実務者研修とは?資格のメリットや取得にかかる時間・費用をチェック

#実務者研修 #用語解説
実務者研修とは?資格のメリットや取得にかかる時間・費用をチェック

実務者研修とは、介護の知識や技術を高めるための資格で、介護福祉士試験の受験資格でもあります。給料や就職など資格取得のメリット、取得までにかかる時間や受講料、取得の難易度や受講資格について、まとめてご紹介します。

介護福祉士実務者研修とは(旧ホームヘルパー1級)

実務者研修は「介護福祉士実務者研修」という名称で、介護福祉士を目指す上で必要な介護の専門知識や技術を身につけるための研修です。そのため、介護福祉士試験の受験資格として必須となっています(養成施設や福祉系高校に通わず実務経験で試験を受ける場合)。

実務者研修は2013年に廃止された「ホームヘルパー1級」の後継としてできた資格です。「介護職員初任者研修」の上位資格であり、初任者研修をすでに取得している場合は、初任者研修と重なる受講内容が免除されます。

実務者研修を取得していると、給料や就職などにおいてメリットがあります。介護福祉士を目指すと決めていなくても、介護業界で働くなら取得しておきたい資格です。

関連記事
初任者研修とは?資格のメリットや取得にかかる時間・費用をチェック

実務者研修のメリットは?

実務者研修の資格取得について、4つのメリットをご紹介します。
①介護福祉士試験の受験資格が得られる
②サービス提供責任者になれるので就職や転職に有利
③「資格なし」と比べて月収が約3万円アップ ※2020年厚労省調査より
④喀痰吸引など医療的ケアが学べる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

介護福祉士試験の受験資格が得られる

養成施設や福祉系高校に通うのではなく、介護現場での実務経験をもとに介護福祉士試験の受験資格を得ようとする場合、実務者研修の取得は必須となります。

実務者研修を取得し、介護職として3年間の実務経験を積むことで、介護福祉士試験の受験資格を得ることができます。

関連記事
介護福祉士になるには?試験の難易度・受験資格・年収・仕事内容など総まとめ

サービス提供責任者になれるので就職や転職に有利

訪問介護で働くことを考えているなら、実務者研修の資格を取得していることが、就職や転職に有利に働きます。訪問介護には「サービス提供責任者」という職種があり、この職種を担うには、実務者研修以上の資格を取得していることが望ましいためです。

「介護職員初任者研修」の取得者でもサービス提供責任者になることはできますが、実務者研修以上の資格が無い人がサービス提供責任者になると、介護報酬(介護事業所の収入)が減額されてしまいます。そのため、訪問介護事業所にとって、実務者研修の資格を持っている人材は魅力的で、求職者にとっては就職・転職に有利に働きます。

サービス提供責任者とは

指定訪問介護事業所では、利用者40人に対して1人配置することが義務付けられている職種。「サ責(させき)」と呼ばれることも多い。資格名ではない。ケアプランに沿って訪問介護計画書を作成したり、計画書をもとにヘルパーへの指示やスケジュール調整などを行う。

「資格なし」と比べて月収が約3万円アップ

2020年に厚労省が行った調査によると、実務者研修を取得した職員の月収は、無資格者の月収と比べて、約3万円高くなっています。

ヘルパーを統括する役割のサービス提供責任者として活躍できることや、医療的ケアなどの専門スキルを得られることで、担当できる業務の幅が広がり、採用する側からの人材ニーズが高まるためだといえます。

喀痰吸引など医療的ケアが学べる

実務者研修では、初任者研修では学ばない医療的ケアを学ぶことができます。以前は医療行為とされていた「喀痰吸引」や「経管栄養」ですが、介護職員も研修の修了や医療連携などの条件のもと「喀痰吸引」や「経管栄養」を行えることになりました。(登録している事業所のみ)

実務者研修を修了していると、喀痰吸引等研修の基本研修が履修免除となり、実地研修を受ければ、喀痰吸引を行えるようになります。

実務者研修の求人を探す

実務者研修の内容と取得にかかる時間

実務者研修は、20科目・450時間のカリキュラムと、医療的ケアの演習を修了する必要があります。厚労省が指定する450時間のカリキュラムはどのスクールでも同じ科目・時間数ですが、医療的ケアの演習はスクールによって時間数が異なります。

初任者研修をすでに取得している場合には、450時間のうち130時間分が免除されて、320時間のカリキュラムになるなど、すでに保有している資格がある場合、受講科目の免除があります。

取得までにかかる期間は、資格保有などで免除がある場合に最短約2か月、無資格から働きながら取得する場合は約6か月といわれています。

実務者研修は通信講座で取得できる?

受講科目のほとんどは、通学することなく、通信講座で受講することができます。無資格から取得する場合、450時間のうち405時間は、自宅学習が可能です。

しかし、「介護課程Ⅲ」の45時間と、医療的ケアの演習(スクールによって時間数が異なる)は、通学する必要があるため、通信講座のみで資格を取得することはできません。

受講科目・時間数・保有資格による免除

初任者研修を取得している場合は、130時間分が免除され、320時間になります。

受講科目 時間数 初任者研修で免除
人間の尊厳と自立 5時間
社会の理解Ⅰ 5時間
社会の理解Ⅱ 30時間 -
介護の基本Ⅰ 10時間
介護の基本Ⅱ 20時間 -
コミュニケーション技術 20時間 -
生活支援技術Ⅰ 20時間
生活支援技術Ⅱ 30時間
発達と老化の理解Ⅰ 10時間 -
発達と老化の理解Ⅱ 20時間 -
認知症の理解Ⅰ 10時間
認知症の理解Ⅱ 20時間 -
障害の理解Ⅰ 10時間
障害の理解Ⅱ 20時間 -
こころとからだのしくみⅠ 20時間
こころとからだのしくみⅡ 60時間 -
介護過程Ⅰ 20時間
介護過程Ⅱ 25時間 -
介護過程Ⅲ ※通学 45時間 -
医療的ケア 50時間 -
総学習時間 450時間 320時間

その他、すでに廃止されている資格を過去に取得している場合でも、受講科目の免除があります。
・「ホームヘルパー2級」を取得している場合…130時間分が免除され、学習時間は320時間
・「ホームヘルパー1級」を取得している場合…355時間分が免除され、学習時間は95時間
・「介護職員基礎研修」を取得している場合…400時間分が免除され、学習時間は50時間

実務者研修に受講資格や試験はある?

実務者研修に受講資格はありません。無資格でも、介護業界の業務が未経験でも受講できます。

実務者研修には、試験の実施義務もないため、試験に不合格なら資格が取得できない、ということは基本的にありません。研修を実施しているスクールによっては、独自の試験を実施している場合もありますが、落とすための試験ではなく、学習度合いを確認するための試験といえます。

実務者研修にかかる費用

実務者研修の受講料は、すでに保有している資格があるかどうかと、受講するスクールによって異なります。無資格の場合は10~15万円前後なのに対して、450時間中400時間が免除となる「介護職員基礎研修」を過去に取得している場合は3~5万円前後となっています。

価格参考例:カイゴジョブアカデミー(関東)の場合

保有資格 受講料
無資格 110,000円(税込・テキスト代込)
介護職員初任者研修 90,200円(税込・テキスト代込)
ホームヘルパー2級 90,200円(税込・テキスト代込)
ホームヘルパー1級 55,000円(税込・テキスト代込)
介護職員基礎研修 33,000円(税込・テキスト代込)

このような基本の金額から、スクールによっては割引キャンペーンを行っている場合もあります。例えば、同じスクールで初任者研修を受けた人が実務者研修を受ける場合の割引や、知合いからの紹介割引、学生割引、スクールが提携している介護事業所に就業した場合に受講料が無料になるキャンペーンなどさまざまです。

実務者研修の実施は、厚労省の基準をクリアしたスクールしかできません。受講料の高い・安いで、受講内容に大きな差があったり、修了できないなどのトラブルがあることは基本的にないでしょう。

受講料の違いがある理由としては、スクールの立地や、振替受講などの融通がきくがどうか、就職サポートの充実度などがあります。

実務者研修を取得するには、「介護課程Ⅲ」の45時間と医療的ケアの演習(スクールによって時間数が異なる)で必ず通学しなくてはいけません。まずはご自宅から通うことができるかどうか、スクールの立地で絞り、その中で割引などのキャンペーンや、通いやすさなど、自分に合った条件をもとに、受講するスクールを探してみましょう。

実務者研修の求人を探す

まとめ

介護福祉士実務者研修は、介護職員初任者研修よりさらに高度な介護の専門知識やスキルを身につけることができる資格です。

同時に、介護福祉士試験の受験資格が得られたり、給料などの待遇や、就職や転職でも有利に働く資格でもあります。介護業界で働き、確実にキャリアップしていくなら、資格の取得を検討してみましょう。

働きたいエリアに「賞与あり」の
求人はどれくらいある?
介護職員・ヘルパー
賞与・ボーナスあり
の求人をチェック!
カイゴジョブ編集部

監修者 カイゴジョブ編集部

介護業界でがんばる皆様、転職を検討している皆様を全力応援!お悩みQ&Aや転職ノウハウなど、お役立ち情報を発信します。

関連記事