特別養護老人ホームでは、どんな職種・資格の人が働いているの?

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特別養護老人ホームでは、どんな職種・資格の人が働いているの?

特別養護老人ホームへ就職・転職を考えている皆さんは、「特別養護老人ホームにはどのような人が働いているの?」「就職に必要な資格はあるの?」と気になることでしょう。

ここでは、特別養護老人ホームで働いている職種の「仕事内容」や「必要な資格」、「何人くらい働いているのか?」などについてご紹介していきます。ぜひお読みいただき、皆さんの就職・転職活動にお役立てください。

特別養護老人ホームで働く職種の役割とは?

特別養護老人ホームは、入所している介護が必要な高齢者に介護サービスを提供する施設です。適切な介護サービスを提供するために、職種ごとに最低限必要な職員数が人員配置基準として定められています。

ここでは、特別養護老人ホームに配置が定められている各職種の仕事内容・役割、必要な資格、何人くらい働いているのか、を説明していきます。

医師

医師の仕事内容・役割

特別養護老人ホームの医師の役割は、入所者の健康管理と療養上の指導を行うことです。

具体的には、入所者の診察、処置、検査の実施、処方箋の発行、医療機関への受診・検査の指示などを行っています。

医師に必要な資格

医師として働くためには医師免許が必要になります。医師免許は、大学の医学部を卒業して、医師国家試験に合格することで取得できます。

医師の人員配置基準

人員配置基準では、医師は「入所者に対し健康管理および療養上の指導に必要な数」と定められています。そのため、非常勤の医師が週に数日、配置医師として働いていることが多いようです。

厚生労働省の「平成29年介護サービス施設・事業所調査」によると、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)の医師は、1施設あたり常勤換算数で0.2人の配置となっています。

生活相談員

生活相談員の仕事内容・役割

特別養護老人ホームの生活相談員の役割は、入所者やその家族への相談援助です。

具体的には、入所希望者やその家族との面談、情報収集と整理、施設見学の対応、契約時の説明、関係機関への連絡などを行います。また、入所後の生活における相談・苦情への対応、医療機関との通院・入院・退院に関する連絡・調整なども行っています。

生活相談員に必要な資格

生活相談員として働くためには、社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格、その他都道府県等が定める任用要件(介護福祉士や介護支援専門員などの資格や実務経験)を満たす必要があります。

社会福祉士・精神保健福祉士は、福祉系大学や専門学校、養成施設等を卒業して、国家試験に合格することで資格を取得できます。

社会福祉主事任用資格は、大学で厚生労働省が指定する社会福祉に関する科目の履修、指定の養成機関の卒業、都道府県等が実施する講習会を受講することで資格を取得できます。

生活相談員の人員配置基準

人員配置基準では、生活相談員は「入所者の数が100またはその端数を増すごとに1人以上」と定められています。そのため、入所者数に合わせて配置が必要になる人数や、実際の業務負担に合わせた人数を勘案した人数が働いています。

厚生労働省の「平成29年介護サービス施設・事業所調査」によると、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)の生活相談員は、1施設あたり常勤換算数で1.3人の配置となっています。

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看護職員

看護職員の仕事内容・役割

特別養護老人ホームで働く看護職員の役割は、入所者の健康管理です。

具体的には、入所者の体温・血圧・脈拍・酸素飽和度の測定や、自分でたんを出せない入所者のたんの吸引・胃ろうの入所者の栄養注入・インスリン注射などの医療処置、服薬管理、医療機関へ伝えるべき情報の整理などを行っています。

看護職員に必要な資格

看護職員として働くためには、看護師または准看護師の資格が必要になります。

看護師は、大学や短期大学、専門学校の看護学科、看護師養成所などを卒業し、看護師国家試験に合格することで資格を取得できます。

准看護師は、准看護師養成所や高等学校の衛生看護学科を卒業し、准看護師試験に合格することで資格を取得できます。

看護職員の人員配置基準

人員配置基準では、看護職員は「入所者の数が30を超えない施設にあっては、常勤換算方法で1人以上」「入所者の数が30を超えて50を超えない施設にあっては、常勤換算方法で2人以上」「入所者の数が50を超えて130を超えない施設にあっては、常勤換算方法で3人以上」「入所者の数が130を超える施設にあっては、常勤換算方法で、3人に、入所者の数が130を超えて50またはその端数を増すごとに1人を加えた数以上」と定められています。そのため、入所者数に合わせて配置が必要になる人数や、実際の業務負担に合わせた人数、介護報酬における加算の算定に必要な人数などを勘案した人数が働いています。

厚生労働省の「平成29年介護サービス施設・事業所調査」によると、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)の看護職員は、1施設あたり常勤換算数で4.0人の配置となっています。

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介護職員

介護職員の仕事内容・役割

特別養護老人ホームの介護職員の役割は、入所者の日常生活全般における介護を行うことです。

具体的には、食事の介助や歯磨きなどの口腔ケア、入浴に伴う着替えや洗髪・洗身・入浴の介助、トイレ誘導やおむつ交換などの排せつの介助、ベッドからの起き上がりや車いすへの乗り移りの介助、お部屋や共用スペースの掃除、洗濯、レクリエーションやイベントの実施などを行っています。

介護職員に必要な資格

介護職員は、無資格でも働くことができます。しかし、業務において介護に関する知識・技術が求められるので、介護職員初任者研修、実務者研修、介護福祉士などの資格を取得することが推奨されています。

介護職員初任者研修は、民間の資格のスクールなどで、130時間の研修を受講することで資格を取得できます。

実務者研修は、民間の資格のスクールなどで、450時間(介護職員初任者研修修了者は時間が短縮)の研修を受講することで資格を取得できます。

介護福祉士は、福祉系の大学や専門学校、福祉系高校を卒業、または実務経験3年以上と実務者研修を修了し、介護福祉士国家試験に合格することで資格を取得できます。

介護職員の人員配置基準

人員配置基準では、介護職員は「介護職員または看護職員が、入所者の数が3またはその端数を増すごとに1人以上」と定められています。そのため、入所者数に合わせて配置が必要になる人数や、夜勤職員の配置に必要な人数、シフトを組むために必要な人数、実際の業務負担に合わせた人数などを勘案した人数が働いています。

厚生労働省の「平成29年介護サービス施設・事業所調査」によると、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)の介護職員は、1施設あたり常勤換算数で29.8人の配置となっています。

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栄養士

栄養士の仕事内容・役割

特別養護老人ホームの栄養士の役割は、入所者の食事・栄養の管理です。

具体的には、入所者が食べる食事の栄養管理、入所者の状態や高血圧や糖尿病などの持病に合わせた献立作り、噛む力や飲み込む力が弱い入所者への食事の調整などを行っています。

栄養士に必要な資格

栄養士として働くためには、管理栄養士または栄養士の資格が必要になります。

管理栄養士は、管理栄養士養成施設である大学や専門学校などを卒業または栄養士として必要な実務経験を積み、管理栄養士国家試験に合格することで資格を取得できます。

栄養士は、栄養士養成施設である専門学校などを卒業することで資格を取得できます。

栄養士の人員配置基準

人員配置基準では、栄養士は「1人以上」と定められています。人員配置基準と合わせて、介護報酬における加算の算定に必要な人数を勘案して、常勤1名の管理栄養士が働いていることが多いようです。

厚生労働省の「平成29年介護サービス施設・事業所調査」によると、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)の栄養士は、1施設あたり常勤換算数で1.1人の配置となっています。

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機能訓練指導員

機能訓練指導員の仕事内容・役割

特別養護老人ホームの機能訓練指導員の役割は、入所者の身体機能・生活機能の維持・向上のための取り組みを行うことです。

具体的には、入所者の筋力強化や関節可動域の拡大のための運動指導やマッサージの実施、生活の中で取り組めるような機能向上のプログラムの作成・他の職種への指導などを行っています。

機能訓練指導員に必要な資格

機能訓練指導員として働くためには、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師(※)のいずれかの資格が必要になります。

看護師、准看護師の資格取得については、看護職員の項目でお伝えした通りです。

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師は、それぞれの養成施設である大学や専門学校などを卒業し、それぞれの国家試験に合格することで資格を取得できます。

(※)はり師・きゅう師は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師が機能訓練指導員として働く事業所で6カ月以上機能訓練指導に従事した経験が必要になります。

機能訓練指導員の人員配置基準

人員配置基準では、機能訓練指導員は「1人以上」と定められています。そのため、他の職種と兼務していることや、介護報酬における加算の算定に必要な人数を勘案した人数が働いています。

厚生労働省の「平成29年介護サービス施設・事業所調査」によると、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)の機能訓練指導員は、1施設あたり常勤換算数で0.8人の配置となっています。

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介護支援専門員(ケアマネジャー)

介護支援専門員(ケアマネジャー)の仕事内容・役割

特別養護老人ホームの介護支援専門員(ケアマネジャー)の役割は、入所者に提供する介護サービスの計画(ケアプラン)の作成・管理です。

具体的には、入所者の心身の状況や希望、課題を把握するためのアセスメント、他の職種からの意見を参考にしたケアプランの作成、入所者の状態の変化や施設での生活を確認してケアプランの変更・更新などを行っています。

介護支援専門員(ケアマネジャー)に必要な資格

ケアマネジャーとして働くためには、介護支援専門員の資格が必要になります。

介護支援専門員の資格は、実務経験等の受験資格(※1)を満たし、介護支援専門員実務研修受講試験に合格して、実務研修を修了することで資格を取得できます。

(※1)実務経験等の受験資格とは、「指定の国家資格等(※2)に基づく業務の実務経験5年以上」または「生活相談員・支援相談員等の相談援助業務の実務経験5年以上」

(※2)指定の国家資格等とは、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士)、精神保健福祉士

介護支援専門員の人員配置基準

人員配置基準では、介護支援専門員は「1人以上(入所者の数が100またはその端数を増すごとに1人を標準とする)」と定められています。そのため、、入所者数に合わせて配置が必要になる人数や、実際の業務負担に合わせた人数を勘案した人数が働いています。

厚生労働省の「平成29年介護サービス施設・事業所調査」によると、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)の介護支援専門員は、1施設あたり常勤換算数で1.2人の配置となっています。

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事務員(介護事務)

事務員の仕事内容・役割

特別養護老人ホームの事務員の役割は、事務業務、窓口対応です。

具体的には、介護報酬や利用者負担金の請求業務、シフト作成や給与計算、発注・支払い業務、窓口での来客対応、電話対応などを行っています。

事務員に必要な資格

事務員は、無資格でも働くことができます。業務の中に、介護報酬の請求業務があるので、介護事務等の資格を取得していると優遇される傾向があります。

介護事務の資格は、民間の資格のスクールなどがそれぞれ独自に設けていて、講座を受講することや試験に合格することで資格を取得できます。

事務員の人員配置基準

特別養護老人ホームの人員配置基準では、事務員は「実情に応じた適当数」と定められています。そのため、実際の業務負担に合わせた人数が働いています。

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まとめ

今回は、特別養護老人ホームで働いている職種の「仕事内容」や「必要な資格」、「何人くらい働いているのか?」をご紹介してきました。施設の規模やその職種によって働いている人数が大きく異なっていることがおわかりいただけたと思います。

特別養護老人ホームでは、様々な職種・資格のスタッフがチームとして入所者の生活を支援しています。もし、特別養護老人ホームの求人情報に興味をお持ちでしたら、ぜひ施設の見学を申込してみてください。また、これから特別養護老人ホームの求人情報を探す方は、ぜひカイゴジョブで検索してみてください。

ここでご紹介した内容が、皆さんの就職のお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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監修者 カイゴジョブ編集部

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