初任者研修とは?資格のメリットや取得にかかる時間・費用をチェック

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初任者研修とは?資格のメリットや取得にかかる時間・費用をチェック

初任者研修とは、介護の基礎的な知識や技術を習得するための資格です。訪問介護事業所でホームヘルパーとして働く場合には、初任者研修の取得が必要になります。給料や就職など資格取得のメリット、取得までにかかる時間や受講料、試験の難易度や受講資格について、まとめてご紹介します。

介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)とは

初任者研修は基礎的な介護のスキルを学ぶための入門資格で、正式には「介護職員初任者研修」といいます。2013年に廃止された「ホームヘルパー2級」の後継としてできた資格です。

介護施設などでは無資格でも働くことができますが、訪問介護事業所でホームヘルパーとして身体介護を行うなら、初任者研修以上の資格が必須となります。

訪問介護に限らず、初任者研修を取得していると、給料や就職などにおいてメリットがあります。無資格で介護職員として働いている、もしくはこれから介護業界で働いてみようと考えているなら、取得を検討したい資格です。

初任者研修のメリットは?

初任者研修の資格取得について、5つのメリットをご紹介します。
①「資格なし」と比べて月収が約2万5000円アップ ※2020年厚労省調査より
②就職・転職先の選択肢が広がる(訪問介護)
③最短2週間で資格が取得できる
④「実務者研修」の科目が免除になり、今後のキャリアアップにつながる
⑤自治体による受講料の全額補助がある場合も

それぞれ詳しく見ていきましょう。

「資格なし」と比べて月収が約2万5000円アップ

2020年に厚労省が行った調査によると、初任者研修を取得した職員の月収は、無資格者の月収と比べて、約2万5000円高くなっています。

介護の基礎的な知識や技術を習得していることを証明する資格なので、採用する側にとっては依頼できる業務の幅も広がり、人材としての価値が高まるためだといえます。

就職・転職先の選択肢が広がる(訪問介護)

介護の仕事としては主に、身体介護と生活援助があります。身体介護は食事・排泄・入浴・移動の介助や、通院・外出介助など、利用者の身体に直接触れる介護のことです。生活援助は、食事の用意や洗濯、買い物など、利用者の身体に直接触れない援助のことをいいます。

介護施設などにおいては、無資格でも身体介護を行うことができますが、訪問介護事業所でホームヘルパーとして身体介護を行う場合には初任者研修以上の資格が必要です。訪問介護のホームヘルパーは、1人で利用者の居宅に訪問し、状況に合せて身体介護や生活援助を行う必要があるためです。

初任者研修の資格を持っていることで、訪問介護も就職・転職先として検討できるため、選択肢を広げることができます。

※2018年に新設された「生活援助従事者研修」の資格を取得すれば、訪問介護事業所でホームヘルパーの業務のうち、生活援助のみ行うことができます。身体介護はできません。身体介護と生活援助をセットで提供している事業所が多いため、「生活援助従事者研修」のみだと、資格保有者として活躍できる場がまだ少ないのが現状です。

最短2週間で資格が取得できる

初任者研修を取得するには、全130時間のカリキュラムを修了する必要がありますが、毎日長時間のカリキュラムを詰め込むと、最短2週間で資格を取得できるスクールもあります。

休日も挟まず、毎日9時間以上のカリキュラムをこなすことは、あまり現実的ではないかもしれませんが、その気になれば、短期集中で取得できる資格であることも魅力のひとつです。

「実務者研修」の科目が免除になり、今後のキャリアアップにつながる

初任者研修の上位資格として、「介護福祉士実務者研修」があります。450時間のカリキュラム+医療的ケアの演習を修了する必要がある資格ですが、初任者研修を取得していると、450時間のうち130時間分が免除となり、320時間+医療的ケアの演習で資格を取得することができます。

介護現場での実務経験をもとに、国家資格である「介護福祉士」を目指す場合、受験資格として、実務者研修の資格を取得する必要があります。介護の仕事で着実にキャリアップしていくには必須の資格です。介護福祉士試験の受験資格を得るには、実務者研修の修了のほかに、3年以上の実務経験が必要です。

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初任者研修と実務者研修の違い

実務者研修は、無資格・未経験でも受講することができます。初任者研修を修了していないと、受講できないという資格ではありません。

しかし、実務者研修の資格を取得するには、450時間+医療的ケアの演習(スクールによって時間数が異なる)を修了する必要があります。取得までにかかる期間が長く、研修の内容も専門的であるため、まずは初任者研修を取得するという人も多いようです。

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自治体による受講料の全額補助がある場合も

各自治体が、介護人材の確保を目的に、初任者研修の受講料を全額補助する事業を行っている場合があります。初任者研修を修了し、その自治体内の介護事業所に一定期間従事した人に対して、受講料を補助するというものが一般的です。

人数の上限がある場合がほとんどで、対象者の条件も自治体によって異なります。まずはお住まいの自治体のホームページ等で、補助事業があるか調べてみましょう。

参考:東京都の介護職員資格取得支援事業(2021年5月発表)

対象者
・東京都内で介護業務への就労を希望する者
・都の指定する内容の動画を申込前に視聴、もしくは、申込前に「職場体験事業」を利用した者
※新型コロナの影響で現在「職場体験事業」の方は停止中

人数上限
800名程度

支給方法
研修実施事業者に東京都が直接費用を支払うので受講生の負担はなし(食費・交通費等は除く)

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初任者研修の内容と取得にかかる時間

初任者研修の資格を取得するには、10科目・130時間のカリキュラムを修了する必要があります。スクールによっては最短14日間の通学で資格を取得できるコースもありますが、1か月~3か月程度で修了するコースが多いようです。

夜間のみ、平日の日中のみ、土日のみ、通信講座との組み合わせなど、スクールによってさまざまなコースが用意されているので、自分に合うスケジュールを考えてコースを選びましょう。

初任者研修は通信講座で取得できる?

130時間のうち、通信講座で自宅学習ができるのは40.5時間以内と決められています。通信講座のみで資格を取得することはできず、必ず通学が必要になります。

受講科目・時間数

厚労省が定めた初任者研修の10科目・130時間がこちらです。 講義と演習で、介護の基礎的な知識やスキルを学びます。

科目 時間数
職務の理解 6時間
介護における尊厳の保持・自立支援 9時間
介護の基本 6時間
介護・福祉サービスの理解と医療との連携 9時間
介護におけるコミュニケーション技術 6時間
老化の理解 6時間
認知症の理解 6時間
障害の理解 3時間
こころとからだの仕組みの生活技術 75時間
振り返り 4時間

初任者研修に受講資格や試験はある?

初任者研修に受講資格はありません。無資格でも、介護業界の業務が未経験でも受講できます。

初任者研修には、修了試験として筆記試験があります。130時間のカリキュラムを受講した後、筆記試験に合格することで資格が取得できます。筆記試験の問題は講義の内容から出題され、難易度は高くありません。もし合格点に達しなくても、追試を受けられる場合がほとんどです。

初任者研修の費用

初任者研修の受講料はスクールによって異なり、3万円~8万円前後などばらつきがあります。受講料の差にはスクールの立地などが関係していて、安いからといって研修の内容が悪いということは基本的にありません。

価格参考例:カイゴジョブアカデミーの場合

東京・神奈川・千葉・埼玉・愛知の校舎…42,900円(税込・テキスト代込)
大阪・兵庫の校舎…31,900円(税込・テキスト代込)

上記のような基本の金額から、スクールによっては割引キャンペーンを行っている場合もあります。例えば、時期による割引や、スクールが提携している介護事業所に就業した場合に受講料が無料になるキャンペーンなどがあります。

初任者研修を取得するには、通信講座を活用しても、全130時間のうち90時間程度は通学しなくてはいけません。まずは自宅から通うことができるかどうか、スクールの立地で絞り、その中で割引などのキャンペーンや、取得までの期間など、自分に合った条件をもとに、受講するスクールを探してみましょう。

初任者研修と実務者研修の費用を比較

無資格から初任者研修を取得し、その後、実務者研修を取得する場合の費用と、実務者研修のみを取得する場合の費用を比較します。(スクールによって金額は異なるので一例です)

参考:カイゴジョブアカデミー関東地方の受講料(金額は税込・テキスト代込)

初任者研修を修了後、実務者研修を取得する場合
初任者研修…42,900円
実務者研修…90,200円 ※130時間分の科目免除がある分、無資格より費用が下がる
計 133,100円

もし、初任者研修をカイゴジョブアカデミーで取得した場合は、卒業生割引があり、実務者研修が71,500円になります。
その場合は、計 114,400円

無資格から実務者研修を取得する場合
実務者研修…110,000円

参考例の場合だと、卒業生割引を活用できたなら、初任者研修と実務者研修を分けて受講するのと、実務者研修だけ受講するのとでは、4,400円しか差がでません。割引の内容は異なりますが、ほかのスクールでも、同スクール内の受講経験があると割引の対象となるキャンペーンは多いようです。

もし費用だけを理由に初任者研修を受けないことを考えているなら、割引キャンペーンや自治体の費用補助事業など含め、費用を一度調べてみるといいでしょう。

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まとめ

介護職員初任者研修は介護の入門となる資格で、介護スキルの基本を学ぶことができます。給料などの待遇や、就職・転職でも有利に働く資格です。働きながらでも3か月程度で取得できるので、介護業界で働き、着実にキャリアップしていくなら、資格の取得を検討してみましょう。

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カイゴジョブ編集部

監修者 カイゴジョブ編集部

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