介護職の働く悩みや疑問に、介護現場で働く人達がリアルに答えるQ&A。「こんなとき、他のみんなはどうしているの?」といった疑問に、介護職歴10年以上の経験者が答えます。
Q 介護のコミュニケーションで大切なことは?苦手な相手だとうまく話せません
介護職になったばかりで、高齢者とのコミュニケーションにまだ苦手意識があります。無口な方だと何を話していいか焦ってしまったり、自分の対応が合っているのか自信が持てません。コミュニケーションの基本やコツがあれば教えてください。
A 高齢者とのコミュニケーション、4つの基本をお伝えします。
高齢者とのコミュニケーションについて、私が基本として意識していることをまとめました。
低めの声でゆっくり落ち着いて、はっきり話す
前提として意識したいのは、相手に聞こえやすい声で話しかけているかどうかです。老化により、高音は聞き取りにくくなっていきます。加齢性難聴といって高音や大きな声が聞き取りにくいのです。そのため、低めの落ち着いた声での声掛けが有効です。
よき聞き手になる
私たち介護職員も、話がしたいという気持ちに駆られることはよくあることだと思います。自宅で一人暮らしだったり、施設で同じような日々を過ごしていると、生活の刺激のために「何か話がしたい!」という方は男女問わずいらっしゃいます。なので無理に会話を盛り上げるのではなく、よき聞き手になって、話を聞くだけでいいと思います。
話し始めるきっかけがない場合は、天気の話題などでも良いと思いますが、全員が天気に興味がある訳ではないので、話を広げていくことは難しいと思います。自分にも、相手にも関係のある、個人の考えがある話題から始めてみるのがおすすめです。
例えば睡眠は、年齢問わず誰しも関係のある話題です。よく眠れているかどうか、眠れているなら昔から寝るのが好きな人なのかどうか、眠れないなら今までどんな努力をしているかなど、話を膨らますことができます。私の場合、相手の睡眠の不安について理解することで、信頼関係に結び付くケースもありました。ご自分の経験談などから、ぜひ話をふってみてください。
ネガティブな話が多い人には用事を頼む
物忘れが進んでしまい、「自分にはできない」「家族から見捨てられてしまった」など話す方も、なかにはいらっしゃいます。そんな方には、何か用事を頼んだり、役割をもってもらいましょう。自分の居場所があると感じ、自分がここにいてもいいんだと肯定的になって、ネガティブな気持ちがおさまることがあります。
非言語コミュニケーションを活用する
認知症でうまく話すことができない方もいらっしゃいます。この場合、無理に話はしなくて良いと思います。手をつないだり、背中をさすったり、笑顔でにこっと微笑みかけたりと、非言語コミュニケーションを活用することで、相手の安心感に繋がります。
最後に、高齢だからといって特別ではないと思います。気張らずに普段通り、笑顔で過ごしてみてください。(介護職歴12年/介護福祉士)
「オープンクエスチョン」を使ってみる
オープンクエスチョン、セレクトクエスチョン、クローズドクエスチョンをご存知ですか?
オープンクエスチョンは、「趣味は何ですか?」など、答えが人によって複数出てくるものです。セレクトクエスチョンは、「1・2・3のどれがいいですか?」のように、選んで答えてもらうものです。クローズドクエスチョンは「これ好きですか?」のように、答えが「はいorいいえ」になるものです。
オープンクエスチョンをベースにしながら話すと、相手の考えてる事を引き出し、自分が話題を作らなくても話が続くようになります。例えば下記のようなやりとりです。
「食べ物は何が好きですか?」
【カレーライス】
「カレーライスのどこが好きですか?」
【じゃがいもが好き】
「ほかにじゃがいも料理って何がありましたっけ?」
【ポテトサラダとか肉じゃが】
「ポテトサラダと肉じゃがどっちが好きですか?」
【肉じゃが】
「煮物って美味しいですよね。ほかに煮物で好きなものあります?」
このようにつなげていきます。
後は、それぞれの答えに感想をつけたり、自分の話を伝えてみたり、「野菜はじゃがいものほかに何があるか?」など、レクリエーションのようにして答えてもらってもいいと思います。(介護職歴13年/介護福祉士)
監修者 カイゴジョブ編集部
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