それぞれの会社で人事制度や賃金・給与規程が定められているので、どの職業であっても働く職場によって給料が違います。就職・転職を考えている方は、職場を決める上で「給料」は重要なポイントでしょう。介護業界には様々な種別の介護施設・事業所があり、その種別によって給料の平均金額に差があるという統計結果が出ています。
この記事では、「特別養護老人ホーム」を取り上げ、給料の平均金額やキャリアアップについてご紹介しますので、介護職として就職・転職を考えている方は、ぜひご一読ください。
特別養護老人ホームとは?
特別養護老人ホームは、介護保険法の「介護老人福祉施設」等の指定を受けた施設で、主に社会福祉法人が運営しています。原則として要介護度3以上の高齢者が入所して、介護サービスを受けながら生活を送る施設です。特別養護老人ホームは、設備面から「従来型」「ユニット型」に分類され、それぞれに「個室」「多床室」などの居室種類があります。介護職員は、どのタイプの施設でも24時間365日体制でシフトを組み、入所者の日常生活を送るために必要な介助・支援等を行っています。
特別養護老人ホームの仕事内容の詳細はこちら特別養護老人ホームの介護職員の給料は?
特別養護老人ホームの介護職員の平均給与
厚生労働省の「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職員のサービス種類別の平均給与は以下の表のようになっています。
サービス種類 | 平均給与額(平成30年度) |
---|---|
介護老人福祉施設 | 332,760円 |
介護老人保健施設 | 317,350円 |
介護療養型医療施設 | 285,360円 |
訪問介護事業所 | 291,930円 |
通所介護事業所 | 262,900円 |
認知症対応型共同生活介護 | 276,320円 |
このように特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)の平均給与額は介護業界の中で高い傾向にあることがわかります。
特別養護老人ホームの介護職員の手当や賞与
ご紹介した平均給与額は、基本給と各種手当、賞与を含めて1月あたりを計算した平均の金額となっています。特別養護老人ホームの求人情報を確認すると、賞与の支給がある施設が多いですが、その算定根拠(○ヵ月分)には差があります。その他にも資格手当、通勤手当、住宅手当、扶養手当、処遇改善手当など、施設によって手当の種類や金額が異なっています。
特別養護老人ホームの介護職員の給料を上げる方法とは?
資格を取得する
給料を上げる方法として、介護の資格を取得することが挙げられます。資格を取得することで支給される「資格手当」がある施設は多く、介護の資格である「介護職員初任者研修」「実務者研修」「介護福祉士」などを取得することで、給料アップに結びつくでしょう。また、これ以外にも、その施設によって様々な資格に資格手当を設定しているので、資格取得を考えている人は賃金・給与規程を確認してから取得する資格を決めるのも良いでしょう。
キャリアアップを狙う
給料を上げる方法として、キャリアアップをすることも挙げられます。国家資格である「介護福祉士」を取得して、介護職のリーダー、管理職などの役職を目指すことで、基本給アップや役職手当の支給に繋がるでしょう。
経験年数を積む
経験年数を積むことでも、給料アップが見込めます。先ほどと同じく「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、下記のように経験年数に比例して給料が高くなる傾向が示されています。また、実際の求人情報でも、他の会社での経験年数が勘案されて基本給が決まっているので、経験を積むことは転職でも有利になります。
勤続年数 | 平均給与額 |
---|---|
1年 | 295,270円 |
2年 | 299,690円 |
3年 | 311,720円 |
4年 | 314,900円 |
5年 | 317,680円 |
6年 | 322,610円 |
7年 | 320,480円 |
8年 | 335,190円 |
9年 | 332,500円 |
10年 | 344,850円 |
特別養護老人ホームで働くメリット
介護スキルが向上する
特別養護老人ホームでは、要介護度3以上の入所者に介護サービスを提供します。そのため、様々な心身の状況の入所者の対応をします。学習した知識を実践で活かしながら経験を積むことができるので、働くことでスキルアップが図れます。
福利厚生
特別養護老人ホームは、主に社会福祉法人が運営しているので、福利厚生制度に加入している施設が多いでしょう。退職金制度や資格取得の助成制度、共済会への加入など、福利厚生面でのメリットもあるでしょう。
まとめ
介護職員の給料の内訳は、基本給、賞与、各種手当があり、就職先によって大きな差がありますが、特別養護老人ホームの介護職員の給料は介護業界の中で高い水準にあるようです。皆さんが納得できる転職をするためには、条件に着目しながら求人情報を比較して、不明な点を面接でしっかりと確認することが大切でしょう。
監修者 大久保典慶
社会福祉士、介護福祉経営士1級。介護・老人福祉事業を幅広く展開する社会福祉法人で9年の経験を経て、株式会社エス・エム・エスに入社。介護・福祉に関わるコンテンツ制作の編集業務を担う。