促進に関する施策についての基本的な計画を定めなければならない。
3 成年後見制度利用促進基本計画においては、利用のしやすさよりも不正防止の徹底が優先課題とされている。
4 政府は、成年後見制度の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、成年後見制度利用促進会議を設けることとされている。
5 「成年後見制度利用促進法」でいう成年後見等実施機関とは、介護、医療又は金融に係る事業その他の成年後見制度の利用に関連する事業を行うものをいう。
(注) 「成年後見制度利用促進法」とは、「成年後見制度の利用の促進に関する法律」のことである。
問題82
事例を読んで、日常生活自立支援事業による支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Bさん(80代、認知症)は、介護サービスを受けながら在宅生活を送っていたが、金銭管理が不自由になったことを心配したC介護支援専門員からの相談により、3年ほど前から日常生活自立支援事業を利用している。ところが2か月前から、Bさんの判断能力が急速に低下し始め、支援計画の変更が必要となった。
1 Bさんは認知症であるため、Bさんに代わって、C介護支援専門員が日常生活自立支援事業における支援計画の変更を行った。
2 日常生活自立支援事業における支援計画の変更に当たっては、Bさんの親族による承諾が必要である。
3 判断能力の低下により、本事業による援助が困難であると事業実施者が認めた場合には、成年後見制度の利用の支援等適切な対応を行う必要がある。
4 Bさんの在宅生活継続が危ぶまれるため、日常生活自立支援事業による支援の一環としてBさんの居住する住宅の処分を行うこととした。
5 Bさんの判断能力の急速な低下に対応するため、日常生活自立支援事業の今後の利用について運営適正化委員会に諮った。
問題83
虐待や配偶者暴力等の防止・対応等に関する関係機関の役割として、正しいものを1つ選びなさい。
1 「児童虐待防止法」において、母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)の長は、職員に臨検及び捜索をさせることができる。
2 「障害者虐待防止法」において、基幹相談支援センターの長は、養護者による障害者虐待により障害者の生命または身体に重大な危険が生じているおそれがあると認めるときは、職員に立入調査をさせることができる。
3 「DV防止法」において、警視総監もしくは道府県警察本部長は、保護命令を発することができる。
4 「高齢者虐待防止法」において、市町村は、養護者による高齢者虐待を受けた高齢者について、老人福祉法の規定による措置を採るために必要な居室を確保するための措置を講ずるものとする。
5 「高齢者虐待防止法」において、市町村が施設内虐待の通報を受けたときは、市町村長は、速やかに警察に強制捜査を要請しなければならない。
(注)1 「児童虐待防止法」とは、「児童虐待の防止等に関する法律」のことである。
2 「障害者虐待防止法」とは、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。
3 「DV防止法」とは、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」のことである。
4 「高齢者虐待防止法」とは、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。
監修者 カイゴジョブ編集部
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